( ^ω^)戦場に生き残った魂のようです 第一話


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赤白い空から僅かに輝く太陽が覗いた。
その空では漆黒の烏が舞い、瓦礫の底からは溝鼠が顔を覗かせている。
その溝鼠の闇に光る目は恐怖感を与えるとも取れるが、芸術的であるともとれる、

その刹那、何かが宙から滑空してきた。
目が黄色く輝いている。烏の様だ。

哀れにも、瓦礫の底にいた鼠はその次の瞬間生きてはいなかった。
烏が口にくわえている。生気は感じさせられなかった。

( ^ω^)「悲惨なものだお…。
只の動物でさえ、こんな惨憺な生き方をしなきゃいけないなんて
      残酷過ぎるんだお……。」

それを見ていた童顔の男が声を上げた。
声は低く、悲しみがにじみ出る様な声を絞り出すようだった。

それを聞いた隣の痩せ身の男も、また声を絞り出すようにして言葉を出した。

('A`) 「戦争というのは酷いもんだ。
     人々を凪ぎ殺していくばかりか、生き残った者にすら苦しみを与える。
     計略だかなんだか知らないが酷いモンだぜ」

計略。
そうだ。その言葉に何回苦しめられたことか。

ここ、ヴィップ国に攻め入ってきたオオカミ国。
粗暴な印象を元から受けていた国だから、それなりの対策をとってはいた。国もバカではない。
だが、その対策というのが、最悪だった。

計略。
ヴィップ国の皇帝は、それを告げた。

奇策と言うのに相応しいその策は、皇帝の力が絶対的なこの国で、渋々全員が承諾した。
その策の内容と言うのは。

“全ての人民が何処かの塔に隠れる。わざとそこに向かった証拠を残し。
 当然、オオカミの連中は証拠を見つけ、其処へ向かう。
 だが、それはフェイク。一握りの人民は其処を狙い、狙撃する。
 袋の鼠となるオオカミ勢は、人民を囮に脆くも崩れ去る”

勿論、全員が承諾する分けがない。
自分とドクオを含める数千人がデモを起こした。
だが、その反抗も虚しく、オオカミ軍は攻めてきた。

人が集まっているだろう、その塔には見向きもせず、町々を破壊した。
意地でも残り続ける気だった自分とドクオも、逃げる他無かった。

だが、結果的に村人と塔は町諸共破壊された。
完全なる敗北を、皇帝が告げた。だが、それを聞ける生存者は、三十人に満たなかった。
どうやら、間者が紛れ込んでいた、そういうことらしい。

奇跡的に生き残った自分とドクオも、この荒廃した荒地を前にして、ただただ立ちすくむしかなかった。
全てを破壊した戦争の生々しい傷跡を眼に映しながら。

そう思った時、ドクオが立ち上がった。
目は何かの意思に満ちている。絶望なんかじゃなく、もっと正の。

( ^ω^)「何処にいくんだお?」

その男、ブーンがドクオに聞き尋ねた。
ドクオはブーンのほうを向かずに答えた。

('A`)「こんな戦場にいつまでもいられるか。
    オレは両親を探しにいく。恐らく、塔にいるだろう」

そう言い残すと、立ち去っていこうとしていた。
瓦礫がドクオの足音と共にメキメキ音を立て、崩れた。

( ^ω^)「待つんだお!」

ドクオが立ち止まり、こちらの方向に振り返った。
ドクオもあの事はよくよく分かっているはずだ。

( ^ω^)「ドクオのその気持ちは痛いほど分かるお…。
      ブーンも塔に実際いきたいんだお。
      だけど、それは無理なことだお。ドクオも分かってるはずだお。
      まだ、オオカミ軍が塔の周りを徘徊してるお。下手に行ったら生きて帰ってこれないお。
      実際、何人もあそこの周りで殺されてるお。
      しかも、中にいる人たちが生きているともいえないお。
      最悪、全員死刑にされたか最良でも捕虜になって捕まってるお。
      救出できる可能性も皆無に近いお。」

当然、ドクオもこのことは知っている。
実際、ドクオと一緒に塔の周りで人がオオカミ軍に殺されたのを見た。

('A`)「んなこたぁ分かってる。
    だが、こんなとこにずっといるわけにはいかないだろ?
    どうせここにいてもいつか死ぬ。なら、少しでも可能性が高いほうがいいだろ?」

その言い分はよく分かる。
だけど、死んだら元も子もない。

( ^ω^)「ドクオの行ってる事は分かるお。
      だけど、今死んでもいいことなんて無いお…。
      確かに、助けられる可能性はあるお。
      だけど、せめてもう少し強くならなきゃだめだお…。
      こんな弱さじゃ、勝てっこないお。それどころか、オオカミ軍を出し抜くことも無理だお…。」

