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( ^ω^)ブーンが特殊な能力で戦い尽くすようです
【Episode1】 “始まりの鐘に思い出の軍”
「ゴーン、ゴーン、ゴーン」
夕暮れに鐘が響き渡った。
数え切れない数多の鐘。この国の象徴とも取れる鐘だ。
これは、この国を示すシンボル。
それと共に、特別軍隊の募集予報の合図である。
この国の中心に聳える巨大な“ヴィップ塔”には国王及びにして軍隊が住んでいる。
軍隊は、詳しく聞いたことはないが、一般軍隊と特別軍隊に分けられる。
一般軍隊は所謂“歩兵”、地味な軍団で、軍隊の四割を占めるらしい。
一方、特殊軍隊の方はというと良く分からないが、それぞれの個性を生かした軍隊らしい。
この事は、国民は愚か一般軍隊でも一部の上層部しか知らされていない。
( ^ω^)「漸くこの日が来たかお…
これまで死ぬほど身体を鍛えて、やっと報われるお…!!」
ブーンは、この国の軍隊になる事をずっと願ってきた。
その動機の奥底にあるのは、あくまでも情愛だ。
数十年慕ってきた兄、ジョルジュ=カナオーガの急逝。
それは、信じられないものだった。兄の死後数十年の今でも時々悪夢に見る。
軍隊は、命の危険だらけだ。
生きて帰れる確率等皆無に等しい。
だからこそ。
その覚悟で戦場に向かっていったジョルジュ兄の仇は、果たすべきだ。
ジョルジュが背負っていったものは、国の正義。だが、こちらが背負っているのは、あくまで兄の仇だ。
('A`)「お前の兄、ジョルジュ兄さんはいいヤツだったな。
いっつも幼稚なオレらと遊んでくれたっけ・・・」
今、自分の隣に居るのはいつも孤独のドクオだ。
彼も幼き頃両親を戦争の刃により失い、今日という今日まで必死に生き抜いてきた。
彼の中にある思い。
それは、金銭欲と復讐心の二つに分かれた。
幼少時から上記の理由で貧乏な暮らしをしていたドクオは、金の強さと弱さを熟知している。
強みはこれがあれば不自由なき暮らしも出来る。
弱みは金におぼれた亡者がどうなるか…。それをドクオは充分知っていた。
( ^ω^)「ドクオ…ドクオもブーンも空しい生活が続いたお…。
だけど、それも今日までだお。
これからは安全清潔な寮で、それぞれの仇を誓って、
目標を持って生きていけるお…。二十歳になって、漸く人生がスタートしたんだお。」
これまでの人生が目の前を通っていくようだった。
ひとまずの目標、入軍はもう準備が整った。
この国では、鐘がなって大体一週間後に入軍試験の告知がされ、本格的に入軍するのは二週間後となる。
これまで、ブーンとドクオの二人は、輝かしい笑顔で入軍する人を沢山見てきた。
自分も、その一人になれるかもしれないのだ。
('A`)「ああ。…最も入軍試験に合格してからの話だけどな。」
入軍できる、という確証、自信はあるとはいえなかった。
入軍試験は厳しく、毎年何十人も何百人も落ちているのだ。
勿論、これまでの練習が足りないわけではないだろう。
これまで、必死らこいて躍起となり毎日十時間訓練してきた。
少しでも時間があれば、訓練を最優先して行ってきた。
だから、自己満足度は低くはなかった。
だが、それ程その入軍試験は難しいのだ。
春になったばかりの新風がその場に吹きさらし、暖かい様な色の蒲公英が風に揺れていた。
( ^ω^)「……此処まで来たら、もう待つ間もなく直ぐに試験だお。
覚悟は出来てるかお?ドクオ。」
待つ間もなく、ドクオは答えた。
('A`)「勿論、オレは行くぜ。これまでの訓練、鍛錬を無駄には出来ない。
例え試験に落ちて赤っ恥を掻いたとしても、また来年に行けばいいだろ」
ドクオは、どちらかというと痩せ身だった。
痩せ身の体は、幾分か不得手な所もあるだろう。
格段に太っている人とは力が劣るだろうし、性格的にも劣る場合が多い。
( ^ω^)「ブーンも、死んでも試験に合格してやるお!
