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*大まんぼう-Big Manbo Age-
テンマの第6中学校。
本来なら未来ある学生達で溢れるこの学び舎は、
殺し合いが行なわれている今となっては、ただの舞台装置の一つでしかない。
その屋上で、巨大なトランクケースを背負った少女が無表情で立っている。
「……殺し合い、ですか」
少女は現状を確認するように、そしてやはり無表情にそう言った。
いや、言ったのは少女ではない。
少女の背中にあるトランクケースの中から、その声は響いている。
「どうするのですか。神耶?」
ケースから赤い瞳を覗かせ、声の主・ルヴァウルは少女へと問いかけた。
まるでどういう方針でもいいかのように、気楽な声色で委ねる。
それも当然の事だろう。
ルヴァウルは少女・緋皇宮神耶の下僕であり、
人とは価値観の違う種族だからだ。
「………関係ない……
言われるまでもなく…………私は…魔族を殺すだけ……」
そしてこの少女もまた、人とは違う。
人工的に作られた魔であり、その出来損ない。
それを象徴するように少女の瞳も赤く、獣耳も生えている。
また、定期的にルヴァウルと交わらなければ生きる事も叶わない。
そんな生い立ちによる憎しみからかどうかは不明だが、
神耶はこれまでずっと一人で、魔物ハンターとして生きてきた。
「神耶ならそう言うと思っていましたが、
狼牙軍団の皆さんはどうするんですか?」
「いい……」
一時は斬真狼牙の全国制覇に手を貸した事もあったが、
それも全ては神耶の目的である魔物狩りの為。
だからこの場に狼牙がいても、合流する理由は無い。
「……それに、狼牙は……馬鹿だから……
勝算も無いのに、この殺し合いに反抗すると思うから……」
馬鹿だ、と言いながら神耶の表情が僅かに緩む。
無謀だと思えた全国制覇を成し遂げた時の事を思い出して。
「フフフ、よく理解しているんですね。彼の事」
「……馬鹿じゃないの?」
その表情を察したのかルヴァウルは神耶をからかい、
神耶はすぐに表情を元に戻して言葉を返す。
「―――それに、私の目的とは違うから……」
この殺し合いには多くの魔族が参加している。
しかし狼牙は、殺し合いの打破の為にその者たちとも協力するだろう。
だが狼牙の仲間であろうともデビル大悟の時の様に、見逃すつもりは無い。
こんな状況では、そんな目的を持った神耶はかえって邪魔をしてしまうだろう。
「でも神耶、こんな状況だからこそよく考えてください。
魔族だからと言って所構わず襲っていてはこちらの身が持ちません。
時にはまおーのように人間と友好的な者と協力する事も必要ですよ。
死んでしまっては元も子もありませんからね」
「……わかってる…けど………」
その口調はまるでわが子を案じるかのようであった。
しかし神耶の言葉は煮え切らない。
「ああ、神耶に交渉しろとはいいませんよ。
必要そうであれば私がしますから」
口下手で素直じゃない神耶では碌に交渉ができないだろう。
日常でなら別だが、殺し合いの中でそれは致命的だ。
その時、突如神耶の頭上からミミズクとヘビの鳴き声が響いた。
それで自分に支給された者の存在を思い出した神耶は、頭上を見上げる。
不気味な外見をしたミミズクと、愛らしい外見のヘビは、
神耶の頭上を旋回しながら鳴き続けていた。
「ふむふむ、そうですか。
それはそれはお互い大変な目に合いましたね……」
途端、ルヴァウルはまるでミミズクとヘビに答えるかのように独り言を始める。
「……ルヴァウル?」
当然、その様子に疑問を感じる神耶であったが……
「ああ、すみません。さっきの話じゃないですけど、
彼ら―――ミミズクとペロも神耶に協力してくれるそうですよ」
もっとも彼らは魔物じゃありませんけどね、と笑うルヴァウルを尻目に、
大まおーの時もこんな感じだったな、と考えるのをやめた。
……
…………
………………
それから数分後、神耶とルヴァウル(そしてミミズクとペロ)は、
地図や名簿などの支給された物を確認し終わり、出発をしようとしていた。
その前に屋上から周辺の様子を調べようとして、
偶然視界の端、この中学校のものだろうプールに
魔物らしき存在がいるのを目撃したのであった。
「―――行こう、ルヴァウル」
★ ★ ★ ★ ★
第6中学校のプール内に、プカプカと浮かんでいる青い物体がいた。
「まぼ(このアリスソフト豪華キャストの中殺し合いってありえなくない?)」
