川 ゚ -゚)はACを駆使して復讐するようです 第壱話

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【―――ザザッ……オペレータ、熱源の数は?】 【―――ザザッ……レイヴン、敵部隊の熱源は無しです。】 【了解した。では回収部隊を送ってくれ。】 【待って……レイヴン、高速で接近する熱源をキャッチ。注意してください】 【増援か……。その熱源の正体は判るか?】 【今調べてます……確認完了。サブランカーACゴードンエッグです。】 【格下か……OK。相手しよう】 【ですが、今回の契約だと中型MTの排除だけと書いていますが……どうします?】 【嗚呼、コイツを殺しても報酬は出ないのか、なら撤退する】 【了解しました。では、さっさと作戦領域から脱出しましょう。相手はタンク型のACなので逃げ切れるはずです。】 【わかった。念の為にOBを発動して脱出する。DENGER HEATの警告音が鳴っても気にしないでくれ。】 【―――ザザッ……レイヴン、了解しました。】 コア部の背中が開き、その開いたスペースに膨大な熱量を一点に集中させる。 そのエネルギーを無理やり圧縮させた後、一気に開放させる。 一瞬のうちに機体の速度は上昇し、自機の速度が1228km/h とタッチパネルに表示された。 操縦席の室温もあっという間に80度を記録し、Gの影響で体が押し潰される。 【ビー!!ビー!!DENGER HEAT!!DENGER HEAT!!】 機体がオーバーヒート寸前にまで温度が上昇し、警告音が鳴る。 レーダを確認し2枚目のタッチパネルを開く。 【5秒後に作戦領域外に到着】とパネルに表示される。 到着するまでの間、操縦席の温度と機体の速度は上昇し続けた。 【―――ザザッ……作戦領域からの脱出を確認。回収部隊が約一分後に到着します】 【―――ザザッ……了解。『ムーン・チルドレン』帰還する。システム通常モードに移行させます。】 ―――ブツッ!! 川; ゚ -゚)「熱っちー!!!終わったー!!帰ったら、スピリタスをガブ飲みしたい……」 ―――川 ゚ -゚)はACを駆使して復讐するようです――― * 此処は巨大シェルター都市【レイヤード】 大昔に起きた大破壊と呼ばれる大災害によって地上からあらゆる生命を拒む死の大地と化してしまったとき、 人類が生き延び、再び地上で発展することを願って作られた【箱舟】都市である。 基本的な【レイヤード】の構成は以下の通りとなっている。 まず、第一層区について話そう。 此処は第二都市区、自然区、特殊実験区で構成されている。 主に奴隷が生活する層として主流である。 奴隷とはつまり傭兵のことを指す。 企業に勤める特許階級の屑共の為に命を賭けるのが奴隷の仕事だ。 稀に、この層から優秀なレイヴンが選ばれ、特許階級に昇進する輩も存在する。 ただ、生活費とACの設備投資等が無償になる代わりに、大企業専属の傭兵として命を賭けなきゃいけない。 それでも此処の住人はそれを望む。 理由は一般傭兵の給料は安い為、ACの維持費で精一杯な場合が殆どである。 勿論、新しいパーツを買う余裕など無い。 その為、此処の住人の約半数はレイヴン試験時に支給される低性能な機体で戦場に出ている。 続いて第二層区について。 此処では産業区と第一都市区で構成され、主に大企業とそこに勤める人間が活動する場だ この層を一言で表すと、【楽園】だ。 安全が約束された唯一の場所と言ってよい。 徹底したセキュリティー管理と、企業に雇われた優秀なレイヴンが高性能なACで見張りをしている。 勿論、そんな優秀な輩がゴロゴロいる為、革命を起こそうとする第一層区の住民はまず存在しない。 革命を企む奴等も少数派だが存在する、しかしそれは叶わぬ夢だろう。 なので大企業の正社員は基本的に此処で生活をしている。 