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おかしな二人



オオサカの市庁舎、その市長室の高級そうなソファーに
気だるそうに腰掛けながら一人の女性が煙草を燻らせていた。
紅いスーツに白い眼帯、傍らに無骨なマシンガンを携えた
少しスレた感じのするその女性の名は五十嵐紅美。
香辺、征嵐学園の番長であるB能力者である。
寛ぐと言うよりは思いっきりダレながら
ソファーに背もたれて口を開く。

「めんッッッッッッどくさいわ、ホンマ!」

大量の白い煙を吐き出しながら開口一番に文句をたれる。
既に市長席に(勝手に)置かれた灰皿は吸殻で
満杯になっており、その上に問答無用でドンドンと
新しい吸殻が積み重ねられていく。

「殺し合いとか知らんわ、んなもん。
 やりたい奴等でやれっちゅうねん!!」

苛々としながら紅美はひたすらに煙草に火をつけていく。

やる気が無い。
とことん無い。
何で呼ばれたのすら分からない。

「…ったく、アタシは急がしいっちゅうに
 余計な事してる暇なんてないねん」

それも当然といえるかもしれない。
香辺独立のみを考える紅美にしてみれば
偉い迷惑でしかないのであるから。

「勝手にやってドンドン減りぃ、
 アタシは最後の漁夫の利で終いや」

外の景色に目を向けて紅美はボソリと呟く。
立ち上がり、窓から外を眺める。
外の景色は生まれ育った香辺に良く似ている。
それ故に此処からの眺めはどこか落ち着かせてくれる。

「ちっちゃいわ……本当、ちっちゃいわ…」

高層ビルから見下ろす景色はパノラマ模型を見ているようで
紅美の胸に幾つかの思いが交錯する。
足元に目を向けた時、この市庁舎に誰かが入ってくるのが見えた。

「チッ」

舌打ちをし、置いておいたマシンガンを拾い上げる。
予備の弾倉を確認し、紅美は市長室の扉を開ける。

「こっちはやる気ないっちゅうに……
 勘弁しぃや」

渋々と言った感じで紅美は動き出した。


☆   ☆   ☆   ☆


少年とも少女とも取れる一人の人間が走る。
便宜上、面倒くさいので仮に少女で統一しておくとして、
少女、坂本龍馬は目を輝かせて目の前の巨大な建物へと駆け込んだ。

「う、うおぉぉぉぉっ!? でっけえぇ!!
 それに広えぇぇぇっ!!」

見るもの全てが珍しいといった感じで
龍馬は周囲の物を意味無く叩いてみたり、
飛び乗ってみたり、ビビッてみたりしている。

猿か。

第一にして龍馬がこの市庁舎に入ってきた理由も
「何かでかくて、偉そう」というしょうも無い理由なので
仕方が無いといえば仕方が無い。

JAPANの地獄穴がある故に鬼が溢れ、
世捨て人、捨て子、疵物、ノロイつきが捨てられる
廃棄場、死国の生まれである龍馬にしてみれば
ここオオサカはただあるだけで某ネズミの夢の国並みの
ドリームワールドなのである。
まぁ、オオサカにも遊園地はあるけれど。

要するに田舎者、超ド田舎の。

「っかぁ~!! ゴンに美禰、
 あとついでに譲にも見してやりてぇなぁ!!」

応対用のテーブルに寝っころがりながら、
ついでに勝手に茶菓子を摘み始める。

「ゴンはさっきのに良くわかんねぇけど見えたから
 無事なんだろ、多分」

ハニービルにて映し出された映像に親代わりの
ゴンの姿は確認できた。
他の二人も多分無事に違いない。
ならば、龍馬がする事は一つである。

「用は全員ぶっ殺せばいいって事だろ、
 やってやろうじゃん!」

拳を突き上げて、今はここにいない仲間に誓う。

「残念やな、お前がいっちゃん最初の脱落者や!」

その宣言を嘲笑う様に声が聞こえ、
同時に何丁もの鉄砲を同時に撃ち始めたような音が響き渡る。

「うぉっ!!」

慌てて、その場を転がり身体を逸らす。
テーブルから落ちて背中を強かに打ったが、
止まらずに事務机が並ぶ奥へと飛び込む。

「……痛ってぇ~、何だよ、クソッ!」

背中を擦りながら、身を隠しつつ
自分へと発砲(?)した者へと視線を向ける。

「何時までもアホなことしとってくれたからに
 探す手間ぁ省けたわ、そんじゃあ…」

階段らしき場所の壁の死角から声が聞こえ、
ちらりと紅い衣服が見える。
龍馬がもう少し姿を確認しようとした時、
襲撃者は同時に身を乗り出した。
紅い衣服に白い眼帯、ボサボサとした長髪の女性が
手に見たことも無い鉄砲を構えている。

