妹を身籠らせた。
僕らの親代わりだった、歳の離れた兄は。
( ・∀・)「そうか」
と、言うと。
渾身の力で僕を一度殴りつけた。
( ・∀・)「出ていけ」
こうなるとは予想していた。
だから。
(メ)A`)「分かったよ」
一言だけ返して。
そのまま家を飛び出した。
('A`)言葉足らずのようです
殴られた頬が熱い。
夜半の風が、痛みを麻痺させる。
吐き捨てた唾には、砕けた歯が混じっていた。
(メ)A`)「寝床の確保が難しいな」
頼る友はほとんど、いない。
いや、頼ってはいけない。
これは自業自得だ。
因果は鉄則にして不文律。
今ここで人に頼れば、僕は最悪の屑にすら劣る。
もう既に手遅れであるやもしれないが。
(メ)A`)「阿呆だな」
知らずに漏れた呟き。
川 ゚ -゚)「ドクオ……か?」
その呟きに反応したのか否か。
数少ない友人に出会う。
(メ)A`)「否定はしない」
川 ゚ -゚)「その物言いはドクオだな」
したり顔でそいつは言った。
(メ)A`)「で、何だ」
川 ゚ -゚)「頬は、どうした」
答えを逡巡。
(メ)A`)「…………」
誤魔化してもしょうがない、か。
(メ)A`)「勘当……いや、義絶されたよ」
川 ゚ -゚)「理由は?」
こいつはこういう奴だ。
人の領域に土足で踏み込む。
だから、僕と気が合った。
(メ)A`)「妹を、身籠らせた」
川 ゚ -゚)「そうか」
無表情で奴は続ける。
川 ゚ -゚)「家に来い」
寝床くらいは、貸してやる。
言外にそう秘めて、奴は身を翻す。
(メ)A`)「……行かねえよ」
川川川)「黙れ」
背を向けたまま。
川川川)「いいから、来い」
奴が力強く言い切る。
何故か、僕は泣いていた。
時が経ち日は過ぎる。
あの夜から、秋を十四つ跨いだ。
場所は変われど、僕は奴と共にいた。
川 ゚ -゚)「今日は?」
('A`)「出ない」
川 ゚ -゚)「非番か」
('A`)「ああ」
以前となんら変わりも無く。
奴との生活が続く。
ただ、あの日になると。
僕らは狂ったように交わった。
それだけだ。
奴の真意は知らない。
だから。
何も言えず、何も言わない。
それでいい。
('A`)「変化はいらない」
口に出した言葉が、随分と安っぽく聞こえた。
目を閉じて思い出すのは。
(* - )『――――』
あの日の妹と。
( ・∀・)『出ていけ』
兄の言葉。
この身を蝕む苦い記憶。
あの日がやってきた。
いつの間にか眠っていた。
確証はない。
けれど、起きていた記憶もない。
戸を叩く音がした。
('A`)「誰だ」
来客の予定は無い。
『私だ。手が塞がっていてな』
奴の声。
('A`)「今、開ける」
('A`)「どこで拾った」
川 ゚ -゚)「家の前だ」
奴の両手には子供がいた。
歳は十二、三程だろうか。
眠っており、正確には分からない。
('A`)「どうするつもりだ」
川 ゚ -゚)「知らん」
どこか楽しそうに奴は言う。
要領を得ない解答に苛立ちが募る。
('A`)「勝手にしろ」
僕は諦めていた。
(#-;; ゚)「ん……うぅ…」
小さな呻き。
川 ゚ -゚)「起きたか」
(#゚;;-゚)「……はい」
消え入りそうな声が僕を苛立たせる。
川 ゚ -゚)「どうして、家の前に?」
奴が尋ねる。
答えは分かっている。
(#゚;;-゚)「……お父さんに……会いに……」
川 ゚ -゚)「お父さん?」
止めろ。
黙れ。
(#゚;;-゚)「お父さん」
子供が僕を指す。
胃酸の香りが部屋を満たした。
川 ゚ -゚)「余計に青白いな」
('A`)「うるさい」
奴のぼkに付き合う余裕はない。
('A`)「外で話す」