そして、兄ちゃんの仇をとってやるお!序にヴィップ国を天下に導くお!」
国からしてみては、不純な動機、と取れるだろう。
だが、戦争で肉親、兄弟を殺められた人々はそれこそ天文学的数値になる。
別に、それ程珍しいことでもないのだ。
それは、戦争での犠牲者の多さを意味していた。
('A`)「ま、オレも両親の敵討ちぐらいはできればしたいんだ。
余裕があればヴィップ国にも頑張ってもらいたい」
ドクオも、ブーンと同じだ。
肉親を殺された痛みは、その肉親の家族しか知らない。
全国に一万と居る孤児全員が、この感情を抱いていることだろう。
( ^ω^)「試験の内容は詳しく聞いてないお。
これまでやってきたことが役立てばいいんだお」
('A`)「ああ。そうだな」
ポカポカした陽気がブーンとドクオを包みながらも――――。
試験のその緊張感からは解き放ってくれなかった――――。
現在、ブーン=カナオーガは廃屋とも取れる場所で一人暮らしをしている。
寒風が吹き晒すその、壊れかけた家でだ。
ブーンがこの場所を離れないのは、兄の影響が強い。
兄がずっと住んでいたこの家だからこそ、安心できるのだ。
他の家では、住み込むことは愚か一週間も暮らせない。
( ^ω^)「兄ちゃん………、ブーンはついに軍に入る用意が出来たお…。
入軍して、兄ちゃんの仇は必ず……とる!!」
ブーンが見ているもの、それは仏壇。
今となっては帰らぬ人となった兄、ジョルジュ=カナオーガの仏壇だ。
ジョルジュの顔写真が仏壇に貼られ、その思い出をブーンに思い出させた。
だが、その思い出すのを途中で振り切った。
今は、たかが兄の事でこんな風にしていてはダメなのだ。
此処から先、何人の死を見るのか分からない。
一人が死んだぐらいで、それも随分昔の話で、ここまで悲しくなっては、ダメなのだ。
それは、入軍する以上、充分分かっていることだった。
( ^ω^)「……風呂でも入るかお」
おそらく、もうこの家の風呂に入ることは数回しかないだろう。
長い間、使ってきた此処の風呂も、もう直に使う人がいなくなり、壊されるのだ。
ブーンは服を次々と脱いだ。
風呂にお湯は充分入っている。
( ^ω^)「………あったかいお」
ブーンは、残された安息の期間を、有意義に使うことに決めていた。
何だかんだいって、ブーンもここが好きなのだ。
戦争に行くのも若干嫌気もあった。
いいこと悪いこと、利点欠点があるのだ。
だが、兄の仇をとる為にも頑張らなくてはいけないのだ。
それは覚悟しているのだ。
ふと、脳裏に禁断としていた思い出が甦った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
( ゚∀゚)「ブーーーーーーーーンーー!!
そっち行ったぞおお!」
ジョルジュの投げたボールがブーンサイドに向かっていった。
ブーンは、まだ幼い。年代はまだ十代にも満たなかった。
( -3-)「行くおぅ」
まだまだ幼いブーンもボールを取りにはいはいして行った。
ブーンははいはいの速さが尋常ではなく、逆立ちして足でボールをはじいた。
これらの動作は、この街最強の運動人、ジョルジュから教わった物だ。
ジョルジュの強さといえば、古今東西に知れ渡っていた。
攻撃だけでなく、走る、這う、跳ぶ、泳ぐ、歩くの全ての一連の動作を全てパーフェクトにこなしていた。
それこそ、生きる為に必要な事が最大限まで習得されていた。
( ゚A゚)「おぅぅぅぅぅ!すげーな!
