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Powerhungry fool



     ―轟音―

     ―轟音―

     ―轟音―


そして、その合間にがらんどうの硬い何かが転がり落ちる、乾いた小さな音。
銃声というよりは最早爆音に近い轟音が、フナイの高層ビル屋上に木霊する。

爆音を発するものは「バレットM82A1」。
対物ライフルの代名詞であり、その威力は2㎞先の装甲車を行動不能に陥らせ、
1.5㎞先の人体を両断せしめるほどの過剰な暴力を誇る。

頑強さと冷たさしか示せぬ鋼のみで構成された、流線のない無骨なフォルム。
機能性のみを追求した結果、あまりにも長大になり過ぎた全長とその重量。
ただ発射して、ただ殺害する。人からただ熱と生命を奪う事のみを由とする無粋なる銃。
血肉も情さえも通わせる余地のない、冷徹無比なる「無機の王者(ノーライフキング)」。
――だが、その主は。


その切れ長の瞳と整った容姿にやや冷たさを感じさせるものの。
マズルブレーキから噴射された煙にけほけほとむせるその様は、
まだ可憐と言っても差し支えのない美少女のそれであり。
身長とほぼ同じ丈の無骨無粋の狙撃銃との組み合わせは、
スクール水着の上にセーラー服を着込むという奇抜な出で立ちと相まって、
何かしらの前衛美術を連想させずにはいられなかった。

――少女の名は、柚原柚美という。


柚原柚美は支給された銃器類の性能を確認する為、
試し撃ちに様々なオブジェを破壊して回っていた。

初めは100m先、そこから少しずつ距離を延ばし。
対象も街路樹、看板、風船へと。

次第に距離を遠く。
次第に対象を小さく。

伏せ撃ちに、しゃがみ撃ちに、そして立ち撃ちに。
様々な姿勢で試射を行いながら、その性能を吟味する。

狙いを付けたその全てが的を捉え。
弾丸を受けたその全てが四散する。

やがて、弾倉が空になり。
その感触を確かめるように、ゆっくりと再装填を行う。
最後にコッキングレバーを引き、再び構え直すものの。

「……かわいくない…」

少女が口を開き、未だ硝煙の漂う銃口を降ろす。
少女の銃の腕前と、支給された銃器類の破壊力も合間って。
高層ビルの眼下の光景は合戦跡さながらと化していた。

ここまでの光景を作れるのは、柚美の卓越した銃器の腕前と。
さらにはこれまでに使用した銃器の射撃精度と破壊力あっての事。
父の形見の箒星一丁では、これには到底及ばない。

確かに、性能だけなら目を見張るものがある。
殺し合い云々に乗るかどうかはさておき、新型の銃器らしきものを支給されたとあらば、
常日頃から銃を扱うものとしては、どうしても試さずにはいられなかったのが性である。

故に、こうして見晴らしのよい屋上を選び、試射場に選んだ。
そして、これらの銃は想像を遥かに超える性能を見せつけた。
これらが戦場を謁見すれば、武士や騎士の時代は終わりを迎えるだろう。
それほどの、恐るべき銃砲類。

「でも…。」

未だに身体に残る、強すぎる反動に痺れる肩と両腕に顔を顰め、
柚美は不機嫌そうに、こう漏らす。

「やっぱり、かわいくない…。」

そう。かわいくない。全てが無骨すぎる。
意匠、素材、全長、重量、何もかもにおいて。
それは大の可愛いもの狂いである柚美の美観を著しく損ねるものであり。
それが彼女にとって、何よりも面白くないのだ。

柚実は溜息を付いて、狙撃銃を脇に降ろす。
ともあれ、新型銃の性能は大体把握した。これなら護身以上の事も出来るだろう。
だが、早急に場所を移さないと、誰か他の参加者がこの居場所を嗅ぎつけてくる。
そしてそれは、必ずしも友好的な者達だとは限らないのだ。
そう考え、屋上の出入り口のドアへと振り返ると――。