もっともこの正社員達は裕福な家庭で育ち、良い教育を受けたお坊ちゃまばかりで、 第一層区の悲惨な生活を笑いながら見下す。 そして最後に第三層区。 此処は【レイヤード】をコントロールする管理人だけが立ち入りを許可される特別な層だ。 噂では第二層区の優秀なレイヴンから、更に厳選した人物が警備しているらしい。 一般人はおろか、大企業の社長でも立ち入りを許可されない。 なので詳しい詳細を知るのは不可能だ。 勿論、管理人の正体も不明である この狂いきった世界では、欲望に忠実な人間と憎しみや憎悪を原動力にし、生きる活動を 行う奴隷の二種類しか存在しない。 ―――――― ―――― ――― 川 ゚ -゚)「ただいま~。今日も生き残ったぞ~」 o川*゚ー゚)o「お姉ちゃんおかえり!!今日の機体調整はどうだった?」 川 ゚ -゚)「あぁ、気になる点を挙げるとすれば……OBを噴かす度にDENGER HEATの警告音が暫く鳴ることだな。      あれをどうにかしてくれ。なるべくラジエータは今のままでお願いしたい。そして、コアの放熱性もどうにかしてくれ。      操縦席が常温でも50℃とか死ねるぞ……OB を噴かすと一気に80℃以上になるのも改善してくれ。マジで死ぬ」 o川;゚ー゚)o「うぅ、前にも言ったけど、それを改善するには新しいパーツを買わなきゃ無理だよ。」 川 ゚ -゚)「今日の報酬が3000Cなんだが、貯金も合わさればラジエーターぐらい買えるかな?」 o川;゚ー゚)o「えーっと今装備しているRIX-CR10を売却すればRMR-SA77は買えると思う……。        緊急時の冷却機能に優れてるからお姉ちゃんみたいなOB中毒者にはピッタリだよ。」 川* ゚ -゚)「OB中毒で何が悪い?あれは最高だぞ?まるでシャブを打ったかのような高揚感と気持ちよさが       タダで手に入るんだぞ?どうだ!!凄いだろ!!」 o川;゚ー゚)o「……とりあえず、RMR-SA77は購入するでOKだね?」 川 ゚ -゚)「あぁ、そろそろ熱対策をきちんとさせたいからな。戦場で熱中症になって倒れるのは洒落にならない。」 o川;゚ー゚)o「だねぇ……。ねえお姉ちゃん?なんでVIP社の専属レイヴンの件を断ったの?        普通の傭兵なんかやるよりよっぽど条件いいのに……」 川 ゚ -゚)「だってそこに入ったらMLB-MOONLIGHT【月光】を両腕とも外さなきゃいけないじゃん。      しかもあの企業は機動力より防御を主体に考えてるから、私の戦闘スタイルに合わないパーツを      装備しなきゃならないじゃん。なんなの?私に死ねって言いたいの?」 o川;゚ー゚)o「うぅ、ごめんなさい……。」 川 ゚ -゚)「じゃあそういうことで、今日は奇跡的に一発も被弾してないから整備しなくていいぞ。      あと一応口座に金が振り込まれてるか見ておいてくれ、それとちょっくらスピリタスを呑みながら風呂に浸かってくる。」 o川;゚ー゚)o「またそんな度数の高いお酒なんか飲んで……、いってらっしゃい。」 川 ゚ -゚)「あぁ、行ってくる。」 ギィ……バタン。 o川*゚-゚)o「……強がってるのバレバレだよ、お姉ちゃん。」 静まりきった部屋でキュートは呟く。 クー達の両親もレイヴンだった。 しかし作戦を遂行中に二人とも死亡。 姉妹に残された遺産は、ボロボロのガレージと両親のACが装備していたMLB-MOONLIGHT二セットのみ。 当時幼かった姉妹は酷く悲しみ、この世界を憎悪した。 そして、両親を殺した相手を殺すことを夢見て今も生きている。 その両親を殺した機体の特徴は、両親の死亡する直前の映像に残っていた⑨と書かれたエンブレムだけしかわからない。 