('A`)が入山したら案の定衆道だらけだったようです その4


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(*゚ー゚)「して、壊れた床板というのは?」

( ´_ゝ`)「ここだここ」

('A`)「廊下じゃないですか」

( ´_ゝ`)「本堂と給仕場を結ぶな」

( ´_ゝ`)「この廊下は人の行き来が激しいからすぐにささくれ立つんだよ」

(*゚ー゚)「それはいけませんね。刺さったら大変です」

( ´_ゝ`)「痛いぞー足の指の爪の間に挟まった時なんか」

('A`)「やめてください柔肉がうずきます」

( ´_ゝ`)「それじゃ板材渡しとくから、先行隊と合流して貼り変え作業頼むわ」

( ´_ゝ`)「俺は適宜支持出すんで」

(*゚ー゚)「承りました!」

('A`)「貼り変えて……ニス塗って……床磨きも終わった」

('A`)「腰がいてぇ……」

( ´_ゝ`)「お疲れさん。ちょうど作務の時間も終わったぞ」

('A`)(下の世界なら時給八百六十円ってところだな……)

(´<_` )「作務を終えたら茶礼だぞ」

( ´_ゝ`)「なんだ弟蛇じゃないか。出し抜けにどうした。てかいつからいたのよ」

(´<_` )「給仕場が俺の仕事場なんだからここにいるのは至極当たり前の話ではないか」

( ´_ゝ`)「息継ぎして喋れよ聞きづらい。お前も僧になってすっかり念仏口調になったな」

(´<_` )「そんなことより茶礼の準備だ」

('A`)「茶礼とは?」

(´<_` )「坊主のおやつだよ」

('A`)「おやつ? そんなものがあるんですか?」

(*゚ー゚)「お茶とお茶菓子を頂くのです」

(*゚ー゚)「一時の休息ですね」

(´<_` )「妙か?」

('A`)「いえいえ素晴らしい習慣だと思います」

(*゚ー゚)「ですよね。私もこれを一番の楽しみにしてるんですよ!」

('A`)「実に少年らしい無邪気な意見だな」

( ´_ゝ`)「私もなんですよ!」

(´<_` )「兄蛇和尚よ、もうじき五十だろ」

( ´_ゝ`)「かわいくなかった?」

('A`)「残念ながら……」

(*゚ー゚)「やかんが次々運ばれてきました。今日のお茶受けは?」

(´<_` )「栗まんじゅうだ。一人二個まで」

('A`)(ブーンの奴まだ来てないな……ひとつ奪っとくか……)

(*゚ー゚)「あっ、毒念様それは駄目ですよ!」

(*゚ー゚)「寺内の遺失物の管理も直堂が勤めていますから……」

(*゚ー゚)「蓬莱和尚に知られたら大事ですよ」

('A`)「……具体的にどう大事なのですかね」

(*゚ー゚)「今日は常に警策を携えていますから……おそらく……」

('A`)「それは職権乱用だ! 越権行為だ!」

(*゚ー゚)「絶対なのです。なにとぞ辛抱のほどを」

('A`)「クソが……俺は黙って涙を飲むことしか出来ないのか…・…!」


('A`)「集まってきたけど……朝より減ってるな」

(*゚ー゚)「まだ座禅を続けている僧、下山して作務に臨んでいる僧もいますから」

(*゚ー゚)「あっ、直日の方がやかんを持ちました。碗を掲げておいてください」

('A`)「直日ってなんだべ」

(*゚ー゚)「日直制の幹事です。作務の一日監督も兼任してますね」

('A`)「ほう」

('A`)「……なあ、今茶が注がれたんだけど……薄くないこれ? ケチってない?」

(*゚ー゚)「なにせ大所帯ですから」

(*゚ー゚)「それにしても栗まんじゅうはおいしいですね」

('A`)「その点に関しては同意見」

(*゚ー゚)「至福の瞬間です……」

( ^ω^)「やったー茶礼だお」テッテッ

(*゚ー゚)「あっ、蓬莱和尚。禅僧の見張りはもうよいのですか?」

( ^ω^)「茶礼の時間だからサボってきたお」

('A`)「ひどい坊主だな」

(*゚ー゚)「蓬莱様のような我執の境地こそ悟りだとする人々もいますが……」

( ^ω^)「無我なんてのは糞くらえだお」

( ^ω^)「まんじゅううめえ」

('A`)(なあブーン、ちょっとひそひそ声で頼む)