「死ねや!!」

「やべっ!?」

直感的に危険を察知して龍馬は走り出す。
先程まで龍馬が隠れていた場所が無数の発砲音と
共に吹っ飛ばされる。

「うおぉぉぉぉっ!?」

後ろを見れば次々と吹っ飛ばされていく机や椅子に
焦りつつ、とにかく突っ走る。
後を追う様に向けられる照準をギリギリで避けて
今度は柱の裏へと飛び込む。

「……ハァッハァッ…ちょ、ちょっとたんま、
 それ反則、マジで反則!!」

息を切らせつつ、襲撃者に向かって抗議する。

「アホか、反則もナニもあるかい!」

「あぁ、そりゃそっか!」

ポンと手を鳴らしつつ、龍馬が納得する声を聞いて
襲撃者である五十嵐紅美は呆れる。

「堂々と『自分は危険人物ですよ』したり、
 今も気ぃ抜いといたり、自分ホンマもんのアホか?」

だが、だからといって見逃すほど甘い女ではない紅美は速やかに
次の狙撃ポイントへの移動を始める。
その気配を察知して龍馬も考えを巡らす。

(真正面から行ったら、それでオジャン。
 如何したもんだか……)

自分の装備品は刀とクナイ、
あの武器と戦うには心許なすぎる。
かといって、見逃してくれそうな相手でもない。

(やべ、八方塞じゃん…)

そこで倒れて散らばる物に目を向ける。

「こうなりゃ、破れかぶれだっ!!」

クナイを節約するために目に付くものを手当たり次第に
紅美に向かって投げつける。

「…チッ! ガキかホンマに。
 往生しぃや!!」

次々に目の前を飛び交う文具やら机の脚やらなんかの部品やらに
イラつきつつ、紅美も龍馬に向かって引き金を引こうとして
飛んできた物体に目を丸くする。
紅美のスーツと同じくらい紅い物体、消火器である。
既に指は引き金を引いている、止められない。

「しもた、アカ――」

発砲音が鳴り、銃弾が無数に飛び出す。
直進するそれらはその進路を妨害する物にめり込み破壊していく。
それはあの消火器も例外ではなく。

破裂音と共に周囲の景色が一瞬にして白一色に染まる。
内部の消化剤がぶちまけられた結果である。

「なんかしらねぇけど、チャンス?」

初めて巡って来た好機に龍馬は俊敏に動き、
煙幕の中へと身を隠す。
龍馬の姿を見失い、紅美が今までとは逆に焦りを覚える。

(拙い、アタシは硝煙やら何やらで臭い過ぎる!
 クソッ、早よ離れな……)

周囲を走る音が聴こえる。
焦る紅美は上手くそれを捕捉する事が出来ない。

「見つけたぜッ、あんた煙臭過ぎ!」

声と同時に白い煙幕を縫って龍馬が飛び出す。

「チィッ!」

「貰いッ!」

龍馬の刀が、
紅美のマシンガンが
交錯する。


………………………。


龍馬の刀は紅美の喉元に。
紅美のマシンガンは龍馬の腹に押し当てられている。

「どないする? 我がやる気なら道連れや」

紅美は喉元に当てられた刀に目を向けつつ、
不敵な笑いを浮かべる。
だが、その額からは一滴の汗が垂れている。
それは龍馬も同様であり、
互いに動く事が出来ない。
お互いに死ぬ訳にはいかないから、
相討ちは最悪の結果でしかない。
互いに微動だにせず、
時間だけが流れる。

何時までも続くかと思われたそれを
先に打ち破ったのは紅美であった。

「……オマエ、アタシと組まへんか?」

「……ハァ?」

紅美の提案に龍馬は眉を顰める。
それを意に介さずに紅美が続ける。

「まぁ、聞きぃ。
 本来ならアタシが10:0でオマエの事、
 ぶち殺してた筈や。
 それが今じゃ、この様。
 オマエには運が付いとる」

紅美の言葉に真意は分からずとも心中で龍馬は同意する。
はっきりいってこの状況は奇跡でしかない。

「オマエもアタシも死ねへん。
 なら、この際、手っ取り早いのは
 手ェ組んで水に流す事や。
 そう思わへんか?」

龍馬は考える。
はっきりいって紅美は怪しい。
いきなり発砲してくるような奴である。
だが、一方で言っている事もまた正しい。

(さて、如何しよっかな?)