第一層区、第二層区のアリーナに登録されているACにはそのようなエンブレムを持つ者は存在せず、 復讐を誓ってから6年経った今でもそれ以上の手掛かりは見つかっていない。 そのせいか、最近のクーは自分の力量だけでは達成が厳しい依頼ばかりを引き受けるようになった。 依頼を終えて帰って来る度にボロボロになる機体を見て、クーの居ない場所で泣く。そんな日が続いた。 確かにそのおかげで飛躍的に実力は伸びているが、キュートは心配で堪らなかった。 o川*゚-゚)o「あんなこと言ってたけど……念の為に、『ムーン・チルドレン』の状態をチェックしなきゃ……」 キュートはパソコンの電源を入れ、ガレージ情報のページを開く。 此処を見れば機体の情報がリアルタイムで全て公開されているので、整備する前は大抵目を通す。 ―――ピピッ!! o川*゚ー゚)o o川*゚-゚)o o川*;-;)o「……お姉ちゃんの嘘吐き。」 ムーン・チルドレン機体データ 【頭部 CHD-04-YIV 】=システム制御機能の破損 【局部 CCM-00-STO 】=電気系統に異常 【腕部 CAR-MARTE 】=放熱効率低下 【脚部 CLL-01-FKSY 】=ブレーキ機能に異常 【ブースター CBT-FLEET 】=出力大幅低下 【火器管制装置 VREX-ST-12 】=正常 【ジェネレーター CGP-ROZ 】=出力大幅低下 【ラジエーター RIX-CR10 】=冷却機能大幅低下 【内部装置 無 】 【拡張装置 無 】 【肩装備 Left 無 】 【肩装備 right 無 】 【右腕装備 MLB-MOONLIGHT 】=正常 【左腕装備 MLB-MOONLIGHT 】=正常 「オプショナルパーツ 無 」 機体損傷率83% o川*;-;)o「……馬鹿」 キュートはその場で体育座りをしながら顔を伏せる。 修理だけで二週間以上は確実に掛かる。大量の作業が現実に突きつけられ、キュートは半べそを掻いた。 もし、クーが企業専属のレイヴンだったらどれだけ楽だっただろうか。 勿論、それだけで泣いている訳じゃない。 クーの適当な報告が、次の依頼で致命的なミスに繋がることだってある。 最近の彼女を見ると、自身の命を軽視し過ぎてるのは明らかだった。 キュートにとってそれが最大の悲しみだった。 ―――――― ―――― ――― 川* ゚ ー゚)「うぃ~クチャクチャ……ヒック。ただいま~♪」 顔を真っ赤にしたクーは鼻歌を歌う。 スルメイカを口に含み、クチャクチャと音を発しながら食すその姿は、二十歳の乙女がする行動ではない。 どっからどう見てもオヤジである。 おまけに、ブラジャーも装着せずにパツンパツンのタンクトップを着ているせいで、乳首が鮮明に浮かんでいた。 o川#゚-゚)o ガチャンッガチャン 川* ゚ -゚)「キューット♪何やってんの~?」 o川#゚-゚)o「ストレス発散」 ガチャンッガチャン 川; ゚ -゚)「おい、それは私が買い貯めしたスコッチじゃないか?」 o川#゚-゚)o「知らない」 ガチャンッガチャン 川; ゚ -゚)「止めてくれ!!それが無くなったら生きていけない……」 o川#゚-゚)o ガチャンッガチャン 川; ゚ -゚)「悪かった!!乱暴に『ムーン・チルドレン』を扱ってすまなかった!!この通りだ!!」 頭を地面に擦り付けて土下座をするクー。 何故キュートが怒り狂ってるのかを理解している辺り、彼女にも悪いことをしたという自覚が存在していたのだろう。 それでも、彼女の破壊衝動は収まらない。黙々とリズミカルにスコッチを破壊する。 ……そして、最後のスコッチが地面に接触し、破裂した。 ガレージ内はスコッチ特有の匂いに包まれる。 o川*゚-゚)o「掃除はお姉ちゃんがやってね」 川 ; -;)「うっう……私の大切なスコッチが……」 o川*゚-゚)o「自分の命より酒が大事ならさっさと首吊りなよ。ほら、早くしなって。命より大切なお酒はもう        全部割ったよ?