中島 キ43 一式戦闘機 隼 / Ki-43

日本帝国陸軍の主力戦闘機であり、大戦間を通じて各地で活躍した。
米軍コードネームは「オスカー(Oscar)」

一度は失格の烙印を押された本機だが、採用後は改良ごとに飛行性能が向上し、トラブルも少なくまさに「軍馬」として陸軍を支えた。武装の貧弱さには最後まで泣かされたが、その高い射撃安定性から「空の狙撃兵」と呼ばれた。設計上、主翼に機関砲を搭載できないため翼下ガンポッドが検討されたり、機首に20mm機関砲を取りつけた試作機が作られたが、実戦に参加することはなかった。最後まで12.7mm機関砲2門だけで戦った本機だったが、戦争中期から威力の高い炸裂弾を装備することで、装甲の厚い米軍戦闘機や爆撃機に少なからず戦果を上げていった。

格闘戦重視の設計で極度に軽量化された機体は急降下に弱く、高速で頑丈な米軍機に対して大きな弱点となった。ニューギニアで一式戦を操り15機を撃墜した59戦隊の南郷茂男大尉も、一撃離脱に徹するP-38に護衛中の爆撃機をいいように撃墜され「もはや一式戦の時代に非ず」と手記に残している。I型の頃は急降下中に空中分解する機体もあったが、III型になる頃には無理の効く機体になっていた。防弾についてはノモンハンでの教訓から初期の頃から防弾タンクを装備し、中期からは防弾鋼板を操縦席に装備、敵の攻撃から搭乗者を守る配慮がなされていた。

I型からIII型まで変わらぬ卓越した運動性から、エースを含め陸軍のパイロットの多くは一式戦をもっとも好んだ。特に水メタ噴射付きで馬力のあるハ115-IIエンジンを装備したIII型を最も高く評価する声が多い。戦争後期に入ると制空権は常に敵に奪われており、多数の敵に囲まれても攻撃を回避し、反撃することが可能な運動性が一番重要だったのである。

大戦末期の米軍レポートにも「OSCAR(一式戦)はZEKE(零戦)よりも運動性、加速・上昇力に優れ、油断のならない敵である」と評されている。

大戦中後期には主翼下に250kg爆弾を2発積み、特攻だけでなく襲撃機として通常の対地・対艦攻撃にも使用された。総生産機数は5,700機以上で、零戦に次いで2番目に多く生産された旧日本軍の戦闘機だった。

「上から撃ってきても避けてから後ろに着くことができる。一式戦では絶対に負けない。」(上坊 良太郎大尉)


Aces HighにおけるKi-43

バージョン2.30でようやく追加された、日本帝国陸軍の主力戦闘機。AHではⅡ型が使用可能。史実同様に抜群の運動性を誇り、初心者にも扱いやすい機体となっている。空戦フラップを使えば面白いほどに敵の後ろを取れ、スピットハリケーンバッファローなら一蹴、零戦にも優位に立つことができる。まさにハヤブサ無双!・・・しかし、これは格闘戦に限っての話。

高速機の入り乱れるLate War Arenaでは、貧弱な武装に遅くて急降下も苦手な隼はあまりにも無力。敵も当然格闘戦を避けるので、エネルギー差を生かした一撃離脱をやられると非常に厳しい戦いになる。12.7mm x2の武装はFw 190P-47といった、耐久性の高い戦闘機を落とすのには苦労するし、爆撃機を落とすのは至難の業である(逆に翼をへし折ったり火を噴かせたときは快感なのだが・・・炸裂弾が再現されているのか、何発か着弾しただけで敵の翼が吹っ飛ぶことがある)。

そのため、敵が一式戦に乗っている場合は常に自分の土俵で戦うことのでき、射撃にも自信があるエキスパートが乗っていることが多い。

Ki-43-II

I型と比較してより高出力のハ115に換装し、主翼の変更や機体構造を強化して急降下性能や飛行性能を改善。ホ103 12.7mm機関砲・光像式照準器の装備、キャノピー形状の改善、防弾タンク・防弾鋼板の強化がなされている。

II型では他の陸軍機のような甲乙丙などの明確な区分が無く、年代により細かな変更が加えられている。最高速もII型の中で排気管の種類によって速度が異なるが、AHでは推力式集合排気管を装備し536km/h(333mph)を記録した後期生産型が再現されている。急降下制限速度もI型より向上し、550km/h(341mph)から600km/h(372mph)となっている。

飛行性能は1段2速エンジンの特性上、最高速は10,000ftと20,000ftで2つのピークが存在する。上昇力は10,000ft付近でピークを迎え、その後12,000ft付近で減少し20,000ftまで再び上昇力を保持する(下の飛行曲線図を参照)。20,000ft以上は速度・上昇力ともに急激に性能が低下していく。一式戦は低中高度主体の戦闘機であり、高高度戦闘は不利である。

ほぼ同一エンジンを積む零戦と違って。WEPが存在する。なぜか零戦と違い、零戦"Military Power"にあたる出力が一式戦の"Takeoff Power(WEP)"となっている。陸軍と海軍の運用上などの違いをHTCが再現をしているのかもしれないが、詳しいことは不明。