( ^ω^)(なんだお)

('A`)(お前一日瞑想する僧の監視をするってことは……夜も禅堂に行くのか)

( ^ω^)(……それを聞くかお)

('A`)(お前……あの現場に居続ける度胸はあるのか……?)

( ^ω^)(あーもう夜座は自主トレだからノータッチなんだお)

( ^ω^)(第一見張りがいたら奴らはあんな行為に及ばないお)

('A`)(そ、そうか)

( ^ω^)(毎晩盛ってるというわけでもないし)

(*゚ー゚)「どうなされましたか? お二人も顔を突き合わせて」

('A`)「やー、いやいや、大した話じゃないんだ」

( ^ω^)「そうそうなんでもないんだおーなんでもー」

('A`)(……椎伊は気づいてるのか? 衆道の存在に……)

( ^ω^)(さあ……)

('A`)「しかしみんなのんびりしてんな……」

(*゚ー゚)「茶礼は一時間丸々使いますからね」

('A`)「なんていうか、穏やかだな」

( ^ω^)「この後はすぐに斎座に入るんだお」

('A`)「さうざー? 退かぬ媚びぬ省みぬ?」

( ^ω^)「さいざだお」

(*゚ー゚)「平たく言うと昼食のことですよ。十一時になったら食事です」

('A`)「十一時とか今までの俺なら起床時間だったな……」

(*゚ー゚)「斎座の間は管主様の提唱――禅に関する講義を拝聴できるのですよ」

('A`)「ほう」

( ^ω^)「あれは大分眠いお」

ゴーン

( ^ω^)「鐘が鳴ったお」

(*゚ー゚)「一斉に膳が運ばれて参りました。私も少し手伝ってきます」タッ

('A`)「働き者だねぇ。ん?」

(=゚ω゚)「あっ……」

(=゚ω゚)ペコリ

(=゚ω゚)タッタッタッ...

('A`)「目が合っちまった。あの子も少年僧か」

('A`)「少年……少年か……」

('A`)「まさかとは思うが……」

(*゚ー゚)「お二人の分を持ってきましたよー」

('A`)「なあ、ちょっといいか」

(*゚ー゚)「はい?」

('A`)「この寺には、君の他に十代の僧侶はどのぐらいいるんだ?」

(*゚ー゚)「成人前の雲水ですか?」

('A`)「ああ」

(*゚ー゚)「そうですね、私以外だと……」

(*゚ー゚)「先日の落伍者を抜いても……確か……十数人はいたと思いますが」

('A`)「一番若いのは?」

(*゚ー゚)「私ですが」

('A`)「いやいや椎伊を抜いてだな」

( ^ω^)「伊陽だお」

('A`)「なにっ?」

('A`)(その名前は……)

( ^ω^)「椎伊の次に年少なのは伊陽だお」

(*゚ー゚)「あっ、そうです。伊陽和尚になりますね。確か十六歳だったかと」

('A`)「そ、それはどいつだ?」

( ^ω^)「さっきドクオと視線が合ったあの子だお」

('A`)「あ……あいつか!」

('A`)(昨日……確かに伊陽という名を呼んでいた……)

('A`)(やけに耽美な雰囲気を発していたが、あいつが相手だったのか)