その物体―――まんぼうは、いきなりメタ発言をしだした。
このまんぼう、度々アリスソフトに登場する魚類だ。
ちなみにゲーム内でメタ発言をするという事は無い。
そもそもまぼまぼしか話せないので、何と言ってるか分からない。
それに特定のゲームからじゃなくてお馴染み枠としての出典だから、
アリスソフト知識を持ってたって問題ないよね。
「まーんぼう(そもそもお馴染み枠というなら他にもいるだろ)
まぼっまぼっ(アリスちゃんとかハニキンとか狂王とか)」
美樹ちゃんやムー大帝どころの騒ぎではなくなるので論外である。
出すとしてもパンダや猿あたりの弱い奴を挙げて欲しいものだ。
「まんぼー(そもそも大悪司や大番長でも、パンダと違ってただの雑魚だし)
まーんぼーう(このゲームでもズガン役として出されたのが目に見えるよな)」
まんぼうは諦め気味にため息をついた。
「まぼまぼー(まあ出たものは仕方ないし、一応やるだけやってみるけど……)
まぼー(一度くらい無茶苦茶のパンダみたいに強敵として登場したいよな)」
そう言って憂鬱そうに殺し合いの準備を始めるまんぼうだったが、
願いが通じたのかデイパックの中に赤くて丸い凄い物を見つけた。
「まぼっ!(こ、これは……GALZOOアイランドに登場した……!)」
そう、一匹の優しいイカマンを悲劇のどん底に突き落とした赤い運命である。
「まんぼう!(これはまさに運命に違いない!)」
我、天恵を得たとばかりに赤い運命をむしゃぶりつくした。
今まさにまんぼうを誘惑しようとしていた赤い運命もびっくりである。
その時、ムキムキとまんぼうの身体が変貌していった。
イカ男爵のように、青い身体は真っ白に変わっていき、
体型も魚類から人型へと変化した。
しかし元の面影は変わっておらず、顔は魚類のままである。
とあるゲームのキャラクターならば彼の姿をこう言っただろう。
『足利超神』と。
「おお、力が漲るようだ!」
ついでに、人語を喋れるようになったようだ。
それに外見はともかく実力は確かなようで、
まんぼうが力を確かめるように軽く四股を踏むと
プール全体にヒビが入ってしまった。
「これで俺も強敵……いや、それどころか、
イカ男爵のようにラスボスにすらなれるかもしれないぞ!」
だが忘れないで欲しい、GALZOOのラスボスは一応
赤い運命を飲み込んだイカ男爵でなく、赤い運命そのものだったという事を。
「これで誰にもただの雑魚敵だ何て言わせない!」
それも全ては今後の活躍次第だろう。
次話であっさり殺される可能性も否定できない。
「……そうだ、これだけ変わったんだ。
名前もそれらしく改名しよう。
まぼ男爵……いや、なんか弱そうだ。
まんぼうキング…………う~ん。
まんぼうの王様……マンボオウ。よし、これがいい!
俺の名前は今からマンボオウだ!」
まあ状態表はまんぼうで表記されるんですけどね。
「さて、ではそろそろ行動を開始するとしようか」
パワーアップをして上機嫌になったまんぼうは、
出発の為プールから上がろうとハシゴに足をかけた。
その時である。
超油断しまくって緩みまくっていたまんぼうの顔面にミミズクが突進してきた。
「ぐわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
当然そんな状態で反応できるわけがなく、ミミズクに水面へと落とされる。
いきなりそんな事になったまんぼうは、もう何が何だか分からない。
パニックになったように辺り構わず手足を振るう。
しかし逆にそれが良かったのか、水が津波のように全てプールから溢れ、
追撃をしようとした襲撃者・神耶は、水に飲み込まれ流され
更衣室へ叩きつけられた。
そしてプールのヒビが更に広がり、
叩きつけられた衝撃もあって更衣室が崩れ落ちる。
その間にまんぼうも落ち着いたのか、
ぜえぜえと息をしながら神耶を睨みつけていた。
「生まれ変わったこの俺が、こんな醜態をさらす事になるとは……
幾ら強くなろうが油断は禁物という事だな」
対する神耶も全身から滴る水滴を邪魔に思いながら
身体に降りかかった瓦礫をどけて立ち上がる。
「ルヴァウル……あれ、何?」
この時ようやくまんぼうの姿をまともに見た神耶は、
一見魚の魔物のようにも見えるが、
人と見れば人と見れそうな微妙な印象を受ける。
「……さあ、少なくとも人ではなさそうですが」
ルヴァウルも分からないのか微妙な反応を返した。
「よくぞ聞いた、俺はキング・オブ・まんぼう!