「いやー。結構なお手前で。」

その入り口近くには、穏やかな微笑を口元にたたえた
銀髪に蒼い瞳の美青年が、柚実に拍手を送っていた。

…一体、いつからそこにいたのか?
気配すら悟られず、柚美は背後を取られていた。
それも、おそらくは随分と前から。

相手に敵意や害意の類は感じられない。
むしろ好意のようなものすら感じられる。

だが、柚美にはそれが無邪気に昆虫を生きたまま解体する幼い子供のような。
一切の邪気なく生命を弄ぶ残酷さに近いものを、感じずにはいられなかった。

「……何者?」
「ん、ぼくかい?ぼくの名前はアベルト・セフティ。
 君の名前も聞いていいかな?」

朗らかな笑みを崩さず、甲冑らしきものを着込んだ銀髪の青年。
ただし、蒼い瞳はどこかしら溝川のような濁りを湛えており。
全身から放つ威圧感は、人のそれとは大幅にかけ離れており。
その笑みには、天性の人喰いのみが見せる嗜虐性が垣間見え。

たとえるなら、それは人の形をした人でない化け物。
そう、どこかで見た事があるような気がするのだ。
彼ではなく、彼と同じ性質を持つ何かを。

 ――あれは、確か…。

「…違う…。……名前なんかじゃ、ない…。」

既知感のある、だが得体の知れない恐怖。
柚美の警戒心を剥き出しにしたその態度に。
アベルトと名乗る青年は、不快を感じるどころか、
むしろ好奇と関心に満ちた態度で彼女を見つめ。

「へえ?初対面で、ぼくが“何者か”って事まで気付いたのかい?
 凄い勘だね。元々君は可愛いし、銃の腕も魅力的だから興味はあったんだけど。
 どうしようかな?」

「…近づかないで!」

言うなり、柚美は傍に置いてあった「もう一つの銃器」を真上に蹴りあげ。
中空で乱暴に掴み、銃口を近づこうとした青年に向ける。

もう一つの銃器の名は、「MG42」。
毎分1200発の発射速度を誇り、人間がまともに食らえばずたずたに
引き裂かれる事もあるというその圧倒的破壊力と独特の発射音は、
「ヒットラーの電動鋸」という凄まじい仇名さえ与えられている。

高層ビルの眼下が地獄絵図になった原因は、主にこれによるもので。
たとえかわいくなかろうとも、これさえあれば敵が何者であっても怖くはないはずだが。

――今はこれでも、酷く頼りなく感じる。

こういう時、頼りにあるあいつがいれば…。
酷くえっちで、非常識で、訳が分からなくて。
欲しいって言っているのに、全然命中させやしないへたっぴで…。
でもどこか憎み切れないあいつがいれば…。
もう少しだけ、勇敢に戦えるはずなのに…。

「あらら。嫌われちゃったかな?」
「……帰って。でないと……。」

右は引き金に指をかけ、左は二脚を強く握りしめ。
機関銃を構え直して、アベルトを威嚇する。これ以上近寄れば撃つ、と。

柚美はうろたえ、そして怯えていた。
これの破壊力は、青年だって充分に眺めている筈。
そして、単なる騎士の手に負えないものである事も理解している筈。
なのに、彼はこれを全く恐れてなどいない。
出来の良い玩具を眺めている子供のように。
天真爛漫に、無邪気に。
…面白がっているのだ。

こちらの怯えを見透かし、その様子を楽しんでさえいる。
その瞳は現実を理解せぬ狂人のものではなく、理性の光すら湛えて。
彼には確証があるのだ。柚美では自分に決して勝てないのだと。
だからこそ、こうして平然といられるのだと。

柚実は喉元からせり上がる恐怖を、唾液と共に呑み下し。
それでも虚勢を張り、まだ慣れぬ新型の銃の狙いを付ける。
――だが。

「撃つのですか?無駄だと思いますけど。」
「…やってみないと………わからないっ!」

酷く嫌な予感がする。
この男が、凄く怖い。
この男と関わると、自分が自分でなくなってしまう。


 ――この男は、危険…!


