('A`)バベルの塔のようです。川д川 第二話

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バベルの塔、それは世界が同じ言語をつかっていた時代の話。 バベルの塔、それは神の怒りに触れ、言語をバラバラにされてしまった物語。 そして、この話は僕の彼女が記憶を失い、まるでバベルの塔の話のように今まで通じていた物、全て通じなくなってしまった、そんな話。 ('A`)バベルの塔のようです。川д川 第二話 川д川「だれ、でしたっけ?」 (;'A`)「貞子、何言ってんだ?僕だよ?」 川д川「僕さん?」 (;'A`)「何いってんのさ、ドクオだよ?」 僕は彼女が嘘をついたり、からかっている時の癖を知っていた。 右手の人差し指で小さな円を描くのだ。 とても変わった癖だが、彼女は無意識でやっているようで、その癖に気付いてはいなかった。 だから、今回も右手に目を向けた。 だが、彼女の右手は全く動く気配はなかった。 (;-_-)「…どうやら、記憶を失ってしまってるみたいだね」 考えたく無かった最悪な事態をヒッキー先生は僕の耳元で呟いた。 僕が返事を何も返す事ができず、固まっているとヒッキー先生は続けて話した。 (;-_-)「事故の時、頭を強打していたんだ、それで記憶がなくなってしまったんだ…」 いや、話しているというよりは、呟いていると言うのが正しかった。 (;'A`)「…。」 彼女の体のあちらこちらに痛々しく巻いてある包帯に目を向けた。 包帯は主に頭に巻かれている。 (;-_-)「外傷は少ない方だったんだけど…」 僕の心を読んだかのようにヒッキー先生が呟いた。 ('A`)「貞子?僕は貞子の彼氏のドクオだよ?」 ギュッと、彼女の手を強く握った。 川д川「そう、だったんですか」 過去形で言われ、今までの僕と彼女の全てが否定されたかのような錯覚を覚えた。 (#'A`)「そうだったんじゃい!そうなんだよ!貞子!」 僕は彼女が僕の事を忘れてしまったという事にショックを隠せず、大声で彼女を怒鳴った。 バカな奴だ、彼女が一番辛いのに。 自分がまるで悲劇のヒロインにでもなったかのような心情だった。 川;д川「ごめ…、んなさい…」 彼女は泣き出し、僕に謝った。 ヒッキー先生が必死に彼女を泣き止まさせようとしているのを、僕は呆然と見つめていることしか出来なかった。 僕とヒッキー先生は貞子が泣き止んだ後、部屋をでて病院の屋上に行った。 ('A`)「先生、貞子の記憶は戻るんですか?」 (;-_-)「…。」 しかしヒッキー先生は口を開けることもしなかった。 ('A`)「先生、どんな残酷な答えしか返せないとしても、教えてください。」 ヒッキー先生は大きくため息をついた。 (;-_-)「正直わからない…。 もしかしたら、明日思い出すかもしれないし、もう二度と思い出さないかもしれない。」 ('A`)「そう、ですか。」 屋上から見た空には、雨が降るか降らないか微妙な雲が漂っていた。 それはまるで、彼女の未来を暗示するかのような色だった…。 ('A`)「…。」 家に帰ると、僕は本棚からある本を取り出した。 それは彼女が記憶を失う前に大好きだった本だ。 それをカバンの中に詰め、僕はご飯も食べずにベッドに入った。 次の日も、病院へと足を運んだ。 ('A`)「体調はどうだい?」 川д川「まぁまぁですよ」 (-_-)「ケガはそんな深くは無いしね。」 軽いやり取りをしながら、僕は昨日カバンに入れた本を取り出した。 ('A`)「これ、貞子にあげるよ」 (;-_-)「え、それあげんの?!」 ヒッキー先生は僕が取り出した本を見て、目を丸くした。 ('A`)「いけませんか?たぶん、入院中はこれ一冊で乗り切れるかと。」 僕が彼女に持ってきた本は、『聖書』だった。 (;-_-)「いや、まぁ、退院した後でも暫く他の本いらないよね、これ。」 ('A`)「お徳でしょう。」 はい、と言って僕は彼女の膝に聖書をのせた。 川д川「いいんですか?もらっちゃって」 ('A`)「いいんだよ、昨日怒鳴っちゃったお詫びだし。」 彼女は僕が昨日怒鳴ったにも関わらず、普通に接してくれていた。 川д川「あの事ですか、別に気にしなくて良いですよ。 あんなに感情を顕わにするほど‘前’の私を愛してくれていたって分かりましたし。」 ‘前’の私。 彼女のその言葉が僕に昔の事を思い出させた。 ********* それは学校の図書室。 彼女が図書室の本を全て読み終わった時だった。 川д川「ドクオ君、何か面白い本ないかな。」 ('A`)「聖書。」 川д川「即答だね、それって心のバイブル的な感じ?」 ('A`)「まぁ、心のバイブルでもあるけど。本当の聖書。」 川д川「面白いの?」 ('A`)「今あるよ、読む?」 ***** (;A`) 自分の目から一筋の涙が流れた。 急いで洋服の袖でそれを拭った。 (-_-)「ドクオくん…、そろそろ行こっか。」 ヒッキー先生は、僕の肩をやさしくたたいた。 僕がここに居るのが辛かったのがわかったのだろう。 ('A`)「…はい、じゃあな、貞子。」 川д川「…」 彼女は既に聖書を開き、読書モードになっていた。 昔から、こういうときの彼女は何を言ったって無駄だった。 その時、 あぁ、彼女は記憶を失ったとしても彼女で、別人になった訳ではない、と気付いた。 彼女は、僕が愛した彼女はちゃんとここにいる、と。 ('A`)バベルの塔のようです。川д川 第二話おわり [[前へ>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/30.html]]  [[戻る>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/29.html]] #comment(nsize=40,vsize=10,size=40)

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