('A`)(ぬふぬふ喘いでたガチホモカップルは置いとくとして……)
('A`)「ブーン、ちょっと夜に相談がある」

( ^ω^)「把握したお。うっすらと内容が読めるけど」

('A`)「すまないな」

(*゚ー゚)「それよりも早く頂きましょう。午後からはまた作務があります」

('A`)「……あ、ああ、そうだな」

('A`)「でもこの味噌汁……具が納豆と豆腐と油揚げなんだが」

(*゚ー゚)「なにか差し障りが?」

('A`)「大豆の四重奏じゃねーか。どんな具材のチョイスだ」

( ^ω^)「貴重なタンパク源なんだから文句言うなお」

('A`)「しかもおかずは凍り豆腐だし……」

('A`)「てか納豆は納豆で食わせろよ」

( ^ω^)「小鉢を洗う手間を考慮しろお」

(*゚ー゚)「ネバネバを取るのも一苦労ですからね……」

('A`)「……ところで諸梵和尚がいないんだが」

(*゚ー゚)「托鉢に出かけておられます。食料を恵んでもらってそれを昼食にするのです」

( ^ω^)「まあ物乞いのことだお。他にも何人か行ってるお」

(*゚ー゚)「たぶんですが、擬古和尚や茂羅和尚もそうなさっているかと思われます」

('A`)「あの人らもか」

(*゚ー゚)「擬古和尚は座禅を行う以外の修行は従者を伴っての托鉢しかしませんからね」

(*゚ー゚)「茂羅和尚は……ちょっと何を考えていらっしゃるか分かりかねるのですが」

( ^ω^)「あの人の心中は誰にも推し測れないお」

('A`)「おい待て。管主の高説はどうした」

('A`)「出かけているなら聞けないじゃないか」

(*゚ー゚)「そういう日もあります」

('A`)「なんだその風任せみたいな言い分は」

(*゚ー゚)「禅とは一定にはあらざるのです」

( ^ω^)「不定の中に安定という光明と見つけ出すんだお」

(*゚ー゚)「打座して煩悩を絶つこともそれに通じます」

('A`)「やばい何喋ってるか分からん……」

(*゚ー゚)「それよりはやく斎座を済ませましょう。まだまだ作務がありますので」

('A`)「お、おう」

~午後三時~


('A`)「とりあえず掃除をしてきたが……」

(*゚ー゚)「お疲れさまです。本堂に皆様集まっています」

('A`)「なんでまた茶礼なの?」

(*゚ー゚)「この寺院では三度の茶礼があるのです。まあ、休憩ですよ」

( ^ω^)「わーい歌舞伎揚げだお」

('A`)「まあいいか……楽だし」

(*゚ー゚)「三時の茶礼は雲水の数の確認も兼ねています」

('A`)「出欠確認かよ。これは重要だな……これでも中学じゃ皆勤だったからな……」

(*゚ー゚)「帰ってこれない用事がある僧は仕方ありませんが」

( ・∀・)「管主様、九十六名、本堂に揃っております」

(´・ω・`)「ということは、全員ですか。珍しいですね」

/ ,' 3「ですな。いやはや満足な席になりそうですわい」

(´・ω・`)「だといいですね。では皆の者!」

シィン……

(´・ω・`)「半日の修行御苦労であった」

(´・ω・`)「気負わず茶を楽しもうではないか」

「いただきまーす♪」

('A`)「だからなんでちょっとかわいらしく言ってんだよ……」

(*゚ー゚)「解放感からでしょうね」

(*゚ー゚)「さて茶礼が終わりました」

(*゚ー゚)「あとは晩課……夕方の勤行になります」

(*゚ー゚)「それでは薬石の時間に会いましょう」

('A`)「そして一人残される俺」

( ゚∀゚)「おおいたいた、毒念殿」

('A`)「譲留和尚」

( ゚∀゚)「少しお時間よろしいかな?」

('A`)「手持無沙汰ですから構いませんけど……なんでまた自分なんかに?」

( ゚∀゚)「率直に言うとだな、俺はあんたと問答がしたいんだ」

('A`)「問答……ですか」

( ゚∀゚)「そうだ」

( ゚∀゚)「ちょっとついてきてくれ」

('A`)「ついてこいって、どこに」

( ゚∀゚)「俺の室だ。六知事にもなると個室が与えられるんだよ」

( ゚∀゚)「ここだ」ガララ

('A`)(すげー量の本……見かけやイメージと違って勉強家なんだな)