ドクン。

思案する龍馬に不意に訪れる異変。
身体が、熱い。

(やっべぇ、こんな時に!!)

どんどん血が滾る。
自制も暫くすれば効かなくなり始めるはずだろう。
仕方なく竜馬も覚悟を決めた。

「分かった……でも条件がある」

龍馬の言葉に紅美の口元がニィッと歪む。

「何や、言うてみ?」

「やらして」

さっきまでとは違う意味での沈黙。
両者共に既に武器を降ろしている。

「あかん、耳がおかしぃなったかな?
 もう一度、言うてくれへん?」

「だからやらして」

「……おまっ、そっちの気ェか!?」

紅美が顔を歪めつつ、若干後退りする。

「違うって、ホレ」

紅美の手を取り、龍馬はそれを自分の股間へ持っていく。

チーン。

紅美の手がその少女に似つかわしくない異物の感触を覚える。

「……ハァ?」

「いや、だから」

チーン×3

「揉ますなッ!! だ、大体の事情は分かったわ」

龍馬の手を振り払い、若干眉を顰めつつ
紅美が龍馬の言葉の意味を悟る。
まぁ、文字通りの意味である。

「けったいな条件ぬかしおるからに……
 ホンマにそれでえぇんやな?」

「良いの!?」

まるで遊びをねだる子犬の様な表情で龍馬が紅美に迫る。
それに対して紅美は頭をボリボリと掻いて
仕方なさ気に呟く。

「提案したんわ、アタシや。
 それが条件言ぅなら、しゃあないやろ……」

「んじゃ、早速。 そろそろ俺も限界」

「しっかし、変わっとる奴やな自分。
 よぅもこんなタッパぁあるコレモンとやりたがるわ」

自分の右目を指差し、紅美は自嘲気味に笑う。

「えっ? そんなん普通じゃん?」

あっけらかんと龍馬はその言葉を流す。
死国という過酷な環境で過ごしてきた龍馬にとって
紅美のそれは日頃見てきたものと何ら変わりは無いのである。

「まぁ、いいわ。
 そこまで言うならどこまでやれるか
 試してもらおうやないか」


<キングクリムゾン!……エッ!マジで!?


事を終えて、興奮状態から醒めた龍馬を
紅美は自分の胸の上からどかす。

「……終わったんなら退けや、
 ったく変わった身体したやっちゃな」

行為に至る前に突然興奮しだした龍馬に
大体の事情は聞いたが紅美にしてみても
開きたくもない新世界の扉を開いてしまったわけで、
もうそこらへんは如何でも良くなっていた。

「…あぁ~、そういや俺、龍馬。
 坂本龍馬」

とても今更間のある自己紹介である。
しかも当の本人が紅美にどかされた状態のまま
しかも片手で紅美の胸を揉んでいるから
尚更しまらない。

「揉むなっ! 何やねんな…
 アタシは五十嵐紅美や。
 そんじゃ、よろしく頼むで龍馬」

起き上がり、服を羽織り始める紅美の背後に
こっそりと周り、龍馬は両手で紅美の胸を鷲掴む。

「おう、任せとけっ!」

「……揉むなちゅうとるやろ!」

下品な笑いを浮かべる龍馬に鉄拳制裁を食らわす紅美であった。

【ハルセ/一日目・朝】
【五十嵐紅美@大番長】
[状態]:健康、半裸
[装備]:マシンガン
[道具]:支給品一式、不明支給品×2
[思考]:1.龍馬と二人で優勝を目指す
    2.まぁ、最終的には裏切る

【坂本龍馬@戦国ランス】
[状態]:健康、全裸
[装備]:刀
[道具]:支給品一式、クナイ(10本)、不明支給品×1
[思考]:1.紅美と二人で優勝を目指す
    2.まぁ、最終的には裏切る

【クナイ@戦国ランス】
 龍馬が使っていたものと何ら代わりの無いもの。
 特殊な効果も無い。
添付ファイル




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