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海外の太陽光発電状況
2004年に始まったドイツでの太陽光発電の需要爆発は
欧州を起点としてアメリカやアジア、中東へと普及し
高成長を続けています。
これらはFIT(フィードインタリフ=買上制度)などの
政策支援によって実現したものですが同時期日本では
政府の補助金削減が進みついに2006年には補助金を
なくしてしまいました。
最近の海外における太陽光発電の状況をまとめてみました。
以下の順で連載します。
(ヨーロッパ)
(アメリカ)
(台湾)
(中国)
(韓国)
(インド)
(シンガポール)
(マレーシア)
(中近東)
(ヨーロッパ)
2007年のEU議会では2020年までにエネルギー消費量の
2割を再生可能なエネルギーにすることが決められました。
イギリスの場合は強烈で全体目標は15パーセントなのに
太陽光だけが35パーセントになっています。
ドイツは早くも2005年には太陽光発電の年間設置量で
日本を抜き、累計においても2006年には日本を抜いて
世界一の座に躍り出ています。
当時の日本はシャープが7年連続して首位の座にあり
我が世の春を横臥していましたが、アッという間に
Qセルズに抜かれています。
これはシャープの責任ではなく政策の問題であったのに
世界中のマスコミが象徴的な出来事として大きく取り上げ
ました。
2007年にはスペインで需要爆発し、フランス、イタリア、
ギリシャとヨーロッパ全域に拡大しています。
イギリスも2008年にはFITを導入しBRS(購入義務)との
2本立てになりました。
太陽光発電産業はシリコンをはじめとする原材料に始まり
アルミ枠やガラス、フィルム、シールド材などの副資材、
原材料加工装置やインバーターやコントローラーなどの
周辺機器、建設、設置、メンテナンスなど裾野が広く
ドイツでは2007年には新たな雇用が25万人生まれています。
ドイツでは太陽光以外の再生可能エネルギーとしては
風力発電も盛んで北部では電力が有り余る状態になっています。
これは電力大消費地の南部工業地帯へ送電する送電網が
完備していないからで電磁波規制の厳しいヨーロッパでは
住民運動が激しくて送電ネットワークの構築がままなりません。
日本の原発事故の影響を受けて19基の原発の内8基をを停止
したにもかかわらずオランダやオーストリア、スイスなど
隣国への電力輸出は2011年に比べると2012年は実に4倍もの
高い伸びになっています。
ヨーロッパでは高速列車網と同じで送電ネットワークを
早くから構築していたので国境を超えて送電するのが
当たり前のことになっています。
変電所がはるか遠くにある自国よりもすぐ近くにある隣国から
送電線を引けばいいという経済的で合理的な考えです。
そのためドイツにおいても2012年は電力輸出が666億kwに
対して輸入は438億kwになっています。輸入先は隣国の
フランス、デンマーク、チェコが多くなっています。
ヨーロッパには再生可能エネルギー関連の企業は
万とありますがその中でも世界的に有名な企業をピックアップ
してみました。
Qセルズ(ドイツ):2012年破綻 多結晶
歴史に残る急成長、2年連続世界一、そして急破綻。
原因は中国製パネルの超安値(ワット単価80円)攻勢に敗北。
アベンゴア・ソーラー社(スペイン):タワー式太陽熱発電
太陽熱発電にもかかわらず夜間も連続して24時間発電を
続けている太陽熱発電会社。
昼間発電した11メガワットの電力の一部を融解塩を熱して
エネルギーを貯蔵し夜間の発電に使用。
太陽光発電では光を直接電力に変えるので太陽熱発電でないと
この方法は使えません。
アクティブ・ソーラー社(オーストリア):単結晶
ウクライナに45万枚以上の太陽光パネルを設置。
2012年から本格稼働。出力10万kw。
イソフォトン社(スペイン):単結晶
スペインでは太陽光専門30年の老舗。2012年日本進出。
30年出力保証。CV21と提携。
REC社(ノルウェー):単結晶
シンガポール工場でシリコンウエハからモジュールまでを
一貫生産。
(アメリカ)
オバマ政権が誕生するまでは連邦政府はあまり熱心では
ありませんでした。民主党は再生可能エネルギー導入には