その名もマンボオウだ!」
誰も聞いてないが勝手に名乗るまんぼう。
だがその答えを聞いた神耶は殺気を迸らせ、
「……人じゃないなら……殺す」
まんぼうへと襲い掛かった。
先ほどと違って落ち着いているまんぼうは、
相手の出方も分かっている事もあってルヴァウルの攻撃を次々と避け、
時たま反撃を返す。
しかしその攻撃も、パワーアップ直後で馴れていない為かキレが無く
ルヴァウルのサポートもあって直撃には至らない。
お互い決定打が見出せず、勝負は長引いていく。
―――そして決着の時が来た。
「………すいま……せん、神耶……睡魔…が……」
ルヴァウルが突如眠ってしまったのである。
これまでもこういう事は何度か合ったが、
全て敵が吸血鬼やゾンビなどのような
下級の魔族が相手だった為なんとか逃げ切れていた。
しかし今相手をしているのはもっと強力な敵。
ましてや長引く戦闘でスタミナも限界だった神耶に
逃げる術はなかった。
(……長期の戦闘行動は集中力を下げる。
退いておけばよかった……)
後悔をしても最早手遅れ。
まんぼうのプールを破壊する威力の豪腕が神耶に迫る。
全てを諦め攻撃を受け入れる覚悟を決める。
……が、パンチは何時までたっても神耶に襲い掛からなかった。
「俺は今大変気分がいい、ここで退くなら見逃してやろう」
(……罠? いや……止めをさせる状況でそれはない……
なら……何かに利用しようとしている?
その提案に神耶は思考をめぐらす。
(……罠でも…何でもいい。
利用できるものは、全て利用するだけ……)
結論を出した神耶は一度まんぼうを睨みつけると、すぐに去っていった。
「ラスボスを目指すからには一人一人殺していくなんて、
チンケな方法はとりたくないからな。
やるなら一気に大人数殲滅だ」
神耶が逃げていくのを眺めながらまんぼうはポツリと呟いた。
今はこの身体に慣れていないために、プールを壊す程度の力だが
力に慣れれば複数の強者を同時に相手どれると信じて。
「それにラスボスたるもの必殺技の一つや二つくらい欲しい。
技を考える時間も欲しいからな」
果たしてまんぼうは無事にラスボスになれるのだろうか。
【テンマ/1日目・朝】
【まんぼう@お馴染み枠】
[状態]:軽傷、赤い運命
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考]基本:このゲームのラスボスとなる。
1:その為のお膳立てをする。
[備考]:外見は足利超神に似ています。
「あいつを倒す為には、もっと武器がいる……
ルヴァウルだけに頼らないで…私も戦えるように」
神耶は学校からだいぶ離れた場所で腰を下ろし呟く。
今回のようにルヴァウルが戦えなくなっても対処できるように、
また、戦闘力を上げる為にも。
それに答えるようにペロが訴えかけるように鳴くが、
ルヴァウルが眠っている今は何を言っているか理解できない。
戦える武器は手元にあるのに、神耶はそれに気付けない。
「それに…協力者も……」
そしてルヴァウルの言っていた事を思い出す。
一つの目的に固執して、結局目的を果たさずに死んでは意味が無い。
現に今、死にかけたばっかりなのだ。
ルヴァウルがいないうえ、武器も無い以上
交渉下手だなどと言ってはいられない。
ナイトメアアイズを潰す為に斬真狼牙に接触したように
あのまんぼうを倒す為に他のものを利用するべきだ。
神耶はそう考えてとりあえずの方針を決める。
だが神耶は知らない。
協力者を探すという目的を潰しかねない物を自分が持っているという事を。
ミミズク。
その効果は、戦闘時に先制攻撃をしかける。
周りは全部敵の殺し合いという誰もが警戒しているだろう中、
他人と遭遇するだけで戦闘と取られかねないだろう事を。
「―――マンボオウ、お前は必ず…殺すから…………」
【緋皇宮神耶@大番長】
[状態]:軽傷
[装備]:ルヴァウル@大番長
[道具]:基本支給品、ミミズク@大悪司、ペロ@超昂閃忍ハルカ
[思考]基本:魔族は……私が殺すから(協力者除く)
1:協力者を探す
【ミミズク@大悪司】
戦闘時に、必ず先制攻撃をしてくれる。
【ペロ@超昂閃忍ハルカ】
火者という戦闘集団が作ったデカイ手裏剣に変身する羽の生えたヘビ。
【赤い運命@GALZOOアイランド】
GALZOOアイランドの黒幕。飲むとすっごく強くなるらしいよ。
その正体は不明だが、少なくとも魔血魂ではないだろう。
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