低中速(~270mph)では軽快で意のままに機体を操ることができ、一式戦の特徴である蝶型空戦フラップは250mphから使うことができる。これを使うことで急激な旋回が可能となるが、速度も同時に失うので戦闘時のむやみな使用は避けたい。2段目まで下げるとお前は複葉機かみたいな低速旋回が可能。失速域でも十分コントロール可能で、ラダーを使った捻りを加えると曲芸のような飛行ができる。加速力・初期上昇力に優れているので空戦で失われたエネルギーは比較的容易に回復可能である。

実機同様、急降下制限は372mphを超えたあたりから機体がきしみ始め、390mph付近で持続飛行していると操舵翼が破損する。機体がきしむ速度で高G機動を無理やり行うと、主翼が破壊されるので注意すべし。250mph付近での空戦フラップを使用するときもOver Gで主翼がもげる(!)。また、300mph付近から急激に機動性が落ちるので、高速機からの攻撃に対処するときは速度の出しすぎで、良い的にならないように注意したい。

ホ103 12.7mm機関砲は機首装備で発射速度も速く、命中すれば相応の威力を発揮するが装弾数が540発*1と多くないので遠距離からの無駄撃ちは避け、近距離でどこを破壊するか的を絞り、しっかりと射撃する必要がある。先述したとおり、致命弾を与えられず逃げられるパターンが多いので、味方の高速機とタッグを組んで戦うと良いだろう(高速機に追い回され、旋回しようとしたら隼が手ぐすね引いて待っている・・・というのは非常に嫌な展開)。

250kg爆弾を2発積むことができるので、上昇力を生かして戦車狩りに活用できる。座りが良いので狙ったところに爆弾を命中させやすい。爆弾を片方落とすと、主翼にヨレが生じて水平飛行が難しくなるので注意。機関砲による機銃掃射はM3程度の装甲車であれば上部を狙えば十分激破可能である。

防弾性能は平凡だが、簡単には燃えない壊れない仕様となっているので、零戦と違って被弾にビクビクしないで済む。実際P-47に一連射を浴びて多数被弾したが、かろうじて生還できたことがある。反面、防弾ガラスがないせいか前方などからコックピットに銃撃を食らうと、パイロットが負傷しやすい。元々勝ち目はないヘッドオンや、後部銃座の付いた爆撃機を下から追撃するときは要注意である。

落下タンクを積むと1時間以上も飛行することができるが主翼下に懸吊架が付く。この懸吊架は飛行中に投棄できないがE6Bで確認してみると、懸吊架だけで100ポンド(45kg)分の重量差が生じるので、抵抗や重量で飛行性能に若干影響があると思われる。75%~100%の機内燃料で30分から45分間は飛べるので、わざわざ落下タンクを積む必要はない。

離着陸は非常に容易で安定しており、フラップを使えば短距離で離陸可能。着陸時はフラップの揚力がありすぎるので、逆に使わない方がやりやすいかもしれない。フラップを全開にすると超低速で飛行できるため、回頭中の空母にも容易に着艦可能である。また、脚の強度が高いのでタキシングで片側ブレーキを使った急な地上旋回ができる。まず脚が折れることはないので、弾薬の補充時などで方向転換が必要なときに活用したい。

共有・固有アイコンは「Ki43」

性能諸元

機種 重量 燃料 武装1 武装2 増槽 爆弾 EW MW LW
Ki-43-II 1729kg 528L 12.7mm ホ103機関砲(270発)x2 - 200L落下タンクx2 250kg爆弾x2 ×

飛行曲線図 Ki-43-II vs A6M5b



第二次大戦の隼のエース (オスプレイ軍用機シリーズ)

戦闘機「隼」 新装版: 昭和の名機その栄光と悲劇 (光人社ノンフィクション文庫 99)

陸軍1式戦闘機「隼」 (世界の傑作機 NO. 65)

蒼空の河 新装版: 穴吹軍曹「隼」空戦記録 (光人社ノンフィクション文庫 111)

あゝ隼戦闘隊―かえらざる撃墜王 (光人社NF文庫)


  • 隼か~ 使い途が・・・ -- 名無しさん (2013-03-20 10:27:12)
  • 実装後ですが非常に良く曲がり楽しい機体に仕上がってます -- 名無しさん (2013-04-15 03:57:53)
  • 低中速で驚異の運動性、意外な加速力、やっぱり貧弱な火力、撃たれてもすぐには落ちない耐弾性、高速で舵効かない、ていうか舵吹っ飛ぶ。史実通りの素晴らしい出来。楽しいですよ。 -- 名無しさん (2013-04-17 11:00:07)
  • P-38がBnZに徹して手も足も出ない。「P-38に翻弄され、もはや一式戦の時代に非ず」。 -- 南郷 (2013-04-19 15:53:43)
  • なるほどなるほど -- 名無しさん (2013-04-20 15:46:27)
  • かっこいい・・・ -- 名無しさん (2013-04-22 21:48:53)
  • 誰もやらなくなった今になって、隼がいかに楽しいかがわかった -- Kenshin (2019-10-12 11:45:04)
  • 逃げられると追いつかないのが辛み -- 名無しさん (2019-10-18 22:33:49)
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最終更新:2019年10月18日 22:33

*1 Version 2.30 Patch 1で資料どおり1門あたり250発から270発、合計500発から540発となった。