熱心でしたが共和党が石油開発とセットにしたためです。
オバマ政権誕生後はドイツほどではありませんが
国家として、アメリカでは連邦政府としてになりますが
再生エネルギー推進のため投資負担軽減策が2008年で
切れるのを風力発電の1年間延長に対して太陽光発電は
8年と破格の措置を下しこれを電力会社にも適用したため
メガソーラーブームに火がつきました。
アメリカの場合は連邦政府の減税措置に加えて
州の優遇措置の影響が大きくシュワちゃんこと
シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事が
充実した支援策を打ち出したため全米太陽光発電の8割は
カリフォルニア州に集中したところから出発しています。
もっともダイナミックなのはネバダ州の空軍敷地内に1億ドルもの
費用をかけて72000台もの大型パネルを設置したもの。
空軍内の一部である57ヘクタールの広大な土地はパネルだらけ。
580万個もの電池のセルが発電するパワーは14.2メガワット。
電力大食い施設である空軍基地の1/4をまかなうという
大容量発電設備でこれは新しいビジネスモデルも展開していて、
日本やヨーロッパ、カナダなどのキャップ・アンド・トレード制度
とはことなり、空軍の設備投資負担はゼロ。
20年契約の電気料金支払いでまかなう内容になっています。
NAFBのCEOマット・チェニーはすべての基地に設置すると意欲満々。
この画期的なビジネスモデルは利用者の設備投資負担がゼロ
なので電力の大口需要家に広く普及する可能性を秘めています。
こちらは技術開発と言うより従来型ソリッドタイプの太陽光パネルで
100億円単位のお金を動かし新しいビジネスモデルを展開する
実業派タイプです。
ファースト・ソーラー社:CdTe ワット単価60円を実現。
文句なしの世界一。
工場はアメリカ本国とドイツ及びマレーシア。
マレーシアの大規模工場により業界一位の低コストを実現。
サンパワー社:単結晶
工場はフィリピン。東芝にOEM供給。シャープにも予定。
グローバル・ソーラー社:CIGS
工場はアメリカ本国とドイツ。
ナノソーラー社:CIGS、印刷式
ユナイテッド・ソーラー社:3層薄膜
パワーフレックス社:CIGSフレキシブル
製造方法が特殊で緑色をしています。
パワーフィルム社:アモルファス・フレキシブル
その他、サンライト社など薄膜系が多くなっています。
アメリカではベンチャー企業が乱立しているため
ソーラーパネル関連企業は増加の一方になっていて
その数は毎年百社単位で増え続けています。
(台湾)
台湾のメーカーが2004年に始まったヨーロッパでの
需要爆発を見逃すはずがありません。
2005年にはソーラーセル製造メーカーの乱立が開始
されています。
2007年には日本に追いつき2008年以後は加速度的に
大きく引き離しています。
もともと台湾は半導体王国でしたから大手メーカーが
相次いで薄膜に参加し早々に生産を開始しています。
シリコンアイランドがアッという間にソーラーアイランド
に変身しています。
大手4社にその他大勢というのは日本に似ていますが
半導体メーカーのすぐれた技術者が大挙して参入したと
いう構図は韓国の太陽光発電業界に近くなっています。
モーテック社
台湾の太陽光発電トップメーカー。
2007年には早くも世界第6位の生産量を達成。
中国のサンテックと並んで世界を代表するメーカーに
急成長しました。
ジンテック社
モーテックと並んで台湾を代表する太陽光発電メーカー。
2005年の設立にもかかわらずわずか5年後の2010年には
第三工場まで建設して世界の1割強を占めるまでに。
デルソーラー社
デスクトップパソコン組み立てマニアにはおなじみの
サーバー電源や放熱ファンの世界トップメーカーである
デルタ電子の子会社。設立は2004年。
2010年には第二工場も完成させ生産能力も1000ギガに。
親会社のデルタ電子も新発電システムの開発に注力。
ネオソーラーパワー社
半導体大手のTSMCや力晶半導体の技術者OBが設立。
設立は2005年。
原材料のシリコンウエハはノルウェーのREC社から購入。
製品はCEOが中国系カナダ人のカナディアンソーラーへ
OEM供給。
サンウェル・ソーラー社
