夕方の駅前は帰路につく人々で溢れていた
せわしないサラリーマン、ばか騒ぎしている大学生、そしてカップル
('A`)「さすがにはやく来すぎたか」
時計台にふと目をやると時刻は5時をすぎたところだった
「おいすー」
('A`)「!」
( ^ω^)「はやく来すぎたお」
(;'A`)「ちょっ、あれ?なんでブーン!?」
( ^ω^)「まさか俺よりはやく来てるとは思わなかったお」
(;'A`)「えっ?それってもしかしてツンの・・・?」
( ^ω^)「??そうだお。今日はツンがジャズバーに見学つれてってくれるって連絡あったお?」
('A`)「なんだよ・・・待ち合わせ時刻と場所しか聞いてねーよ・・・」
デートだとばかり思ってたドクオはがっくりとうなだれた
ちくしょう、わざわざ朝一でジーンズメイトいったのに・・・
('A`)「そうか・・・まあいいや。お互いはやすぎたみたいだ。ゲーセンでもいくか」
( ^ω^)「そうするお」
――――――ゲーセンにて
(;^ω^)「おっ、おっ!ドクオ!クレジットないお!はやく100円・・・」
('A`)「麻雀格闘倶楽部とか情弱ゲーやるなよ・・・」
(;^ω^)「100円、100円・・・アッー!」
(;^ω^)「間に合わなかったお・・・」
('A`)「楽しんだか?そろそろ時間・・・ん?あれは・・・?」
ξ゚⊿゚)ξ「あと少し・・・あと少し」
ドクオの視線の先にはUFOキャッチャーに悪戦苦闘するツンの姿があった
( ^ω^)「ちくしょー・・・まさか北家がダマテンではってるとは思わなかったお・・・」
( ^ω^)「ん?あれ、ツンかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「よし、こい・・・こい・・・!」
('A`)( ^ω^)「ツンさん!」
ξ;゚⊿゚)ξ「!!!」
キャッチャーがつかんだぬいぐるみはあと一歩のところで辿り着けなかった
ξ゚⊿゚)ξ「・・・」
('A`)「ツンさんもやっぱまだ女子高生なんですね。UFOキャッチャーなんt」
ξ#゚⊿゚)ξ「アンタらが声かけたせいでスティッチ取り逃がしたでしょ!!!」
(;'A`)(;^ω^)「ひいっ!」
ξ#゚⊿゚)ξ「ったく・・・」
ξ//⊿/)ξ「・・・」
ξ//⊿/)ξ「あたしがUFOキャッチャーやってたこと誰にも言うんじゃないわよ・・・」
( ^ω^)「なんでだお?」
ξ//⊿/)ξ「うっ、うるさい!行くわよ!」
('A`)(ジャズピアニストと名乗ってても、ツンもまだただの女子高生
ぬいぐるみに愛着をもつかわいらしい面もあるんだな)
(*'A`)「・・・」
ツンは早足で歩き出した
―――――――駅裏路地
ξ゚⊿゚)ξ「ついたわよ」
【JAZZ BARショボン】
( ^ω^)(ん・・・?ショボン・・・?)
