('A`)が入山したら案の定衆道だらけだったようです その16

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(´・ω・`)「ひとまず心を安寧にして聞いていただきたい」 / ,' 3「痴れ者が……! さっさと話してみい!」 (´・ω・`)「この寺は古くから『閉じた』空間である」 (´・ω・`)「そこに譲留和尚という『開く』ための要因を導入した――」 (´・ω・`)「しかしながらそれだけでは不十分でした」 (´・ω・`)「積み上げられてきた歴史の重みは、そう簡単には覆りはしません」 (´・ω・`)「そこで私は……自らも新しい要素を持ち込んだのです」 (´・ω・`)「それが、六方陣」 / ,' 3「だからそれはなんなのじゃ! いかにして作った!」 (´・ω・`)「自然界の万物は、陰と陽の二極から生ずる……」 (´・ω・`)「陰陽道の応用にて開発いたしました」 (´・ω・`)「『閉じた』者と、『開いた』者」 (´・ω・`)「それら六名を権力者の立場に配し、概念上の陣を形成したのです」 / ,' 3「そんなものが効果あるはずないわい」 (´・ω・`)「承知しております、荒巻和尚」 (´・ω・`)「実際に効力を発揮するかはどうでもよいのです」 (´・ω・`)「これはあくまで、先刻語った『歪み』を作るための一手段なのございますよ」 / ,' 3「な、なんじゃと」 (´・ω・`)「『歪み』が『歪み』を生み、『歪み』が『歪み』を増大させる」 (´・ω・`)「『歪み』は精神の不安定を煽る。秩序が欠落する。自我を忘却する」 (´・ω・`)「それを補填するのが愛と肉欲でございます」 (´・ω・`)「そこに至るべき環境を、私はここに完成させたのです」 (´・ω・`)「私が張った六方陣も、様々な『歪み』を生じさせました」 (´・ω・`)「擬古和尚と譲留和尚の確執」 (´・ω・`)「それに伴う派閥闘争」 (´・ω・`)「少年僧の争奪戦、少年僧への求愛」 (´・ω・`)「倒錯した性愛、倒錯した純愛」 (´・ω・`)「私が彼らを六知事に任命したことで、湧き起こりました」 / ,' 3「わ、わしが残されたのは……」」 (´・ω・`)「私は愛欲に満ちた空間を望んだ」 (´・ω・`)「ですが、都寺まで堕落しては寺院自体が機能しなくなります。それはいけません」 (´・ω・`)「だから性欲が枯れ果てたあなたを都寺に置いたのですよ」 (´・ω・`)「その役目は一人で十分。だから候補者内で最も優秀だった、あなただけを残した」 / ,' 3「おお……」 (´・ω・`)「……あなたは『開こう』とした」 (´・ω・`)「そして、座禅をやめたのですね?」 / ,' 3「まさしく……」 (´・ω・`)「あなたは座禅を極めたのではなく、座禅の限界を悟ったのでしょう」 / ,' 3「その通りじゃ。単に向かい続けることは自己の拡大を狭めるだけであった」 (´・ω・`)「譲留和尚とは違い、過程を踏んでの結果です。それは既に大悟と申してもよい」 (´・ω・`)「老師の域にまで肉薄する禅僧は、しかし現れなかった」 (´・ω・`)「あろうことか、閉じ続けた擬古和尚が、大悟に最も近い僧などと称賛された」 (´・ω・`)「複雑な気分だったでしょう」 / ,' 3「そう。だから……」 / ,' 3「開けた世界の自然だけが……愛おしかった」 (´・ω・`)「『閉じ』に『閉じ』て、そして『開いた』」 (´・ω・`)「けれど開いた先には誰もいなかった。