柚実は己の直感に従い。
あるいは本能的恐怖に負けて、その生命を奪うべく引き金を絞る。
独特の低く唸る電動鋸を起動したような音が、周囲に響き渡り。
それは直ちにアベルトの全身を――。


 ――捉える事は、なかった。


アベルトは引き金を引き絞る気配を見てとるや、神速で柚美の方へと駆け寄り。
右手で銃口を己から外し、左脚を柚美の膝裏へと回して、左腕で顎を軽く押す。

その跳躍の如き踏み込みは、さながらに紫電。
その正確かつ流麗な体術は、さながらに舞踊。

貴族の優雅ささえ感じさせる、だが人であり得ないその動作に。
柚実はあっさりと体勢を崩し、床へと崩れ落ちた。
そして、その上にアベルトが覆い被さる。
機関銃の銃身を、右手に握りしめたまま。
左手で、そのまま柚美の顎を軽くなぞり。

柚美が軌道をアベルトに向けようとする。
が、その腕力は万力に等しく、指一本分程にも動く事はない。
故に機関銃はあらぬ方向を撃ち続け、やがてその弾丸も切れ。
金属製の空薬莢が落下する音が、虚しく響き渡った。

「魔人なんだから、本当は受け止めてあげても良かったんだけどね。
 でも万が一って事もあるから、躱す事にしておいたよ。」
「――魔人っ?!」

柚美は理解する。
この男に感じた、違和感と恐怖の正体に。
道理で、道理で。恐れなどしないはずだ。
この男が、あの魔人ザビエルと等しい存在であるならば。
“無敵結界”の守りが、全ての人の攻撃を無為と化す。
ならば人間の作った銃器など、それこそ玩具にも等しい。
たとえ何をされようとも、傷一つ付く筈がないのだから。

でも、“万が一”って?
柚実は思わず口に疑問を出す。

「うん。どうも“無敵結界”が上手く働いていないようなんだ。
 もしかすると、その銃も効いてしまうかもしれないからね?
 こういう時、人の頃に習った剣術も役立つもんだね。」

アベルトは柚美の顎を左手で軽く撫でながら、微笑で返す。
たとえ攻撃が効こうとも、躱しさえすればよいとばかりに余裕を見せる。
たしかに、魔人の身体能力の高さなら躱す事も出来るのだろう。先程のように。
でも、アベルト自身が言うとおり、無敵結界が「上手く働いていない」のであれば?

 ――だったら

柚美は右腕を背中に回し、最後の切り札を手に取る。
それは父の形見にして最高傑作の「箒星」。
柚美はその長い銃身を旋回させ、その銃口をアベルトの左脚に押し当て。

 ――だったら、勝てる見込みもまたある!

引き金を、引き絞る。

ずどん、と。

これまでの銃器の中では一番小さい、だが何よりも心地よく力強い銃声が響き。
アベルトが、その端正な顔を苦痛に歪める。

柚美はさらに追い打ちに。
左手の機関銃を手放し、箒星の銃身を握り。
残る右手は銃把に添えるようにして。
アベルトの下顎を、銃床で強打する。

ごすんっ。

鈍い、だがその衝撃に確かな手応えを感じ。
柚美はすぐさまアベルトを引き剥がそうと銃床で押すが。

アベルトは健在にして不動。
そこには余裕どころか、歓喜に満ちた笑みさえ浮かべ。
ゆっくりと。だが力づくで。
彼から箒星をもぎ取り、投げ捨てる。
残された武器を。
最後の希望をも。