カランカラーン
ξ゚⊿゚)ξ「こんばんは」
やあ (´・ω・`)
ようこそ、ジャズバーショボンへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この店名を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
じゃあ注文を聞こうか。
(;^ω^)「ショボンじゃないかお!」
(´・ω・`)「やあ、ブーン」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、知り合いだったの?」
( ^ω^)「一緒にロックバンドやってた仲間だお!ショボンはベースひいてたんだお!」
(´・ω・`)「そうだね。でもそれは仮の姿」
(´・ω・`)「本職はラウンジ大3年兼ジャズベーシスト兼ジャズバーショボンの息子なんだ」
( ^ω^)「そうだったのかお・・・実家がバーとは聞いてたが・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「偶然なつながりね」
3人の笑い声が響いた
(;'A`)(俺だけつながりねーのかよ・・・)
(´・ω・`)「さて、ツン。彼らはセッション参加者かい?」
(;'A`)「い、いや俺たちは」
ξ゚⊿゚)ξ「あー、見学だけよ。ジャズやりたいらしいからセッション見せてあげようと思って」
(´・ω・`)「なるほど。ブーンもついにジャズに目覚めたか」
( ^ω^)「ま、そういうことだお。とりあえずビールくれお」
(´・ω・`)「はいよ。そちらのお客さんは?」
(;'A`)「あっ、俺もビール・・・」
(´・ω・`)「はいよ」
ピアノ借りるわね、と言ってツンはその場を離れた
('A`)「・・・」
( ^ω^)「しっかしショボンがツンと知り合いだと思わなかったお」
(´・ω・`)「僕もブーンとツンが知り合いだなんて知らなかった」
(´・ω・`)「彼女はここら界隈ではわりと名の通ってるジャズピアニストだからね」
(´・ω・`)「うちのセッションでもホストプレイヤーで頼んでるんだ」
('A`)「ホスト?女の子なのにホスト?」
(´・ω・`)「そのホストじゃないよ。ジャムセッションやるのにはホストプレイヤーが不可欠なんだ」
天の声「ジャズバーなどではジャズライブとは別に定期的にジャムセッションが開催されています
これはお客さんが各々楽器を持ちより3人~最大6、7人(もっと多い場合も)で即興演奏を繰り広げるというものです
ジャズにはスタンダードと呼ばれる曲がたくさんあり、ジャズミュージシャンは実力関係なくそれらを多く知っていることが必須です
セッション参加者は任意の曲を選び、テンポ、リズムを決めただけで演奏がスタートします
初対面であいさつもそこそこに曲は始まります
参加者はアドリブソロを展開することで音によるコミュニケーションを図る
それがジャムセッションです」
(´・ω・`)「天の声が届いたね」
('A`)「へー、なんだかすごい世界だな・・・」
(´・ω・`)「かといって堅苦しくとらえる必要はないよ」
(´・ω・`)「初心者でも、ジャズはテーマのメロディー→管楽器など言わばボーカリスト的な立ち位置のアドリブソロ
→ピアノのアドリブソロ→ベースのアドリブソロ
→ドラムの見せ場→もう1回テーマメロディーやって終わり
という流れさえわかっていれば誰でも参加出来るんだ」
(;^ω^)「言葉で聞いてもわけわかんないお・・・」
(´・ω・`)「そこはホストプレイヤーとよばれる人が助けてくれる」
(´・ω・`)「通常セッション時にはピアノ、ベース、ドラムの3人は絶対いる」
(´・ω・`)「一般的なセッションが成り立つ最低人数だからね」
(´・ω・`)「だからホストプレイヤーは実力があるミュージシャンが担当してる」
(´・ω・`)「ツンも高校生だけど実力があるからホストプレイヤーとして雇っているわけさ」
(;^ω^)「まじかお・・・」
(;'A`)「次元が違いすぎる・・・」
(´・ω・`)「ま、今日は見学なんだ。セッションがどんなものかってのを見てけばわかるさ」
そして・・・・
店内は徐々に混雑していき、ついにセッション開始となった
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあー、サックス、ギコさん。ベースまたんきさん。ドラムはヒッキーさんでお願いします」
( ゚Д゚)「よろしくゴルァ」
(・∀ ・)「よろしくでーす」
(-_-)「よ、よろしk(サックスのオッサン怖い・・・)
( ゚Д゚)「じゃ曲はヨルセン、テンポはこんくらい」(指ぱっちんぱっちん)
ξ゚⊿゚)ξ(・∀ ・)(-_-)「はーい」
チャッチャーン♪ドコドコ