メディアストレージ大手のCMCマグネティクスの子会社。
2007年設立。
アモルファスシリコン製造。
オーリア・ソーラー社
2008年設立。
アモルファスシリコンパネル製造。
エリコン・ソーラー製装置で生産。
これら以外にも大手液晶パネルメーカーの友達光電や
奇美電子は子会社にてアモルファスシリコンなどを
製造し生き残りをかけて第三世代の技術開発に
チカラを入れています。
他にもナノウィン・テクノロジー社がCIGS開発に
専念しているなどたくさんあります。
教材や個人の趣味向けの小型パネルを製造しているのは
オプトサプライ・ソーラー社で秋葉原や日本橋などの
電気部品店で2009年から小売りされていますが
今では当時の半額近くに価格が下がっています。
中国製ならさらにその半額以下で販売されています。
10Wクラスの小型パネルであっても数百万枚も
製造していますから年間生産量のギガワットに達します。
OEM供給元になっているところが多いのが特徴です。
(中国)
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ソーラーパネルコスト比較
1ワットあたりいくらかかるかという比較です。
単位面積(1㎡)あたりのワット数で変換効率の推測ができます。
ワットあたりの単価が高価な順番です。
Panasonic、HIT230、230W、\166950、179W/㎡、ワット単価725円、
東芝、SPR-210N-WHT-J、210W、\147000、169W/㎡、ワット単価700円、
三菱電機、PV-MA2000B、200W、\134400、141W/㎡、ワット単価672円、
サンテックパワージャパンは親会社のサンテックパワーが
先日経営破綻しましたが営業は継続するようです。
サンテックパワー、BlackLabelSTP190S-24、190W、\119700、149W/㎡、
ワット単価630円、
保証は10年というのがこの業界ですがサンテックパワーは
システム保証が10年、モジュール保証が25年という長期です。
世界シェアトップだけあって自信のほどが伺えます。
カネカ、J-AV330、フレームレスの独自構造、91W/㎡、ワット単価600円、
薄膜シリコン+アモルファス=吸収光波長拡大、
設置面積が大きくなりますが屋根に穴をあけることなく設置可能で
防水性能に優れています。
京セラ、SAMURAIKJ775P-3CSCA、77.5W、\45150、133W/㎡
ワット単価582円、
段葺き形状設置で一見瓦のようなカッコイイ外観です。
ソーラーフロンティア、SF140-K、140W、\77910、114W/㎡、
ワット単価557円、
シリコンを使用しない化合物系なのでカネカ同様に安定した発電が
魅力的です。
ソーラーフロンティアは化合物系では歴史も実績もあり
モジュールの保証期間は長く20年になっています。
化合物系は変換効率が悪くてもシリコン系に比べると発電総量は
単位面積あたりで1割程度高くなります。
このあたりがソーラーパネルを選択するときに悩むところです。
ホンダソルテック、HEM130PCB、130W、\62790、116W/㎡、
ワット単価483円、
同じく化合物系。
シャープ、ND-165AA、165W、\75810、143W/㎡、ワット単価459円、
多結晶シリコンですが単結晶との変換効率差はなくなっています。
10年前は世界のリーダーとして我が世の春を横臥していました。
サニックス、PVMS188、188W、153W/㎡、\54000、ワット単価287円、
韓国LGグループLS産業のパネル、低価格戦略で急速にシェアを
伸ばしています。
このほかにも実に多くのパネルが氾濫しています。
アタッシュケースの大きさで展開するもの、
太陽光自動追尾式で発電効率が固定式の3倍もあるもの、
DIYで蓄電池や充電コントローラー、インバーターなどとセットに
なっているものは比較のしようがありません。
今年の大ニュースは中国のサンテックパワーが経営破綻したことで
これにより中国の他のメーカーがシェアを奪うため、
思い切った低価格戦略に打って出ることが予想されます。
(中国)
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