ドクオは、その言葉を聴いて納得したのか、こっちを向いて戻ってきた。
その顔は、さっきより絶望に満ちているように見えた。

('A`)「………。なあ、一ついいか。」

こっちを向いていったドクオ。
当然のように自分は頷いた。

('A`)「オレが聞いた話だと、被害者達がそれぞれ集ってる、村みたいなのがあるらしい。
   その村っつーのはこの先の森林の奥地にあるんだが…。
   そこに行ったらどうだ?二人じゃ何も始まらないだろ。」

その村の存在をはじめて聞いた。
ドクオは昔から情報通だ。誰も知らないような情報を集めてくる。
当然、自分も行きたい。

( ^ω^)「ブーンはそこでもいいお…。
      この家から離れるのは名残惜しいけど、仕方ないお…。」

その通りだった。
今、ブーンがいるところはブーン家跡だ。

オオカミ軍により町は全壊、ブーン家も瓦礫の山と化した。
元々ある程度大きい家だったため、瓦礫の山はここらで一番大きかった。

ここを離れるのは名残惜しい。
だが、離れるほか無いと言うのが現状だった。

('A`)「その村っつーのはこの先の森にある。
    だが、それを妨げてるのが塔だ。絶対に塔の近くを通らなければいけないため、
    村に向かう途中で死傷者すらも出てる始末だ。」

ドクオははっきりとして口調で声を上げた。
ここから真北に進むと塔が見える。人々が皇帝の囮となった暗黒の場が。

そして、村はその塔の北西の方角にある。
つまり、早く行く為には塔の近くを通らなくてはいけない。

( ^ω^)「遠回りしたほうが安全性に優れてるお。
      だけど、付近を通った方が早く着くお。
      ドクオ…ドクオはどっちがいいと思うんだお?」

ドクオは渋い声を張り上げて答えた。

('A`)「確実性をとるなら、付近を通ることだな。
    実はオレは方向音痴だ。お前もだろ?」

ブーンとドクオの二人は方向音痴の達人と言われたこともある。
街中の五十メートル先のA地点に行くのに、迷うことすらあるのだ。

増しては、遠回りするとここから先は樹海が張り巡らされている。
普通に考えると、完全に迷うことが丸分かりだろう。

それで考えると、塔付近は荒廃した見晴らしがいい大地で、迷うことは皆無に近いだろう。
というと、当然オオカミ軍からもこちら側が見えると言うわけだ。

( ^ω^)「命の危険は多少あるけど、塔があるルートの方が確実だお。
      いざとなればこの身で戦えば多少は抗えるお。
      ブーンはいざとなったらこの身を捨てる覚悟でドクオを守るお。
      片方でも生還すれば現状を伝えることが出来るお。」

こういう場合は、現状を伝えるのが第一、と誰かが言っていた。
現状を伝えれば、運がよければ助けてもらえたりもする。

('A`)「オレもブーンを守るぜ。
    いや、変な意味じゃなくて、この国を救うためとかの意味で。」

お互いがお互いを助け合う。
このやりかたならば、最悪一人は村に出られるだろう。

( ^ω^)「じゃあ、塔方面に向かうお。
      の前にもって行く物は何か無いかお?」

頭の中に持って行くべきものが浮かんだ。
最悪、食料は若干でも必要だろう。

食料の他にも、水、衣服、護身用の剣等、探したらきりが無い。

('A`)「水、食料はオレの家の蔵に安全にしまってある。
   さっき見てきたところじゃ、蔵は破壊されてない。
   オオカミ軍は物資に富んだ国だ。分けが分からない相手国の食料をとったりはしないだろう。
   だが、案の定オレの家には衣類が無い。オオカミ軍に焼き払われた。
   オレの住んでる地域はもっとも過酷な区域だったからな。そう考えると蔵が残っていたのは運がいい。」