これじゃお姉ちゃんが生きている意味なんて無いよね?なら早く首吊りなって!!」 川; ゚ -゚)「……」 場が凍りつく。 流石のクーも土下座しながらキュートの顔を見上げ、固まっていた。 暫く沈黙は続き、突如キュートが涙をポタポタと流し、こう呟いた。 o川*;-;)o「確かに命を削る対価としてお姉ちゃんは短期間で異常なまでに強くなってると思う。        だけど、もし死んじゃったら復讐も何もできないんだよ?それにお姉ちゃんが死んじゃっ        たら……私はどうすればいいの?」 川; ゚ -゚)「……」 o川*;-;)o「だからお願い。もうこれ以上無茶なことしないで!!私、耐えられないよ……」 キュートはその場で泣き崩れてしまった。 彼女の必死な説得がクーの心に響いたのか、暫く考え込む素振りを見せた。 そして土下座から膝立ち状態にトランスフォームし、キュートの頭を優しく撫上げた。 目を真っ赤にした彼女が瞳に映り、クーは無意識にギュッと抱きしめた。 川 ゚ -゚)「本当にすまない。隠してたのはキュートを心配されたくなかったからなんだ……。      隙を見て『ムーン・チルドレン』を修理屋に依頼するつもりだった。お前が何時もボロボロの       機体を見る度に隠れて泣いてたもんだからつい嘘をついてしまった。本当にごめんな……。」 o川*;-;)o「お姉ちゃん……、なんで『ムーン・チルドレン』って名前にしたか覚えてる?」 川 ゚ -゚)「あぁ、父と母のACネーム『ムーン・ライト』と『ムーン・シャドー』の      子供達って意味でそうしたんだよな……」 o川*;-;)o「そうだよ。……だから今度から依頼を受ける時は必ず私に相談して。のけ者扱いしないで……。」 川 ゚ -゚)「わかったよ。今度からそうしよう。後、嘘の報告も絶対しないと誓う。」 o川*;-;)o「うん……。後、大切なお話があるの。」 川 ゚ -゚)「なんだ?包み隠さず言ってくれ。」 o川;゚-゚)o「今日の機体損傷率から簡単に計算しても、今日の収益じゃ大赤字なの。だから新しいラジエータ        は当分買えそうにないや……」 川 ゚ -゚)「うひょー」 ―――――― ―――― ――― クー達が企業からの依頼を受ける頻度は1ヶ月に1~2回程度。 そして、平均月収が9000Cとレイヴンとして生きる者には辛い。 機体整備に掛かる費用が1回辺り平均2500Cもする為、第1層区の住民が生活に苦しむ理由がそこにある。 ただ、この世界のパン1つの値段が約1.4Cと上記の関係を見るからに結構な贅沢ができるように見える。 しかし通貨規約が厄介で、財産を貯めることが如何に難しいことかを人々は知っている。 川 ゚ -゚)「キュート。そういえば通貨の使用期限が迫ってるヤツはどれ位残ってる?」 o川*゚ー゚)o「ちょっと調べるね……。今月中には8000cは使えなくなるね。」 川; ゚ -゚)「マジか……8000Cは流石に痛いな、食料を買い込んでもメッチャ余るし……、今月はもう1度依頼を受けて    新しいパーツでも買うべきか?」 o川*゚ー゚)o「そのほうがいいね。買うなら拡張装置かオプショナルパーツかな?」 川 ゚ -゚)「まぁ買えそうなのはその辺だからな……。うーむ……。」 このように、この秩序を失った世界でもこのルールだけはどんな人間にも平等に存在する。 財産に期限を設けることによって、円滑に市場に金が流れさせることがこのシステムの最大の利点である。 勿論、大企業も例外ではない。 なので大企業は、期限が切れそうな財産で使う当てが無い場合は、ライバル企業の破壊工作や自社の防衛費に当てる。 一部の学者が、この制度により世界の秩序が崩壊したと指摘している。 川 ゚ -゚)「キュート、このオオカミ社の依頼を受けようと思うんだがどうかな?」 