「やっぱり、少しは効いちゃうみたいだね。だけど…。
 魔人である以上、結界だけじゃなくて身体も人間よりは
 丈夫なんだって事くらいは考えなかったかな?」

見れば、アベルトの左脚は服こそ破れているものの。
その穴から覗く白い肌は、大きな痣が出来たに留まり。
その肉を貫通するには、少々及ばなかったのだ。

「でも、ここまで抵抗するなんてね。楽しませてくれるじゃないか。
 蘇ったこのぼくの第一号の使徒に相応しいと、そう認めよう。」

あまりにも、不条理すぎるこの格差。
どうしようもない絶望。せめて、あいつが傍にいれば…。
目の前の魔人にだって、負けはしなかったのに…。

「……ランスっ……」

柚美は今では愛情すら抱いている、奇妙な異人の口の名を口にする。
だが、それは…。

「へえ?あの人の事まで君は知っているんだ。最高じゃないか。
 元々、あの人の女の子は、全部手に入れるって決めていたから。
 よし、決めた。“君が欲しい”。今すぐモノにしてあげるよ。」

 目の前の悪しき魔人に、更なる愉悦を与えるだけであった。

「………いやっ!………」

柚美は怯え、抵抗を試みる。
だが、両腕を左手一本で抑えられ、組み敷かれてしまった今の状態では
どう足掻こうと何一つ抵抗は敵わない。元より腕力が違いすぎるのだ。

アベルトは自分の唇を強く噛むと、その血を滴らせ。
その顔を柚美の顔に近づける。

柚美には、その行為の意味は分からない。
だが、単なる接吻どころではない恐ろしく致命的な何かが、
柚美の心身に訪れるという事だけは本能で理解でき。
恐怖に声を出す事を抑え、その顔を逸らそうとするも。

努力虚しく、アベルトにその唇を蹂躙された。
アベルトの舌が柚美の歯茎をねぶり、何度となく唇を舐める。
それと同時に。アベルトの、残る右手が全身を這いずる。
その嫌に手慣れた感覚に、身体が意志に反して高揚し。
喰いしばる歯から力が抜け、甘い吐息を上げた瞬間に。

アベルトの舌が口内に割り込み。
自らの唾液に血を絡ませて、柚美に飲ませる。
少しずつ、なじませるように。

「――――んっ……。」

柚美がその血を体内に取りこんだ。
その瞬間に。



     ―どくんっ―


魔人の血が巡り、心拍が跳ね上がり。


     ―どくんっ―


身体が海老反りに、痙攣をおこし。


     ―どくんっ―


未知の感覚が、全身を駆け抜ける。


形容しがたい、だが心身を壊しかねない程の膨大な激痛と快楽。
それが身体中に駆け抜け、全身が大きく痙攣を繰り返し。
柚美は全てを塗り潰されかねない感覚の濁流に飲まれ――。

「ま、上手くいきそうだね。じゃあ改めてついでに頂いちゃおっかな?」

心身を蹂躙する暴力的感覚が邪魔をして、機能不全に陥る五感。
白む視界に、聞こえぬ耳。立っているのかさえ分からぬ感覚。
その中で、ただアベルトの声だけがひどく明瞭に聞こえ。

「………助、けて………」

それはここにはいない男に言ったものか?
あるいは目の前の魔人に嘆願したものか?

だが、その呟きは聞き入られる事なく。
柚美はアベルトに抱き寄せられ。
全てを、奪われた――。

<キングクリムゾン!……忙しくなりそうだな


「やっぱり、君はランスさんのお手付きだったんだね。
 ということは、これでランスさんと兄弟になれたってことかな?
 ははっ。ちょっとだけあの人に近づけて嬉しい気分だよ。」

「…………………うん…」

アベルトは朗らかに笑いながら、着衣の乱れを直し。
柚美は陶然とした表情で、アベルトを見つめる。いや、見惚れている。
そこには、これまでにあった恐れや敵意といったものは一切なく。
むしろ想いを寄せる女の貌を浮かべていた。

「どうだい、生まれ変わった身体の方は?」

アベルトがした事は、単に柚美の貞操を奪っただけではない。
それは単なる『ついで』に過ぎず、本来の目的は別にあった。

――使徒の創造。

魔王の魔血魂を取りこんだ、魔人のみが為し得る奇跡。
魔王がその血と力を与えて魔人を創造するように、
魔人はその血と力を与えて使徒を創造する。

魔人の血を与えられたものは例外なく身体能力が強化され、不老を得る。
そしてその血を与えた魔人を主として、契約による忠誠を誓う事になる。
使徒は魔人のような『無敵結界』の恩恵を得る事は出来ないが、
反面精神的な支配力は魔王から魔人のような、絶対的なものではない。
現に、使徒だった頃のアベルトがその主たる魔人カミーラに反旗を翻せたように。

ただ、使徒になる際に能力が高められたり、外見が劇的な変化を起こす場合もある。
魔人ザビエルの使徒、しかり。
――柚美の場合は?