流石オレの…」
ジョルジュは上空に舞った。
そして、ボールの位置を見定めた。
( ゚∀゚)「弟だぜ!!」
足を回し、バクテンしながらボールを叩いた。
ボールはピッタリブーンのもとに向かっていく。
その間にあく距離、300m。
まだまだキャッチボールは続く。
彼らが疲れるまでだ。
そして、彼らが疲れるときには既に月が顔を覗かせているだろう。
ジョルジュ…彼だってかなりモテる。このブーンと遊ぶ時間をほかの事に有効活用は出来た筈だ。
それなのに、ジョルジュはブーンと付き合って遊んでいた。
だが、ブーンはその優しさには気づかず。
優しさに気づいたのはこの五年後の事だった。
これが必然だと思ってた。
こういう兄が普通だと思っていたのだ。
そして、兄は出征、戦死との報告が入る。
それをきっかけに父母が病死。
ブーンの人生は一気に暗黒に堕ちていったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
( ^ω^)「だけどこの暗黒ももう終わりだお。」
ブーンは、暗黒を生き抜いただけはあり、この世の裏表を知っていた。
両親が死んでから、こっ酷く続いた貧乏、その他諸々。
涙を流すこと等、数え切れないほどあった。
だからこそ、軍という所に憧れた。
理由のひとつに過ぎないが、戦力に応じて階級、給料が変る。
入軍した時点で、その人物の生活は保証されるのだ。
ブーンは、立ち上がった。
( ^ω^)「…そろそろ出るかお」
数多の思い出を脳裏に浮かべながら、ブーンは風呂から出た。
バスタオルを引き出しからだし、身体を拭く。
身体を拭きながら、台所に向かっていき牛乳をコップに注ぐ。
そして、飲みながらバスタオルで身体を拭くのだ。
その行為は、昔ジョルジュがやっていた物だった。
ジョルジュの死後、意図的にブーンが真似し続け、今に至っている。
ジョルジュの意思を継いで。
今、ブーンが入軍しようとしていた。
('A`)「おい、ブーン。遅いじゃねえか」
桜が舞うVIP国立公園。
丁度桜は満開を迎え、まるで入軍試験に行く人々を応援しているかのようだった。
いや、今のテンションではどくだみでさえ、応援しているように見えた。
前置きが長く、くどいだろうが、漸く入軍できるかもしれないのだ。
( ^ω^)「ドクオ!!たった三十秒遅れただけじゃないかお!!
怒らないでくれだお」
ドクオが言った、集合時刻は九時二十五分。
今は、九時二十五分三十八秒四二だ。
普段なら十分単位で平気で遅れるドクオの方がこうも几帳面になるのは、ちょっと笑えた。
それほど、彼は今日という日を期待していたのだろう。
('A`)「この公園のもう少し南の所で試験が開催されるらしいぜ」
ドクオが右手に持っているのは、案内用紙。
それこそ、これから先に導く、天使のような紙だ。
ブーンとドクオは、南に向かって歩き出した。
途中には進入不可の森があり、固く鍵が閉められていた。
禁断の森と呼ばれるそこは、謎に包まれていた。
だんだん、人だかりが見えてきた。
そして、さらに進んだ。そこに広がった光景は。
( ФωФ)「・・・・・・」
中央に、われ等が皇帝、ロマネスク=リビュースがいる。
彼は、過去の皇帝の中で国民からの信頼が最も高いとされていた。
そして、その右側のほうには大柄の男性が一人。
( ・∀・)「・・・・・・」
モララー=ネイリアル。
陸軍・海軍ある中の総大将だ。
そしてその両脇には陸軍海軍の大将がいる。
( ´ー`)「陸軍希望者は今年変人が多いな・・・」
/ ,' 3「私がキャプテン.アラマキと謳われたVIP海軍大将、アラ=マーキンだ」
シラネーヨ=ナバネロ陸軍大将はぶつぶつ独り言を呟いている。