( ゚∀゚)「ま、腰かけてほしい」

('A`)「失礼します」

( ゚∀゚)「さてさて早速ひとつ尋ねたいんだが」

('A`)「はい」

( ゚∀゚)「毒念殿は、開くことと閉じること――どちらに答えがあると思っている?」


('A`)「開くことと閉じること、ですか」

( ゚∀゚)「左様」

('A`)「……あのー、少々意味が分からないのですが」

( ゚∀゚)「わっはっは、だろうな。いや急な返答は期待していなかったから構わんよ」

( ゚∀゚)「詳しく語ろう」

('A`)「頼みます」

( ゚∀゚)「禅とは正真正銘の、あるがままの自己を見つめることである」

( ゚∀゚)「自己とは体しかり、心しかり。その境目、あるいは外部に触れている空間すらも自己である」

( ゚∀゚)「飽くなき自己の追及こそ悟りに至る真髄。そのためには閉じた中で己を俯瞰せねばならない」

( ゚∀゚)「……だが俺は違うと思うんだよな」

('A`)(そういえば他山の出身なんだったな……)

( ゚∀゚)「自己ってのは後から形成されていくもの――」

( ゚∀゚)「現在進行形で完成していくものなのだ」

('A`)「はあ」

( ゚∀゚)「しかしながら禅はわざわざ櫓だの洞だの檻だの籠だのに己を封じてしまう」

( ゚∀゚)「経験なくして自己はなし!」

('A`)「自分を狭めていては進展しない、ということですかね?」

( ゚∀゚)「そうだ。旧来のまま閉じていては真なる自己を見つけ出すことはできん」

( ゚∀゚)「沈黙は可能性の否定に過ぎない」

( ゚∀゚)「だから俺は『開く』ことに大悟の鍵が隠されていると思っている」

( ゚∀゚)「そこによって得られる悟りは頓悟……他宗で呼ぶところの天啓だ」

('A`)「そう、ですか……」


('A`)(なるほど、およそ禅僧とは思えない破天荒な振る舞いには)

('A`)(そういう思想背景があったというわけか……)

( ゚∀゚)「まとめると……」

( ゚∀゚)「自身そのものを重視するか、境界線を重視するか」

( ゚∀゚)「そういうことだ」

( ゚∀゚)「……毒念殿はどう思うよ?」

('A`)「じ、自分ですか? 自分は……」

('A`)「……まだ分かりません。修行に励む中で、その回答を探せていけたらな、と」

( ゚∀゚)「ふうむ……まあ、今のところはそれでいいか」

('A`)「申し訳ないです」

( ゚∀゚)「いや話が出来ただけでも十分だ。帰っていいぞ。あまり拘束するのも悪いしな」

('A`)「失礼……します」

('A`)ガララ……タン

('A`)テクテク……

('A`)「はあああああああ疲れたあああああああ」

('A`)「あれが禅の教義か……頭がくらくらする」

('A`)「ただ譲留さんがこういう具合に考えているということは……」

('A`)「仲の悪い擬古さんは全く逆……『閉じる』ことを良しとしているんだろうな……」

('A`)「そりゃ相容れないわな……」

(*゚ー゚)「あっ、毒念様、こんなとこにいらしたんですか」

('A`)「椎伊」

(*゚ー゚)「畑の雑草を刈ろうと思うのですが、少し手を貸してくれませんかね?」

('A`)「あ、うん、そうだな。分かった。すぐ行くよ」

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