孤独の世界に閉じこめられた」 (´・ω・`)「それでもまだ……自己を外に開いていた」 (´・ω・`)「――こうした性質の者が、一人」 ('A`)(残る柱は、あと一本……) ('A`)(茂羅さんか……ここまでの話から推理すると、あの人は閉じている) ('A`)(一体何を……) (´・ω・`)「茂羅和尚」 ( ・∀・)「……」 (´・ω・`)「あなたを最後にしたのには多大な理由があるのです」 (´・ω・`)「いや、あなたが最後でなくてはならなかった」 (´・ω・`)「なぜならば、あなたの性質だけが、転換することができるからです」 ('A`)(へ……?) ( ・∀・)「……やめてくれ……」 (´・ω・`)「あなたの秘密は、私と共有している」 ( ・∀・)「黙れ、悪魔め……!」 (´・ω・`)「閉じた茂羅和尚の開放が可能なのは、当人と私しかおりませぬ」 (´・ω・`)「裏を返せば、私ならば茂羅和尚を開くことができる」 ( ・∀・)「黙れと言っているんだ」 (´・ω・`)「往々に古老先徳、あるいは西天に往還し、あるいは人天を化導する」 (´・ω・`)「漢より宋朝に至るまで、稲麻竹葦の如くなる!」 ( ・∀・)「やめろっ!!」 シィン…… ( ・∀・)「はあ……はあ……」 (´・ω・`)「……」 (´・ω・`)「どうなされますか」 ( ・∀・)「……あんたの口からは言わなくていい」 ( ・∀・)「僕が自分で開く! 口出しは無用!」 ( ・∀・)「あんたに無理やりに暴かれるぐらいなら、そっちのほうがマシだ!」 ('A`)「も、茂羅さん」 ( ・∀・)「みんな聞け! 僕はな――」 ( ・∀・)「諸梵和尚の寵児だったんだ!」 ( ^ω^)「茂羅さんまで……かお!?」 ('A`)「もうだめだ……俺に安心は永遠に来ないわこれ……」 ( ・∀・)「僕は十五歳でこの寺に来た。そして」 ( ・∀・)「入山して一ヶ月も経たぬうちに諸梵和尚の部屋に呼ばれたんだよ」 (´・ω・`)「私がこれまでに目にしてきた僧の中で……」 (´・ω・`)「茂羅和尚は群を抜いて美しかった」 (´・ω・`)「濡れた瞳、艶のある唇、ほのかに紅がさした頬」 (´・ω・`)「そして肌は滑らかでいて、それでいて張りがある……」 (´・ω・`)「造形美を極めておりました」 ( ・∀・)「黙れ、気色が悪い!」 ( ・∀・)「僕は昔からずっと、お前のことが大嫌いだった! お前は悪魔だ!」 (´・ω・`)「分かっておりましたよ」 (´・ω・`)「しかしそれもまた、私を燃え上がらせるひとつまみの山椒でした」 ('A`)(ど、どこまでもホモだ……) (´・ω・`)「私は茂羅和尚を心より愛しました」 (´・ω・`)「けれども、成人を迎えると同時に関係を断ちました。そうですね、茂羅和尚」 ( ・∀・)「ふん! どうせ飽きたんだろう!」 ( ・∀・)「二十歳になった男には興味なしか、この真性め!」 (´・ω・`)「私は五歳から五十歳まで男性機能を働かせることができる……」 (´・ω・`)「そのような情熱が甚だ欠けた因果ではございませぬ」 ( ・∀・)「じゃあ何だっていうんだ!」 (´・ω・`)「――あなたという存在を閉じこめるためにですよ」 ( ・∀・)「閉じこめる、だって?」 (´・ω・`)「封印、という呼称が最も適切でしょうか」 (´・ω・`)「私は新しい快楽の形を追求するのが趣味なのです」 ('A`)(下衆すぎて笑えてきた) (´・ω・`)「私が茂羅和尚と最後の契りを交わした夜……」 (´・ω・`)「なんと申したか、覚えておられますかな?」 ( ・∀・)「忘れるわけがない……稲麻竹葦だ」 (´・ω・`)「その通り!」 (´・ω・`)「私はその言葉をもって、あなたに鍵をかけた」 (´・ω・`)「心の傷が消えぬよう……完璧にあなたの胸に閉じこめたのだ」 (*゚ー゚)「ちょ、ちょっと待ってください!」 (*゚ー゚)「先程から申されている、稲麻竹葦とは……どういう意味なのでしょうか?」 (´・ω・`)「茂羅和尚、真意はつかめていますかね」 ( ・∀・)「当たり前だ」 ( ・∀・)「稲麻竹葦とはな、稲と麻と竹と葦がたくさんあるってことだ」 ('A`)「そのまんまじゃないですか」 ( ・∀・)「そこから転じて、欲しい物がたくさんあって嬉しいという意味が生まれた」 ('A`)「えっ、じゃあいい意味の言葉なんじゃ……」 ( ・∀・)「それだけじゃない! 裏の意味もある!」 ( ・∀・)「要らない物が大量に溢れていて、息苦しい――これがもうひとつの解釈だ」 (´・ω・`)「いかにも」 ('A`)「そ、そういうことなのか……」 ( ・∀・)「ある側面からは喜ばしい物事であっても」 ( ・∀・)「別の側面からは忌むべき対象になるってことだよ」 (´・ω・`)「そう。善悪・巧拙・優劣は表裏一体」 (´・ω・`)「捉え方によって容貌は異なる」 (´・ω・`)「そこで変わるのは見ている物ではない。見る私たちの目線だ」 ('A`)「それじゃ、この場面では」 (´・ω・`)「衆道に狂った僧が充満したこの寺院は」 (´・ω・`)「私のような道に則った者には天国であっても……」 ( ・∀・)「僕にとっては地獄、ということさ」 (´・ω・`)「この言葉を用いて茂羅に施錠をしたのです」 (´・ω・`)「私の他にも衆道に深入りしておる人間がいるぞ――と」 (´・ω・`)「そのことを忘れてはならないように」 (´・ω・`)「そして心の傷を誰にも知られぬよう、閉じこめることに成功しました」 (´・ω・`)「この状況下で口外などできるはずがありませんからね」 (´・ω・`)「それでも自己の中では、過去の記憶が反芻する。大層苦しかったでしょう」 ( ・∀・)「こいつは救いようのないクズだ……」 ( ・∀・)「お前のせいで、僕がどれだけ恐怖に怯える日々を送ってきたと思っている!」 (´・ω・`)「それがたまらなかった」 ( ・∀・)「何を言うんだ!」 (´・ω・`)「震えるあなたを遠目に眺めていることが……強烈な興奮を呼び覚ました」 ('A`)(狂ってる……) ( ^ω^)(薄ら寒くて仕方がないお……) ( ・∀・)「……糞虫め!」 ( ・∀・)「閉じるしかなかった僕を、弄んでいたのか! 変態狸!」 (´・ω・`)「罵声を浴びせなさっても、私には被虐的な悦びにしかなりませぬぞ」 (´・ω・`)「ただ逃げるという手段を残しておりましたので」 (´・ω・`)「監寺の位を与え寺に縛りつけました」 ( ・∀・)「やっぱりか。ふん、想像通りだ」 ('A`)(ああ、そんなことも言っていたな……) ('A`)(だけどその時、俺の前で稲麻竹葦の言葉を漏らしていたし……) ('A`)(茂羅さんなりに……開こうともしてたのかな……) (´・ω・`)「『閉じる』運命を背負わされた」 (´・ω・`)「こうした性質の者が、一人」 (´・ω・`)「……もっとも、今しがた開いてしまいましたが」 ( ・∀・)「……」 (´・ω・`)「最後に……毒念さん」 ('A`)「なっ、なんだよ」 (´・ω・`)「見方によっては、あなたが最大の功労者である」 ('A`)「は? 俺が?」 (´・ω・`)「うむ。あなたが持ち運んできた『歪み』……」 (´・ω・`)「いや、あなたがここで誕生させた大いなる『歪み』」 (´・ω・`)「これが最大の決め手となったのです」 ('A`)「俺が『歪み』の種だって?」 ('A`)「ふざけんなよ。