(#゚;;-゚)バレエ・メカニックのようです その1


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 ――私は休息が、呼吸できる空間がほしかったのだ。

 ――機械の時代の躍動性のあとで、

 ――私は大きな人物たちのもつ静的状態の必要性を感じたのである。

                                               Fernand Leger



 (#゚;;-゚)機械舞踊のようです


                   モチーフ曲:坂本龍一『Ballet Mecanique』
                           http://www.youtube.com/watch?v=DjgM3d6zBQc&feature=related


( "ゞ) カリカリカリ

( "ゞ)

( "ゞ)「それで、体の調子が悪いので検査しに来た、というお話でしたが」

( "ゞ)「具体的には、身体のどのあたりに不調を感じるのか」

( "ゞ)「事前に出した問診票は白紙のようですし、教えてもらえると嬉しいのですが」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「はい」

(#゚;;-゚)「具体的にいうと、実はどこも異常はないんです」

( "ゞ)「どこにも?」

(#゚;;-゚)「はい。腕も、足も、頭も、身体も至って正常です」
( "ゞ) カリカリカリ、カリ

( "ゞ)

( "ゞ)「よくわからないのですが」

( "ゞ)「では何故、あなたは当病院へ通院されたのですか?」

( "ゞ)「身体のどこにも異常はない、ということが自分でわかってるなら――」

( "ゞ)「いや、これ以上はからかってるだけだね……やめようか」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)「どうして病院なんかに来たんだい?」

( "ゞ)「君の身体に異常が発生した場合は、所定のラボラトリーに出向くのが当たり前だろう?」

( "ゞ)「ロボットの病院へ行かずに、ここへ来た理由は何だい?」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)「一応、受付で帰してあげなさいって言ったんだけどね」

(#゚;;-゚)「それは私が看護婦の方に無理を言って、ここまで入れて頂いたんです」

( "ゞ)「うん、そうだね」

( "ゞ)「この病院には風邪をひいた人間、お腹を痛めている人間、頭痛に悩まされる人間」

( "ゞ)「いっぱいの病人が僕の診察をうける為に、待合で長い時間待ってるんだ。今も辛い思いをしてね」

( "ゞ)「そしてそこにロボットはいないんだ」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「お時間をとっていること、お仕事の邪魔であることは理解しています」

(#゚;;-゚)「ですが、どうしても先生に診てもらいたかったんです」

(#゚;;-゚)「人間のお医者様に」

( "ゞ)
( "ゞ)「強情なロボットだね」

( "ゞ) カリカリカリ

( "ゞ)「ここまで来たんだ。一応、君が僕の患者であることには違いない。診察はしよう」

( "ゞ)「でもさっきも言ったように、ここには他に大勢の患者が待っている。君よりずっと緊急を要すかもしれない患者がね」

(#゚;;-゚)「理解しています」

( "ゞ)「ありがとう」

( "ゞ) カリカリ、カリッ

( "ゞ)「約束は守るよ。だから診察時間が終了するまで、もう少しだけ待合で待っていてくれないかな」

( "ゞ)「患者さんをひと通り診終わったら、君の診察を……いや、話を聞こう」

( "ゞ)「必ずね」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「わかりました。お待ちします」

 * * *


 ロボット三原則、というものがある。


 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また人間が危害を受けるのを何も手を下さずに黙視していてはならない。

 第二条 ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし第一条に反する命令はこの限りではない。

 第三条 ロボットは自らの存在を護(まも)らなくてはならない。ただし、それは第一条、第二条に違反しない場合に限る。


 人間がロボットを開発し、隣人として認めた時に、私たちへ植えつけられたものだ。
 全てのロボットはこの三原則に従わなければならない。
 安全と信頼をもって、人間が私たちと向き合っていくために絶対不可欠なプログラム。