ブーンの家には衣服、武器が色々揃っていた。
武器を使い、色々な遊びをしたからだ。

だが、其の殆どは所詮玩具だ。
それを除くと、ブーン家には五個しか使える武器が無い。
そして、其の武器も大抵は三千円前後で買える安いものだ。

( ^ω^)「取り敢えず、ドクオは水と食料を頼むお。
      ブーンは衣服と武器をこの瓦礫の山から探すお。」

ドクオは、了解したのか、ドクオの家に向かっていった。
探そうとも思うが、瓦礫の山から探すのは容易ではない。

瓦礫の山を掻き分けて、武器を探す。
2m以上もある瓦礫の山は、どの辺りが自分の部屋、二階か見当がつかない。

瓦礫の土砂崩れもいつ起こるかまったく分からない状況だ。
だが、とにかく今は掻き分けるしか出来ない。

其の時、何かが爪に当たった。
瓦礫をどけ、それを見つめた。鈍く光る短剣だった。

( ^ω^)「やっとそれらしい物を見つけたお!!」

実験として、紙でも切ってみようと思ったが、瓦礫の山でそんな貴重なものは無い。
取り敢えずここでドクオを待ってみることにした。

その辺の大きいコンクリートの塊に乗った。
そして、寝転がった。
寝転がった其の瞬間。

首に、冷たい感触が走った。それは、紛れも無いナイフ。

( ゚∀゚)「見つけたぜ~。」

オオカミ軍の兵卒らしい。
咄嗟にそう思った。だが、もう遅いかもしれない。

足を上げ、後転の要領で後ろに向かって蹴りを入れた。
敵兵の後頭部に激突する。

敵兵が痛みに吼えた。
その隙にコンクリートから離れる。

( ゚∀゚)「………。」

にらみ合う二人。
其の二人の間には、稲妻が走っているようだ。

( ^ω^)「………。オオカミ軍かお?」

唐突に声が発された。
分かりきっていることかもしれない。だが、念のためだ。

もしこの人がオオカミ軍じゃないとしたら、倒すわけには行かない。
倒してしまったらゴメンではすまない。

( ゚∀゚)「違うぜおいおい。オレはジョルジュ=ヴィア、ヴィップの役者だ。
     さっきはすまなかったな。」

そんなこと、信じられない。
常識的に考えると、有得ない話だろう。

オオカミの手先なら、普通にこういう芝居はすると、誰かが言っていた。
オオカミは狡賢いのだ。

( ^ω^)「そんな事、信じられるかお!!
      かーちゃん達を追い詰めた、オオカミ軍じゃないのかお!?」

ジョルジュは困惑したような様子を見せた。
そして、ポケットからかみっきれを取り出した。

( ゚∀゚)「証明書だ。ヴィップ国の刻印が刻まれてるだろ?」

その紙には、ジョルジュ=ヴィアと書かれていて、紛れも無いVIPの刻印が押されていた。
間違いなく、ヴィップ国の人間だろう。だが。

( ^ω^)「なんで襲い掛かったんだお!!
      やっぱ怪しいお!」

相手の男は、すまなそうにしゃがみ、答えた。

( ゚∀゚)「一瞬、オオカミの兵に見えた。
     お前は有名だから知ってるぜ。ブーン=サットだろ?」

ブーン=サット。
それはほかならぬ、自分の名前だ。

有名と言うのは、恐らく国の奇策への反抗勢力で知ったのだろう。

( ゚∀゚)「今オレも村に向かって進んでるんだ。どうせお前もだろ?
     お前、方向音痴だから行けるかどうかと思ったんだ。」

自分は森からでなく、塔方面から進む事を説明した。
ジョルジュは、把握したように頷いた。

( ゚∀゚)「なら人数が多い方が可能性上がるだろ?
     オレも行くぜ?」

其の時、後ろから誰かがやってきた。
振り向くと、そこにはドクオがいた。

('A`)「おいブーン!なにやってんだ!!」

ドクオはブーンの服をさっと掴み、ジョルジュから遠ざけた。
そして、耳に口を当て、俗に言うひそひそ話を始めた。

('A`)「お前バカか…!?
    普通こんな時世にあんな奴と一緒にならないだろ!!
    アイツ一体何なんだ!!ちゃんと聞いたか!!」

ドクオは切羽詰まったような口調で声を荒らげ言った。
そう思うのも自然だろう。だが。

( ^ω^)「こ、これが証拠だお…」

紙をドクオに見せる。
ドクオは紙を凝視して、こう告げた。

('A`)「お前バカかよ!!こんなんいくらでも偽装できる!!
    奪ったって可能性も皆無じゃないじゃねえか!!」

ドクオが小さい声ながらも迫力を出し、言った。

其のことは考えていなかった。
ジョルジュがおかしな感じで見ている。

( ゚∀゚)「どうかしたのかおめーら。」

ジョルジュの方向を向いた。
純情なごく普通の人に見える。ドクオは異質な眼差しでジョルジュを睨む。

( ゚∀゚)「オレを疑ってるのか。
     ま、それも普通か。ドクオ=イリッド。
     用心深いお前を納得させるには並大抵じゃ無理だな。
     だが、オレは正真正銘の」

ジョルジュがポケットからもう一つ、何かを出した。
それは、一枚の金貨のようなものだった。

それは………。

( ゚ω゚)(゚A゚)「人間国宝の金貨!!」

それは、VIP国のみで流通している、人間国宝だけが貰える最強の代価だ。
持っている人は世界で一桁しかいない。

( ゚∀゚)「これが普通のVIP通貨なら別として、
     これはVIP国民でも手に入れるのに何十万円もかかる。
     オレは正真正銘のVIP国民だぜ」

二人は驚愕して、へなりと倒れこんでしまった。


第一話 完


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