そして、アラ=マーキンキャプテンは演説をしていた。丁度自己紹介の場面だ。
それぞれの大将にはすごい人だかりが出来ていた。
一万人はいるだろうか、とにかく凄まじい人数だった。
( ^ω^)「ドクオ、早く人ごみに入るお」
ドクオの手を握り、引っ張って人ごみに入っていった。
人ごみに呑まれながらもなんとかシラネーヨ=ナバネロ大将の方に向かっていく。
('A`)「コイツは酷い人の量だな・・・」
何とかシラネーヨの近くまでついた。
だがその間もワイワイガヤガヤのドンチャカ騒ぎは続き、雑音が嫌でも耳に入ってくる。
それ程、今年の陸軍は希望者が多かった。
ドンチャカ騒ぎがうるさくて、シラネーヨの声が聞こえない。
( ФωФ)「鎮まれ…!」
突如としてロマネスクから発された声。
お世辞にも大きいとはいえない声だったが、効果は存分にあった。
まるで何か光線が発されたようだった。
放射線状に徐々に声がやんでいく。
('A`)「流石皇帝って感じだな」
ドクオがぼそっと呟いた。
ロマネスクは歴代最強の皇帝と呼ばれた。
二期に渡って総大将を務め、数多の敵兵を嬲り殺し、血を血で塗るその残虐さは、戦争にとって不可欠なものだった。
だが、実際の彼はそんな噂とは裏腹、とても温和な人物と聞いた。
そこまで長く生きてきたロマネスク皇帝は、最も皇帝に似合っている。
そんなことを考えながらふと右を見ると、シラネーヨ大将が説明しているらしかった。
( ^ω^)「ドクオ、ドクオ、向こうのほうでシラネーヨ大将が説明をしてるお!」
一瞬でドクオに伝える。
ドクオはそれを聞くとシラネーヨの方に向かって歩いていった。
ブーンもそれを追うようにシラネーヨの所に向かう。
( ´ー`)「・・・・・・」 (^ω^ )「・・・?」
シラネーヨがこっちの方を向いた。
そしてすぐさま、次の行動に移った。
ミ/ミミミミミミ〃
( ´ー`)つ三三三ヲミミ(゚ω゚ )「・・・!!」
シラネーヨ大将の突然の軽い一振り。
それは、何を隠そう真剣だった。
ブーンは、間一髪その剣を綺麗によけた。
あと一秒でも遅かったら、この世にブーンは居なかっただろう。
(゚A゚)「し、シラネーヨ大将、な、何なんですか?」
ドクオが自分をかばって聞いた。
ブーンはというとビクビクして心臓の高鳴る鼓動が止まらない。
シラネーヨ大将は剣を鞘にしまうこともなく、手を合わせた。
気がつくと、剣は消えていた。
そういえば、何処から現れたのも見えなかった。
( ´ー`)「・・・・・・・・・何でもない」
突然シラネーヨが行った行動。
それをなかったことにでもしようというのか。
('A`)「ちょ、待ってください、何でなんですか?
オレらはこう見えて真剣なんですよ、これまでずっと生きてきて。」
( ´ー`)「・・・・・・・・・自分でも知らねーよ」
周りの人たちもその状況を静観していた。
シラネーヨ大将はそう声を残すと、入軍希望者全員を引き連れて場所を移動していった。
あわてて、ついていく。
だが、ブーンには違和感が感じられてしょうがなかった。
ブーンにはシラネーヨへの不信感が今、降り注いでいた。
E p i s o d e 1 E N D
今 回 の 登 場 人 物
( ´ー`) シラネーヨ=ナバネロ 大 将
('A`) ドクオ=トールソン
( ^ω^) ブーン=カナオーガ
( ФωФ)ロマネスク=リビュース 皇 帝
/ ,' 3 アラ=マーキン 大 将
( ・∀・) モララー=ネイリアル 総大将
( ゚∀゚) ジョルジュ=カナオーガ 殉 職
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