 だが、もしもの場合に限って。

 ロボットが――私たちがこの三原則を破るようなことが(万に一つも可能性はないけれど)あった時。

 その時、私たちはロボットであるのだろうか。

 あるいはロボットでも人間でもない何かに変わるのだろうか。

 * * *

( "ゞ)「どうぞ、お入りなさい」

(#゚;;-゚) ギィ

(#゚;;-゚)「失礼します」

( "ゞ)「そう遠慮しないで。もう仕事の時間じゃないんだ。いわば……ボランティアなのかな?」

( "ゞ)「よくわからないけど、とにかくそう固くならないでね」

( "ゞ)「……なんて言い草も、君たちロボットに失礼だね。失礼」

(#-;;_-) )) フルフル

(#゚;;-゚)「私は先生に診ていただけるだけでも嬉しいのです。お気になさらないず」

( "ゞ)「嬉しい、ね」

( "ゞ)「なんだって僕みたいなへっぽこ医者のいる診療所に来たんだかねえ、君は」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「異常を感じたのは、ついぞ二年ほど前でした」

( "ゞ)「正確には?」

(#゚;;-゚)「二年と二ヶ月、二十四日と17時間37分42秒前です」

( "ゞ)「ふむ、それで?」

(#゚;;-゚)「はい」

(#゚;;-゚)「私はあるおうちに家政婦兼介護士として働かせていただいてます」

(#゚;;-゚)「働く、といってもご本人たちからお給金をいただいているわけではないのですが」

( "ゞ)「知ってるよ。国立ロボット介護センターから、生活困窮者のご家庭にほぼ無償で介護ロボを派遣する制度」

( "ゞ)「ほぼ無償と言っても数は限られる上に、審査は必要だと聞くけどね」

(#゚;;-゚)「はい」

( "ゞ)「……失礼、続きを聞こうか」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「はい」

(#゚;;-゚)「私がお手伝いをさせて頂いてるご家庭は、ご兄妹の二人暮らしで」

(#゚;;-゚)「当時、配偶者を――ご両親を酷い事故で亡くしたばかりのころ、まだ未成年であったお二人を介助するため」

(#゚;;-゚)「お二人が立派に成人して働けるまでという条件でお手伝いをさせてもらっていました」

(#゚;;-゚)「二年と二ヶ月、二十四日と17時間37分42秒前までは」

( "ゞ)

( "ゞ)「その日に、何かあったのかな?」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「お兄様――モララー様が、その日」

(#゚;;-゚)「酷い雨の日でした。外出中でしたのに、傘をお忘れになっていたので私がお迎えに行くと」

(#゚;;-゚)「電話で私が申し出たのですが、モララー様は断って――」

(#゚;;-゚)「本当に、前も見えないくらいの酷い雨で……」


 「雨がひどくて」

                                        「モララー様は冷たい冷たいと、電話越しに笑って」

                   「お風邪を引いたら大変と」

                                                           「お止めしたのですが」

        「警察の方が教えてくださった話では」
                                           「モララー様は私と通話したまま横断歩道を」

  「わたられて」                       「注意散漫」

               「トラックの運転手の方も、ブレーキが間に合わなかったらしいです」

                                                             「本当にあの日は」

                        「酷い雨で」


(#゚;;-゚)「モララー様は交通事故に遭われて、大怪我をなさいました」

(#゚;;-゚)「頭部をひどく打たれたのが原因だそうです。お命は助かりましたが」

(#゚;;-゚)「遷延性意識障害――植物状態に」

(#゚;;-゚)「なってしまわれたのです。二年と二ヶ月、二十四日と17時間38分36秒前に」



( "ゞ)

( "ゞ)「うん、なるほど」

( "ゞ)「なるほど……そうか、うん。それで?」

 * * *

(#゚;;-゚) ガチャ

(#゚;;-゚)「ただいま戻りました」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「ハイン様、ハイン様。いらっしゃいますか? でぃはいま帰りました」