「………悪く、ない……」

人から使徒へと生まれ変わった、柚美のその身体は?

その黒髪は腰に届く長さにまで伸び。
伸びた肢体、そして質量を増した胸部と臀部により
着た学生服がはきちれんばかりに膨れ上がり。
その可憐さを感じさせた顔は怜悧な美貌へと変わり。
外見は、大人のそれへと成長を遂げていた。

柚美が大人へと成長した原因は、複数ある。
柚美自身が以前から「可愛い子供を生んで、その母親になりたい」と願っていた事。
また、その主であるアベルトの「凛として、鋼のように強く、鞭のようにしなやかで、
どんな事にも負けない。 それでいて艶やかな女性」を理想の女性とする
捩じれた性癖が、二重に彼女の肉体に作用したのだ。
この変化は偶然ではない。むしろ必然である。

「……それに、凄く…良かったから……」

柚美は俯きながら、情事の感想を漏らす。
その声と視線は愛する者に向けるそのもの。

「ランスさんより?はははっ、それは光栄だね。
 あの人はぼくと目標を同じくする、永遠のライバルだからね。」

「………馬鹿……。」

柚美はその成長した身体の調子を確かめながら、頬を染め。
アベルトに、照れたように。拗ねたように。小さく声を漏らす。
もはやそこには、先程まで抱いていた生理的嫌悪の類は微塵もない。

 ――柚原柚美の心身の在り様は、アベルトにより完全に捻じ曲げられたのだ…。

「…でも……。」

「でも?」

不意に柚美の顔が陰りを帯び。
アベルトがそれに不審を感じ。
忠誠の綻びを疑ったアベルトが、優しく。
だが沈黙を許さぬ語調で、彼女に問いかける。

「……かわいくない…」

下らないとは言えば、あまりにも下らなさすぎる回答に。
アベルトは前のめりに倒れそうになったが。
その意識を抑え、彼女が満足を得られる回答を用意する。
たかが女性一人の人心掌握が出来ずして、世界の掌握など夢のまた夢。
アベルトは、今や使徒と化した柚美に優しく応じる。

「そう言えばそうだね。今の君は可愛いというより、美しいって感じかな?
 でも、その方が君にとっても都合良くはないかい?」

「……どうして?」

「大人の女性の身体の方が、可愛い子供は産みやすいし、懐き易いからさ。
 僕の知り合いのキムチさんだって、それで随分と子供に慕われたものさ。」

「……だったら……、このままで…いい……。」

柚美は満足げに自分の身体を見つめ。
その両腕に何かをかき抱くかのようにして、己の身体の具合を堪能している。
彼女の脳内では可愛い子供を抱き締めている光景が、おそらくはあるのだろう。

アベルトは柚美の満足したその様子に冷笑を浮かべ。
ここに一人完全なる忠実な下僕が生まれた事に確信を抱いた。

知人のキムチが子供達に慕われていたのは、
実はその大人だけが持つ成熟した美しい外見だけではなく、
慈母のような美しい内面に負う部分も大きかったのだが。
アベルトには、それまで一々説明する義務も必要性もない。

彼女が満足するであろう言葉を用意し、それを与え続ければよい。
魔人の血のみでは不十分であるなら、愛欲なり物欲なりを与えれば補強出来る。
ただそれだけのことである。

アベルトには一つの野望があった。
この殺し合い云々はどうでもいい。

むしろ、こうして再び血肉を得て蘇り。
同じ会場に不完全なままの魔王(リトルプリンセス)がいる以上。
これを絶好の機会として、己の野望を叶えたいと今もなお願っている。