俺なんて何もしてねーよ」 (´・ω・`)「毒念さんは偶然の事象でした」 (´・ω・`)「本来、計画に関与するような人材ではございませぬ」 (´・ω・`)「いいや、そもそも全部が……運によって成り立ったのかも知れませんが……」 ('A`)「早く言えよ、気になるだろ!」 (´・ω・`)「そう焦る必要もありません。誠に明快な話なのですから」 (´・ω・`)「あなたの隣に、椎伊が座っておるでしょう」 ('A`)「それがどうしたんだよ。いっつもいるぞ」 (´・ω・`)「まさにそれである。それこそが『歪み』」 (´・ω・`)「毒念さまによってもたらされた事件なのです」 (´・ω・`)「椎伊が一人の男性にすり寄ることなど」 (´・ω・`)「これまでに一度たりともなかったことでございます」 (*゚ー゚)「……」 (´・ω・`)「それもそのはずで、椎伊には過去の傷があるのですよ」 (´・ω・`)「ゆえに心根から気を許さない」 ('A`)「なっ、お前……椎伊のことをなぜ知っている!」 (´・ω・`)「弟蛇和尚の前の典座と、私はかつて性的関係を結んでおりました」 (´・ω・`)「話しましたよね」 (´・ω・`)「互いに歳を重ねたある晩、その雲水が私の元に参上しなさった」 (´・ω・`)「久々にどうだ、と」 (´・ω・`)「無論還暦寸前の仏僧など興味がないので断りましたが」 (´・ω・`)「なぜ唐突にと聞くと、椎伊に拒まれたからだ、と答えたのですよ」 [[前へ>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/66.html]]  [[戻る>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/51.html]] #comment(nsize=40,vsize=10,size=40)
(´・ω・`)「ひとまず心を安寧にして聞いていただきたい」 / ,' 3「痴れ者が……! さっさと話してみい!」 (´・ω・`)「この寺は古くから『閉じた』空間である」 (´・ω・`)「そこに譲留和尚という『開く』ための要因を導入した――」 (´・ω・`)「しかしながらそれだけでは不十分でした」 (´・ω・`)「積み上げられてきた歴史の重みは、そう簡単には覆りはしません」 (´・ω・`)「そこで私は……自らも新しい要素を持ち込んだのです」 (´・ω・`)「それが、六方陣」 / ,' 3「だからそれはなんなのじゃ! いかにして作った!」 (´・ω・`)「自然界の万物は、陰と陽の二極から生ずる……」 (´・ω・`)「陰陽道の応用にて開発いたしました」 (´・ω・`)「『閉じた』者と、『開いた』者」 (´・ω・`)「それら六名を権力者の立場に配し、概念上の陣を形成したのです」 / ,' 3「そんなものが効果あるはずないわい」 (´・ω・`)「承知しております、荒巻和尚」 (´・ω・`)「実際に効力を発揮するかはどうでもよいのです」 (´・ω・`)「これはあくまで、先刻語った『歪み』を作るための一手段なのございますよ」 / ,' 3「な、なんじゃと」 (´・ω・`)「『歪み』が『歪み』を生み、『歪み』が『歪み』を増大させる」 (´・ω・`)「『歪み』は精神の不安定を煽る。秩序が欠落する。自我を忘却する」 (´・ω・`)「それを補填するのが愛と肉欲でございます」 (´・ω・`)「そこに至るべき環境を、私はここに完成させたのです」 (´・ω・`)「私が張った六方陣も、様々な『歪み』を生じさせました」 (´・ω・`)「擬古和尚と譲留和尚の確執」 (´・ω・`)「それに伴う派閥闘争」 (´・ω・`)「少年僧の争奪戦、少年僧への求愛」 (´・ω・`)「倒錯した性愛、倒錯した純愛」 (´・ω・`)「私が彼らを六知事に任命したことで、湧き起こりました」 / ,' 3「わ、わしが残されたのは……」」 (´・ω・`)「私は愛欲に満ちた空間を望んだ」 (´・ω・`)「ですが、都寺まで堕落しては寺院自体が機能しなくなります。