ミ从 ゚∀从 ヒョッ

从 ゚∀从「ああ、うん。おかえり」

从 ゚∀从「お前、玄関の鍵開いてるんだからあたしがいるに決まってんだろ」

(#゚;;-゚)「申し訳ございません」

从 ゚∀从「いいよ……もう。それより今日はどこ行ってたんだよ?」

从 ゚∀从「まさか、またラボか?」

(#゚;;-゚)「いえ、病院です」

从 -∀从「ああ、はいはい。ラボね。お前、もうどこに行ったって結果は変わんねーよ」

(#゚;;-゚)「いえ、今日はラボではなく――」

从 -∀从「ハード、ソフト両方の面で一切問題なし。ネジ一つの緩みなし。ナシ無しなし」

从 ゚∀从「どんな検査ももう必要ねーし、お前は壊れちゃいねーよ。それより、あんまり家空けんなって」

从 ゚∀从「いざとなった時にお前がいないと色々困るだろ」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「いざという時とは、例えばどういう時でしょうか」

从 ゚∀从、 チッ

从 ゚∀从「牛乳切れた。買ってこい。いつものやつ、VIP印のでな」

从 -∀从「あと、アレ頼む。家が臭くてたまんねー」

从 -∀从「帰ったら飯もな。今日、腹減ったから早めに」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「かしこまりました」


 ガチャ


(#゚;;-゚)「……モララー様」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「モララー様? ただいま帰りました。でぃです」


( -∀-)


(#゚;;-゚)「遅くなりました。申し訳ございません。おむつ、気持ち悪いですか?」

(#゚;;-゚)「すぐお取り替えしますね」

(#゚;;-゚) セッセ セッセ

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「これでよろしいでしょうか? 苦しくはないですか?」

(#゚;;-゚)「ハイン様のお食事を用意し終わったら、お体を拭きますね」


( -∀-)


(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「その前に、牛乳が切れていたらしいですから、買って来ますね」

(#゚;;-゚)「今日、ハイン様のお夕食はどうしましょうか」

(#゚;;-゚)「モララー様、シチューがお好きでしたよね。せっかく買い物に出ますし、今日はシチューにしましょうか」


( -∀-)


(#゚;;-゚)

(#-;;_-)「点滴も……あとでちゃんと替えておきますね」

 ((...(#゚;;-゚) トコトコ


(#゚;;-゚)「ハイン様」

从 -∀从´

从 ゚∀从「なんだよ、まだ行ってなかったのかよ」

从 ゚∀从「腹減ったって言ったじゃん。早く行って、帰って、飯作れって。早く」

(#゚;;-゚)「申し訳ございません」

(#゚;;-゚)「あの、それでお夕食は、せっかくですのでクリームシチューにしようかと」

(#゚;;-゚)「よろしいでしょうか? もし他に何かご要望がありましたらと思いまして、仰って――」


从#゚∀从「早く行けよっ! のろま! 牛乳買ってこいって言っただけだろ!」


(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「も」

                                       「……申し訳ございません」

 * * *

(#゚;;-゚)「センターは特例として、妹のハイン様のご成人後も」

(#゚;;-゚)「ハイン様と、モララー様のお手伝いを継続して行うように私へ指示しました」

( "ゞ)「では、ご兄妹とは長い付き合いなんだね」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「妹のハイン様は、事故当時は大層悲しまれていました」

(#゚;;-゚)「モララー様は奨学金を受けながら、晴れて高等学校を卒業なさった偉い方です」

(#゚;;-゚)「その後もすぐに働きに出て、ハイン様が少しでも苦労なさらないよう毎日必死でいらっしゃいました」

(#゚;;-゚)「ですが、苦労や辛さなどおくびにも出さない。ご両親を亡くした悲しみは、あの方だって同じはずなのに」

(#゚;;-゚)「ハイン様にとっても……私にとっても、モララー様は誇らしい方でした」

( "ゞ)