o川*゚ー゚)o「ラウンジ社の軍事演習の妨害か……、壊しただけ報酬が跳ね上がるのは良いね。        詳細を見るからにお姉ちゃんの実力があれば余裕そうだね。」 川 ゚ -゚)「よし、じゃぁ依頼を受けるか」 ―――――― ―――― ――― 【―――ザザッ……レイヴン、まもなく作戦領域に到達します。……起きてください。】 川 - -)「うが……もう着いたか。了解」 【レイヴン、少しは緊張感を持ってください。】 川 ゚ -゚)「最近悪夢が酷くてな、あんまり眠ってないんだよ。」 【そんなの知りません。後5分後に到着するので準備してください。】 川 ゚ -゚)「……了解。作戦領域の熱源数を教えてくれ。」 【確認します。……敵数は100機。熱源の大きさから小型MTだと思われます。】 川 ゚ -゚)「了解。『ムーン・チルドレン』システム起動させます。」 【システムの起動を確認しました。……作戦領域に到達、『ムーン・チルドレン』投下します。】 輸送機と『ムーン・チルドレン』が分離する。 上空からカメラをズームさせ敵を観察すると、全てのMTが砲身を此方に向けている姿が映る。 クーは状況を判断し、OBを発動させる準備に取り掛かる。 このまま落下したら集中砲撃を受けると判断しての行動だ。 川 ゚ -゚)「さて、華麗にクールに戦場を舞うか。」 呟いたと同時に、身体に重力が掛かる。 圧倒的な速度で一気に地面に降下し、MTを一刀両断した。 そのまま続けて右に迂回してもう1機に襲い掛かり、敵の操縦席が存在する場所にブレードを突き刺した。 MTは爆発することなくブレードに刺さったままの状態になり、その重みで『ムーン・チルドレン』は一気に減速。 パネルには538km/hと表示される。 川 ゚ -゚)「この状態でOB発動しても、エネルギーを喰うだけだな。」 タッチパネルを素早く操作しOBを解除する。減速したことに反応した敵の一体がガトリングを此方に向けて乱射する。 クーはブレードに突き刺さったままのMTをシールドにしてそのままの状態でガトリングを乱射するMTに突進する。 【く、くるな!!うわぁぁぁぁ!!!!】 そんな通信が入ったが無視し、もう片方のブレードでMTのコアに突き刺す。 双方のブレードに突き刺さったままのMTを、思い切り腕を振りのけ吹き飛ばした。 吹き飛ばされたMTは他のMTに激突し、爆音と共に散っていった。 もう片方のMTもさっきと同じように吹き飛ばし、敵のMTにぶつけて破壊する。 そして画面に写るジェネレーターのエネルギー容量を確認し、すぐさま次の行動に移る。 川 ゚ -゚)「まずは5匹」 僅か数秒で5機を撃破し、OBを再度展開させる。 敵の砲撃やガトリングを的確な操縦で回避し、エネルギーが尽きるギリギリまでOBを展開させ、MTを斬り刻む。 圧倒的なスピードで斬り刻むその姿は、鎌居達と呼ぶに相応しい。 【糞、このままじゃ全滅する!!!至急援軍を頼む!!……そんな……私達に死ねと言いたいのか!?】 川 ゚ -゚)「あらら、企業に捨てられちゃったか。可哀想に……。」 【ビー!!ビー!!DENGER HEAT!!DENGER HEAT!!】 操縦席に聞き慣れた警告音が鳴り響く。 それを聞いたと同時にOBを解除し、機体を通常の状態に戻す。 上昇した室温はゆっくりと下がってゆくが、この冷却速度では遅すぎる。 戦場は待ってくれない。OBを多用するクーにとって死活問題だ。 川 ゚ -゚)「やっぱり性能がいいラジエーターが欲しいな。オペレーター、残りの熱源数を教えてくれ」 【―――ザザッ……レイヴン、残りは9機です。】 川 ゚ -゚)「了解。さっさと終わらせるか。」 クーは再度OBを展開する。 操縦席の温度は70度を超え、未だに警告音が鳴り響いていたが大丈夫だろうと判断。 