川 ゚ -゚)「分かった」
('A`)「すぐに帰る」
川 ゚ -゚)「ああ」
家には奴が残される。
('A`)「なんで来た」
(#゚;;-゚)「お父さんに……会いたかった、から」
('A`)「何故だ」
(#゚;;-゚)「お話……が、ある…の」
気味が悪い。
僕なんかの子供。
最悪だ。
('A`)「……話?」
(#゚;;-゚)「伯父さんが……亡くなったの」
('A`)「兄さんが死んだか」
だから、どうした。
僕には関係の無い事だ。
(#゚;;-゚)「それで……お母さんが…会いたいって」
吐き気が込み上げる。
妹の面影が、子供に重なった。
('A`)「…………っ」
くだらない。
(#゚;;-゚)「お父さん……伯父さんより…乱暴」
今ようやく分かった。
僕は奴に妹を重ねていただけだ。
(#゚;;-゚)「でも……痛くしない…ね」
似ても似つかない二人を重ねて。
妹を抱いたつもりだった。
('A`)「お前の母に、会いに行く」
自分の子供に妹を重ねた。
(#゚;;-゚)「……分かった」
吐き気が止まらない。
(*゚ー゚)「兄さん」
妹は変わっていない。
歳をとっただけだった。
('A`)「帰った」
(*゚ー゚)「今、お茶を出すわ」
('A`)「ああ」
子供は部屋に帰した。
聞かれたくない話、をするそうだ。
('A`)「変わらないな」
何もかもが。
(*゚ー゚)「ええ、そうね」
他人同士よりも希薄な表面だけの会話。
('A`)「話があるんだろ」
(*゚ー゚)「ええ」
静かに妹は言い出す。
(*゚ー゚)「兄さんが出て行ってから、お兄さんはおかしくなったわ」
('A`)「奴は昔からおかしい」
(*゚ー゚)「子供を堕すな、そう言ったの」
狂ってる。
(*゚ー゚)「大丈夫だ。俺が養う、お前も子供もって」
('A`)「吐き気がする」
(*゚ー゚)「けれど、お兄さんは私を乱暴に扱ったわ」
(*゚ー゚)「自分がしたいだけして」
(*゚ー゚)「それから、私を殴るの」
歌うように妹は続けた。
(*゚ー゚)「あの子がお腹にいるのによ?」
(*゚ー゚)「笑っちゃうわ」
頭痛が起こる。
吐き気が加速した。
(*゚ー゚)「あの子もね、お兄さんに乱暴されたの」
('A`)「知ってるさ」
兄さんだけじゃない。
俺もだ。
(*^ー^)「十歳の頃だったかしらね」
妹が笑った。
(*゚ー゚)「まあ、いいわ」
(*^ー^)「兄さん、寝室に行きましょう」
('A`)「ああ」
狂ってる、この家は。
この血筋は。
(*゚ー゚)「お兄さんが死んで以来だわ」
灯油の匂いが充満する寝室で。
下着姿の妹が言った。
('A`)「そうか」
なんの躊躇いもない。
僕は、また。
妹を抱いた。
火の手が上がる。
(*゚ー゚)「兄さん、疲れたかしら」
('A`)「そうでもない」
事を終えた直後。
灼熱に囲まれながら、僕にしなだれかかる妹が言う。
(*゚ー゚)「お兄さんはね、ここで死んだのよ」
(*゚ー゚)「この部屋の、この場所で」
妹の手が僕に伸びた。
(*゚ー゚)「こうして、お兄さんとした後にね」
首を掴む手が冷たい。
(*゚ー゚)「私が殺したの」
('A`)「そうか」
首を絞める力が強くなる。
(*゚ー゚)「ばいばい、兄さん」
('A`)「……ああ」
炎が猛る。
妹の笑い声が遠くに聞こえた。
終
- 日付とか名前とか、あれ消されると読みにくい。 -- 名無しさん (2011-03-03 11:44:41)
- まさに作者のやりたい放題で言葉足らずって皮肉でイイの、コレ?(笑) -- 名無しさん (2011-03-05 05:58:16)
最終更新:2011年03月05日 05:58