まずは手始めに、柚美のような魅力的かつ強い女性を掻き集め。
邪魔な別の魔人達を倒し、覚醒前の魔王を倒して成り代わり。
世界を掌握をするという壮大な野望が。

――確かに。
優勝すればこのゲームの主催者は如何なる願いも叶えてくれるとの事ではあるが。
たとえそれが可能でも、願いというものは自らの手で叶えない事には意味がない。
他人から、犬の餌のように与えられたものでは詰まらない。

「なにより、そんなのって全然楽しくありませんからね…。
 絶対に欲しいものは、自分の手で掴み取ってこそ華じゃないですか。
 貴方だってそう思いますよね、ランスさん?」

アベルトはビルの屋上から遠くを眺めながら、
この場にはいない尊敬の念を抱く男性に対してそう呟いた。
――彼の壮大な計画は、今まさに始まったばかりである。

だが、彼は知らない。
その魔王である来水美樹が、同時刻に既に失格となっており。
首輪を外してハニービルにでも直接乗り込まない限り、
野望の実現は不可能である事に。

彼の最初から躓きの様相を呈する、無謀も極まる野望は。
今まさに周囲を巻き込みながら、喜劇の幕を上げようとしていた…。

【フナイ/1日目・朝】
【アベルト・セフティ@Ranceシリーズ】
[状態]:魔人、左脚に打撲跡の痣(軽傷)
[装備]:モエモエソード
[道具]:基本支給品、不明支給品×2
[思考]基本:このゲームを利用して、美樹を殺して魔王になり世界を掌握する。
     1:理想の女性を手に入れる為、気に入った女性をかき集める。
     2:場合によれば「試練」を与えてみるのも良いかもしれない。
     3:ランスが手を付けた女性を優先して寝取る。
[備考]:RanceⅥ-ゼス崩壊-の挑戦モード後からの参戦です。
    柚原柚美を己の使徒にしましたが、まだ名前を聞いていません。

【モエモエソード@RanceⅥ-ゼス崩壊-】
初期装備。使用者の実力に応じて大きさの変わるアベルトの帯剣。
現在は魔人なのでグレートソード大へと変貌を遂げている。

【柚原柚美@Ranceシリーズ】
[状態]:使徒化(外見は大人)
[装備]:MG42(0/250)、バレットM82A1(10/10+1)、箒星(0/1)
[道具]:基本支給品
    MG42用の7.92mm×57のベルトリンク(装弾数250)入りの弾薬箱×4
    バレットM82A1用のマガジン(装弾数10)×2
    箒星用の弾薬一式(装弾数1)×10
[思考]基本:魔人アベルトに従う。
     1:ランスに出会ったら?
[備考]:正史ルート終了後、キャラクリ状態からの参戦です。
    使徒化した際の作用により、肉体が大人(二十代前半)になってます。
    その為、来ている服がかなり窮屈な事になってます。

【箒星@戦国ランス】
柚原柚美の父の最高傑作にして形見の火縄銃。

【バレットM82A1(Barrett M82A1)@現実】
全長:1447.8mm 重量:12.9kg 口径:.50BMG(12.7x99mm弾) 装弾数:10+1
対装甲車を目的とした個人運用可能な対物ライフルとしてロニー バレットが設計、
1982年にバレット社から発売された50口径セミオート式の狙撃ライフル。
湾岸戦争においても、数々の逸話を残している。ただし、非常に嵩張る上に重い。

【グロスフスMG42機関銃(Maschinengewehr)42@現実】
全長:1220mm 重量:11.6kg 口径:7.92mm×57 装弾数:ベルト給弾式
通称MG42。別名、『ヒットラーの電動鋸』
第二次世界大戦内の1942年にナチス・ドイツにより開発・供給された汎用機関銃。
なお、ここではMG42用のベルトリンク(装弾数250)が4つが付いてくるものとする。
添付ファイル




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