OBが起動すると同時に、身体に強烈なGが襲い掛かる。 だけどクーは笑っていた。 川* ゚ ー゚)「やはりOBは最高だな。シャブセックスよりずっと気持ちが良いや」 クーはすっかり高揚しており、機体の性能を無視した行動を取り続ける。 残りのMTはクーの手によってあっという間に鉄塊になり朽ち果てた。 しかし、残り1機を前についに機体が悲鳴を上げ、今度は聞きなれない警告音がクーの耳に届く。 【OUT PUT DOWN!!OUT PUT DOWN!!ジェネレーターの出力大幅低下!!】 川* ゚ -゚)「あちゃ……オーバーヒートしちゃったか。まぁいいか、コイツで最後だし。」 MTが錯乱したかのようにマシンガンを放つが、高速で移動する「ムーン・チルドレン」には被弾しない。 そして、あっという間に接近し、射程範囲に入ったMTに向かって蒼いブレードを展開しコアに突き刺した。 しかし、またも爆発せずそのまま突き刺さるだけだった。 この突き刺す癖はクーの悪い癖で、改善したいのだなかなか治らない。 【お願いだ……殺さないでくれ。私には帰りを待つ子供と嫁がいるんだ……頼む!!】 助けを乞う通信が入った。 命乞いをするMTパイロットの声は震えていた。 クーは悩んだ。助けるか助けないかの二択を天秤に架ける。 其れと同時に昔の記憶が蘇る。 あの温かい家庭や、あの優しかった父や母の記憶が鮮明に蘇る……。 そして、その一瞬の躊躇いが災いした。 【うわぁぁぁ!!死にたくないぃぃぃ!!!!!】 川; ゚ -゚)「!!」 MTが放った至近距離からのガトリングが「ムーンチルドレン」被弾する。 火花を散らせる左腕、至近距離からの砲撃は想像以上のダメージを残した。 機体は大きく揺れ、ダメージを表す警告音が鳴り響く。 【機体損傷率30%!!左腕のコントロール不能!!】 川 ゚ -゚)「……私の復讐を邪魔するヤツは死んでもらう」 クーはもう片方のブレードを展開し、MTの操縦席が存在する場所に突き刺す。 MTパイロットの絶叫と共に最後の一機は爆発。炎上した。 辺りを見回すと、『ムーン・チルドレン』の周辺はバラバラにされたMTの鉄塊で埋め尽くされていた。 川 ゚ -゚)「何度学習すれば解るんだ?馬鹿か私は……」 【レイヴン、作戦目標をクリアしました。今から回収部隊を送ります。】 川 ゚ -゚)「あぁ、よろしく頼む……」 ―――――― ―――― ――― 数分後、回収部隊が到着し『ムーン・チルドレン』は無事回収された。 クーは操縦席のハッチを開き、同時に大量の白い煙が空中に分散される。 この巨大な輸送用の飛行機には『ムーン・チルドレン』以外のACも存在していた。 ACのパーツを見る限り、どうやら専属レイヴンのACだ。 パーツが全てオオカミ社のパーツだったので一発で判った。 オオカミ社のパーツはクーもよく愛用している。 装甲を大幅に削り、スピードだけを追及したパーツ群は相性がとても良い。 もし、専属レイヴンになるなら、オオカミ社で活躍したいと彼女は常に思っていた。 ACから降りて、その辺に落ちてたタオルで汗ばんだ肌と胸の谷間に溜まった水分を拭取る。 【やぁ、君が『ムーン・チルドレン』のレイヴンかい?】 突如後ろから発せられる音にクーはビクつく。 そーっと後ろを振り向くと、そこにはスーツをビシッと決めた男が立っていた。 (◕‿‿◕)「始めまして。さっきの戦いっぷり見せてもらったよ!!しかし凄かったよ。まるで鬼神だね!!」 川 ゚ -゚)「……アンタ誰?」 (◕‿‿◕)「僕はQB。もしよければだけど、オオカミ社の専属レイヴンをやってみないかい?      契約してくれたら君の『ムーン・チルドレン』をもっと強くしてあげるよ!!」 第壱話 終 第弐話に続く? 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