( "ゞ)「妹さんも、悲しかっただろうね」

(#゚;;-゚) コクッ

(#゚;;-゚)「ハイン様はモララー様を心からお慕いしてらっしゃいました」

(#゚;;-゚)「ですが、モララー様が事故にあって、奇跡的にお命を取り留めたというのに」

(#゚;;-゚)「ハイン様はまるでモララー様から目をそむけるように接し始められたのです」

( "ゞ)

( "ゞ)「現実を直視するのは、辛いだろうからね」

( "ゞ)「大好きだったお兄さんといえども、変わり果てた家族の姿を見つめるのは……心を抉られるだろう」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「変わってしまった……そうでしょうね。きっと」

(#゚;;-゚)「ハイン様にとっては、きっとすべてが変容してしまったように思われたのでしょう」

( "ゞ)

( "ゞ)「君はどうだった?」

(#゚;;-゚)「?」

( "ゞ)「君が身体に異常を感じたのは、モララーさんが植物状態になってからなのだろう?」

( "ゞ)「君は? 君は何か感じなかったのか? 彼の――」

( "ゞ)「彼らの"変容"に」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)「おっと」

( "ゞ)「失礼、ロボットの君に『何か感じた?』なんて質問は――」

(#゚;;-゚)「"変容"という意味では」

( "ゞ)´

(#゚;;-゚)「おそらく何も。私にとっては、それは僅かな違いでしかなかったからかもしれません」

( "ゞ)「わずか、なのかい? 尽くすべき主人の一人が、寝たきりになってしまって」

( "ゞ)「ハインという子もだ。兄弟と君の家庭は、今までとは大きく変わってしまったのでは?」

(#゚;;-゚) )) フルフル

(#゚;;-゚)「変わりません。少なくとも、私が変わる必要はないはずです」

( "ゞ)「何故?」

(#゚;;-゚)「何故って、先生。モララー様が酷い事故に遭われて、植物人間になっても」

(#゚;;-゚)「ハイン様がお兄様を、まるでいない者のように振舞われていても」

(#゚;;-゚)「私はお二人のお世話をしなければいけません。いけないんです」

(#゚;;-゚)「それは今までと何一つ変わらない事実です」

( "ゞ)

( "ゞ)「そうか……でも、君は」

( "ゞ)「何か異変を感じたんだね? 自分の体に」

( "ゞ)「それは君の気付かなかった、君自身の"変容"なのかい?」

(#゚;;-゚)

 * * * 

(*゚ー゚)「でぃちゃん!」

(#゚;;-゚)´

(#゚;;-゚)「お姉ちゃん」

(*゚ー゚)「久しぶり、元気してた? どうなの最近? 大変そうじゃない?」

(#゚;;-゚)「ううん、大変じゃないよ。元気。最近は……いつもと変わらない」

(*゚ー゚)「そう? 良かった」

(*゚ー゚)「お買い物の最中?」

(#゚;;-゚) )) コクッ

(#゚;;-゚)「牛乳ね。買ってきてって言われて」

(*^ー^)「そう! あたしはね、ウチのぼっちゃまを習い事に送ってきた帰りなの」

(*゚ー゚)「また八時に迎えに行かなきゃ! すごいのよ~? ぼっちゃま空手の茶帯なの!」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「すごいね」

(*^ー^)「そうなの、すごいの! 奥様も旦那様も鼻高々なのよー!」

(*゚ー゚)「もうすぐね、黒帯の昇段試験があるから、その時は応援に行かないと」

(*゚ー゚)「おっきな横断幕作ってぼっちゃまをサポートするの! 『ギコぼっちゃま頑張って!!』って書かなきゃ!」

(*^ー^)「晴れて黒帯をゲットした時のために、当日のご馳走も今から考えないと!」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚) )) コクコク

(#゚;;-゚)「すごそうだね」

(*^ー^)「えへへ、そうでしょお?」

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