('A`)「夜専?いやらしい曲名だな・・・」
(´・ω・`)「夜は千の目をもつって曲だね」
(;^ω^)「あのサックスのオッサンめっちゃうまいお・・・」
(;'A`)「あ、ああ・・・サックスはあんな鳴らせるもんなのか」
ギコのサックスは時に優しく、時に甘く、時に激しくフレーズを紡いでいき
それに呼応するようにツンのピアノが鳴り響き
またんきのベースは推進力のある4ビートを刻み
ヒッキーのドラムはまだ行ける、まだ行けるとサックスを煽った
(;'A`)「なんだか、すげえアツさだ」
(;'A`)「これが、セッション・・・!」
ブーンも4人から発せられるエネルギーに圧倒されているようだった
その後もメンバーは入れかわり立ちかわり
ジャズバーショボンのセッションは大盛況のうちに終わった
(*^ω^)「いやーすごかったお!」
(*'A`)「ああ!特にあのギコってオッサンのサックス!」
(*'A`)「なんかわからんが魂が震えたぜ!」
(*^ω^)「ドクオの厨2発言が素直に聞けるほど同意だお!」
(´・ω・`)「当たり前だよ。ギコさんは日本でも指折りのプロサックスプレイヤーだからね」
(;'A`)「プ、プロだったのか・・・どうりで上手いわけだ」
(´・ω・`)「世界的にも知られてる有名プレイヤーさ。」
(´・ω・`)「それが家が近くてよくこの店にも来てくれる。ありがたいことだね」
ξ゚⊿゚)ξ「ふう、楽しかったわね。どうだったかしら」
ツンがジュース片手に腰かけた
(*^ω^)「すごかったお!ツンもかっこよか・・・あ、」
ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ、ツンで。あたしのが年下でしょ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ところでドクオ、アンタあのサックスの人わかる?」
('A`)「え、いや今ちょうどショボンさんから聞いたが有名なプロなんだってな・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。なかなかあたしたち若手の面倒もいい人でね。
アンタのこと頼んだらすんなりオッケーくれたわよ」
(;'A`)「えっ?」
ξ゚⊿゚)ξ「レッスンよ、レッスン。アンタギコさんにサックス習いなさい」
(;'A`)「な、なにーっ!!そんなこと頼んでな・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「甘いわね、ドクオ。アンタは楽器初心者でしょ?」
ξ゚⊿゚)ξ「初心者のうちはまず楽器を正しいフォームで演奏できること。それが第一よ」
('A`)「まあ、そうだが・・・」
( ^ω^)「ドクオ!がんばるお!俺もドラムの師匠さがすつもりだお!」
( ^ω^)「ふたりでうまくなって、最強のジャズバンドつくるお!」
(´・ω・`)「なに?バンドやろうとしてるのか、それは面白そうじゃないか」
( ^ω^)「おっ!そういえばショボンはジャズベースひけるんだお?なら一緒にやるお!」
( ^ω^)「俺らはまだ初心者だけど、がんばってそのうち必ずうまくなるお!」
(´・ω・`)「面白そうだね、僕でよければぜひ」
( ^ω^)「やったお!」
( ^ω^)「あとはピアノだお・・・」
(^ω^ )チラッ
ξ゚⊿゚)ξ
(^ω^;)・・・
(;^ω^)・・・
ξ#゚⊿゚)ξ「な!なによ今のっ!」
(;^ω^)「ツ、ツンは上手いけど怖いけど上手いけど・・」
ξ#゚⊿゚)ξ「なっ・・・!」
ξ#゚⊿゚)ξ「も、もうアンタたちにジャズは教えない・・・!!」
(;'A`)「ちょっ!いや、ツン!きみにピアノ頼みたいと思ってる!少なくとも俺は」
ξ゚⊿゚)ξ・・・
ξ//⊿/)ξ
ξ//⊿/)ξ「し、しかたないわね!そこまで言うなら・・・」
(;^ω^)「わ、わかったお。よろしくだお。でも・・・」
(;^ω^)「殴ったりしないなら・・・」
ξ#゚⊿゚)ξ
(;^ω^)「ひいっ」
(´・ω・`)「ハハハ、なかなか個性的なメンバーじゃないか。こりゃ楽しそうだ」
('A`)「なんだかとんとん拍子にメンバー集まったな」
ξ゚⊿゚)ξ「でもまだアンタたちは初心者」
ξ゚⊿゚)ξ「あたしはもちろんショボンもなかなかいいベース弾くからね」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず2カ月、2カ月先からの活動にしましょう。それまでは各々練習よ!」
('A`)「そうだな・・・ま、とりあえずギコさんに話通ってるならあいさつしてくるか・・・」
こうしてバンドのメンバーは決まった
2カ月先のバンド活動スタートに向けて彼らは動きだした!
つづく
最終更新:2011年02月12日 11:16