それはいけません」 (´・ω・`)「だから性欲が枯れ果てたあなたを都寺に置いたのですよ」 (´・ω・`)「その役目は一人で十分。だから候補者内で最も優秀だった、あなただけを残した」 / ,' 3「おお……」 (´・ω・`)「……あなたは『開こう』とした」 (´・ω・`)「そして、座禅をやめたのですね?」 / ,' 3「まさしく……」 (´・ω・`)「あなたは座禅を極めたのではなく、座禅の限界を悟ったのでしょう」 / ,' 3「その通りじゃ。単に向かい続けることは自己の拡大を狭めるだけであった」 (´・ω・`)「譲留和尚とは違い、過程を踏んでの結果です。それは既に大悟と申してもよい」 (´・ω・`)「老師の域にまで肉薄する禅僧は、しかし現れなかった」 (´・ω・`)「あろうことか、閉じ続けた擬古和尚が、大悟に最も近い僧などと称賛された」 (´・ω・`)「複雑な気分だったでしょう」 / ,' 3「そう。だから……」 / ,' 3「開けた世界の自然だけが……愛おしかった」 (´・ω・`)「『閉じ』に『閉じ』て、そして『開いた』」 (´・ω・`)「けれど開いた先には誰もいなかった。孤独の世界に閉じこめられた」 (´・ω・`)「それでもまだ……自己を外に開いていた」 (´・ω・`)「――こうした性質の者が、一人」 ('A`)(残る柱は、あと一本……) ('A`)(茂羅さんか……ここまでの話から推理すると、あの人は閉じている) ('A`)(一体何を……) (´・ω・`)「茂羅和尚」 ( ・∀・)「……」 (´・ω・`)「あなたを最後にしたのには多大な理由があるのです」 (´・ω・`)「いや、あなたが最後でなくてはならなかった」 (´・ω・`)「なぜならば、あなたの性質だけが、転換することができるからです」 ('A`)(へ……?) ( ・∀・)「……やめてくれ……」 (´・ω・`)「あなたの秘密は、私と共有している」 ( ・∀・)「黙れ、悪魔め……!」 (´・ω・`)「閉じた茂羅和尚の開放が可能なのは、当人と私しかおりませぬ」 (´・ω・`)「裏を返せば、私ならば茂羅和尚を開くことができる」 ( ・∀・)「黙れと言っているんだ」 (´・ω・`)「往々に古老先徳、あるいは西天に往還し、あるいは人天を化導する」 (´・ω・`)「漢より宋朝に至るまで、稲麻竹葦の如くなる!」 ( ・∀・)「やめろっ!!」 シィン…… ( ・∀・)「はあ……はあ……」 (´・ω・`)「……」 (´・ω・`)「どうなされますか」 ( ・∀・)「……あんたの口からは言わなくていい」 ( ・∀・)「僕が自分で開く! 口出しは無用!」 ( ・∀・)「あんたに無理やりに暴かれるぐらいなら、そっちのほうがマシだ!」 ('A`)「も、茂羅さん」 ( ・∀・)「みんな聞け! 僕はな――」 ( ・∀・)「諸梵和尚の寵児だったんだ!」 ( ^ω^)「茂羅さんまで……かお!?」 ('A`)「もうだめだ……俺に安心は永遠に来ないわこれ……」 ( ・∀・)「僕は十五歳でこの寺に来た。そして」 ( ・∀・)「入山して一ヶ月も経たぬうちに諸梵和尚の部屋に呼ばれたんだよ」 (´・ω・`)「私がこれまでに目にしてきた僧の中で……」 (´・ω・`)「茂羅和尚は群を抜いて美しかった」 (´・ω・`)「濡れた瞳、艶のある唇、ほのかに紅がさした頬」 (´・ω・`)「そして肌は滑らかでいて、それでいて張りがある……」 (´・ω・`)「造形美を極めておりました」 ( ・∀・)「黙れ、気色が悪い!」 ( ・∀・)「僕は昔からずっと、お前のことが大嫌いだった! お前は悪魔だ!」 (´・ω・`)「分かっておりましたよ」 (´・ω・`)「しかしそれもまた、私を燃え上がらせるひとつまみの山椒でした」 ('A`)(ど、どこまでもホモだ……) (´・ω・`)「私は茂羅和尚を心より愛しました」 (´・ω・`)「けれども、成人を迎えると同時に関係を断ちました。そうですね、茂羅和尚」 ( ・∀・)「ふん! どうせ飽きたんだろう!」 ( ・∀・)「二十歳になった男には興味なしか、この真性め!」 (´・ω・`)「私は五歳から五十歳まで男性機能を働かせることができる……」 (´・ω・`)「そのような情熱が甚だ欠けた因果ではございませぬ」 ( ・∀・)「じゃあ何だっていうんだ!」 (´・ω・`)「――あなたという存在を閉じこめるためにですよ」 ( ・∀・)「閉じこめる、だって?」 (´・ω・`)「封印、という呼称が最も適切でしょうか」 (´・ω・`)「私は新しい快楽の形を追求するのが趣味なのです」 ('A`)(下衆すぎて笑えてきた) (´・ω・`)「私が茂羅和尚と最後の契りを交わした夜……」 (´・ω・`)「なんと申したか、覚えておられますかな?」 ( ・∀・)「忘れるわけがない……稲麻竹葦だ」 (´・ω・`)「その通り!」 (´・ω・`)「私はその言葉をもって、あなたに鍵をかけた」 (´・ω・`)「心の傷が消えぬよう……完璧にあなたの胸に閉じこめたのだ」 (*゚ー゚)「ちょ、ちょっと待ってください!」 (*゚ー゚)「先程から申されている、稲麻竹葦とは……どういう意味なのでしょうか?」 (´・ω・`)「茂羅和尚、真意はつかめていますかね」 ( ・∀・)「当たり前だ」 ( ・∀・)「稲麻竹葦とはな、稲と麻と竹と葦がたくさんあるってことだ」 ('A`)「そのまんまじゃないですか」 ( ・∀・)「そこから転じて、欲しい物がたくさんあって嬉しいという意味が生まれた」 ('A`)「えっ、じゃあいい意味の言葉なんじゃ……」 ( ・∀・)「それだけじゃない! 裏の意味もある!」 ( ・∀・)「要らない物が大量に溢れていて、息苦しい――これがもうひとつの解釈だ」 (´・ω・`)「いかにも」 ('A`)「そ、そういうことなのか……」 ( ・∀・)「ある側面からは喜ばしい物事であっても」 ( ・∀・)「別の側面からは忌むべき対象になるってことだよ」 (´・ω・`)「そう。善悪・巧拙・優劣は表裏一体」 (´・ω・`)「捉え方によって容貌は異なる」 (´・ω・`)「そこで変わるのは見ている物ではない。見る私たちの目線だ」 ('A`)「それじゃ、この場面では」 (´・ω・`)「衆道に狂った僧が充満したこの寺院は」 (´・ω・`)「私のような道に則った者には天国であっても……」 ( ・∀・)「僕にとっては地獄、ということさ」 (´・ω・`)「この言葉を用いて茂羅に施錠をしたのです」 (´・ω・`)「私の他にも衆道に深入りしておる人間がいるぞ――と」 (´・ω・`)「そのことを忘れてはならないように」 (´・ω・`)「そして心の傷を誰にも知られぬよう、閉じこめることに成功しました」 (´・ω・`)「この状況下で口外などできるはずがありませんからね」 (´・ω・`)「それでも自己の中では、過去の記憶が反芻する。大層苦しかったでしょう」 ( ・∀・)「こいつは救いようのないクズだ……」 ( ・∀・)「お前のせいで、僕がどれだけ恐怖に怯える日々を送ってきたと思っている!」 (´・ω・`)「それがたまらなかった」 ( ・∀・)「何を言うんだ!」 (´・ω・`)「震えるあなたを遠目に眺めていることが……強烈な興奮を呼び覚ました」 ('A`)(狂ってる……) ( ^ω^)(薄ら寒くて仕方がないお……) ( ・∀・)「……糞虫め!」 ( ・∀・)「閉じるしかなかった僕を、弄んでいたのか! 変態狸!」 (´・ω・`)「罵声を浴びせなさっても、私には被虐的な悦びにしかなりませぬぞ」 (´・ω・`)「ただ逃げるという手段を残しておりましたので」 (´・ω・`)「監寺の位を与え寺に縛りつけました」 ( ・∀・)「やっぱりか。ふん、想像通りだ」 ('A`)(ああ、そんなことも言っていたな……) ('A`)(だけどその時、俺の前で稲麻竹葦の言葉を漏らしていたし……) ('A`)(茂羅さんなりに……開こうともしてたのかな……) (´・ω・`)「『閉じる』運命を背負わされた」 (´・ω・`)「こうした性質の者が、一人」 (´・ω・`)「……もっとも、今しがた開いてしまいましたが」 ( ・∀・)「……」 (´・ω・`)「最後に……毒念さん」 ('A`)「なっ、なんだよ」 (´・ω・`)「見方によっては、あなたが最大の功労者である」 ('A`)「は? 俺が?」 (´・ω・`)「うむ。あなたが持ち運んできた『歪み』……」 (´・ω・`)「いや、あなたがここで誕生させた大いなる『歪み』」 (´・ω・`)「これが最大の決め手となったのです」 ('A`)「俺が『歪み』の種だって?」 ('A`)「ふざけんなよ。俺なんて何もしてねーよ」 (´・ω・`)「毒念さんは偶然の事象でした」 (´・ω・`)「本来、計画に関与するような人材ではございませぬ」 (´・ω・`)「いいや、そもそも全部が……運によって成り立ったのかも知れませんが……」 ('A`)「早く言えよ、気になるだろ!」 (´・ω・`)「そう焦る必要もありません。誠に明快な話なのですから」 (´・ω・`)「あなたの隣に、椎伊が座っておるでしょう」 ('A`)「それがどうしたんだよ。いっつもいるぞ」 (´・ω・`)「まさにそれである。それこそが『歪み』」 (´・ω・`)「毒念さまによってもたらされた事件なのです」 (´・ω・`)「椎伊が一人の男性にすり寄ることなど」 (´・ω・`)「これまでに一度たりともなかったことでございます」 (*゚ー゚)「……」 (´・ω・`)「それもそのはずで、椎伊には過去の傷があるのですよ」 (´・ω・`)「ゆえに心根から気を許さない」 ('A`)「なっ、お前……椎伊のことをなぜ知っている!」 (´・ω・`)「弟蛇和尚の前の典座と、私はかつて性的関係を結んでおりました」 (´・ω・`)「話しましたよね」 (´・ω・`)「互いに歳を重ねたある晩、その雲水が私の元に参上しなさった」 (´・ω・`)「久々にどうだ、と」 (´・ω・`)「無論還暦寸前の仏僧など興味がないので断りましたが」 (´・ω・`)「なぜ唐突にと聞くと、椎伊に拒まれたからだ、と答えたのですよ」 [[前へ>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/66.html]]  [[戻る>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/51.html]]  [[次へ>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/68.html]] #comment(nsize=40,vsize=10,size=40)

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