———それを追ってるんだけれどねそんな事も言えず、おもむろに携帯を取り出す———何か情報入ってないかな・・・どうやらTL上では特に何も盛り上がってはいない。おそらくまだ、認識している人間が少ないか、そうでなければ既に忘れきっているか。twitterの登場で、10分前は昔だし、1時間前は大昔と言っても可笑しく無いぐらい情報の速度が増しているのを実感している翼にとって目新しい情報は何もなかった。———リプライでも見てみるかなYurioka_1@zen_bay そういえば、さっきその女の子とやら、玄関で靴投げて遊んでたみたいですよ?———玄関、か。行ってみるかな。何かあるかも。「あ、もう大丈夫です」気づけばもう保健室は眼と鼻の先だった。「そう?気をつけてね?」「はい・・・ありがとうございました」———そういえば、あの子どうやって保健の先生に説明するんだろう。そんな今更な疑問を頭に、保健室を背にして玄関へ向かう。———にしても、玄関で靴投げて遊んでた、って・・・どういう状況なのかを想像する。靴を投げて遊ぶ、というのだから、まぁ靴がそこいら中に散らかっているのだろう。———でもまぁ、子供の悪戯みたいなもんでしょうし・・・最悪の事態を常に想定しろ、とは言った物だが所詮子供は子供、子供の考える最悪はそこまで最悪じゃないものだ。そう軽い気持ちで玄関の扉を開けると、そこは予想を超えた惨状だった。「何これ・・・」冒頭でも説明したが、ここ私立奥島学園女子高等学校には3000人あまりの生徒がいる。当然、玄関には3000足の靴があるのだが———「こんなのってないよ・・・」その3000足全てがあちこちに散らばっていた。大小様々、ブーツもあればスニーカーもあり、あぁ、世の中にはこんなに靴があるのかと思わずため息が出るほど靴が散らかっていた。しかもよく見ると、全ての靴が互い違い・・・例えばブーツとスニーカーが互いのひもで結ばれていて正しくペアの靴を探すには相当の時間を割く事になるであろうことは誰が見ても明らかだった。「子供のいたずらってレベルじゃないわね・・・最早都市伝説よ・・・」———都市伝説ふと自ら呟いた言葉が心にひっかかる。都市伝説。もしかして、本当の本当に、あの白い幼女は都市伝説なのではないだろうか。世の中に絶対は無い。絶対に。なんてギャグをかますつもりはないが、ここまでの惨状を見せつけられるとそう信じたくもなる。いや、そう信じないと説明がつかない。どう考えても無理なのだ。靴を散らかすだけならまだしも、全ての靴が互い違いなんてのは可笑しいにもほどがある。
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