('A`)が入山したら案の定衆道だらけだったようです その8


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~翌朝の粥座~


('A`)「粥を運び終わったぞ。今日は水っぽくなくてうまそうだな」

( ^ω^)「でも作ったのは弟蛇和尚……」

('A`)「やめろ」

(*゚ー゚)「儀礼が開始しますよ」

(*゚ー゚)「平時であれば管主様の役割なのですが……」

(,,゚Д゚)「……今日より数日間、諸梵住職が合同会議に出席なさっておられるゆえ」

(,,゚Д゚)「代理として維那の拙僧が偈文を務めさせていただく」

( ゚∀゚)「……」ニヤニヤ

(,,゚Д゚)「拙僧の後に従ってもらいたい……では、ひとつ」

(,,゚Д゚)「功の多少を計り彼の来処を量る」

「功の多…を計…彼の……を量…」

(,,゚Д゚)「……ふたつ、己が徳行の全欠を忖って供に応ず!」

「己…徳行……欠を忖……供に…ず」

('A`)「あ、あれ? なんかいつもより音量小さくない?」

( ^ω^)「……派閥のせいだお」

('A`)「ブーン」

( ^ω^)「譲留和尚派の僧は擬古和尚の言葉には決して従わず、読み上げを拒否してるんだお」

('A`)「ってことは今閉口しているのは譲留派か……じゃあお前が黙っているのも」

( ^ω^)「そうだお。そういうスタンスを崩すとまた均衡がおかしくなるんだお」

('A`)「……ピリピリしすぎだろこの空気……」

(,,゚Д゚)「みっつ、心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす……」

「…を防…過……る…ことは貪等…宗…す」

('A`)「堪えられない……重たい空気が沈殿してて堪えられない……」

('A`)(椎伊は口上してるな……擬古派なのか……)

('A`)「しかし……擬古さんは粛々と進めるんだな」

( ^ω^)「公衆の場で騒ぎを起こすと、いくら維那の立場とはいえ罰則の対象になるお」

('A`)「ううん……そうだ、茂羅さんや荒巻さんは何か言わないのか?」

('A`)「あの人らは寺の総監督みたいなもんなんだろ?」

( ^ω^)「茂羅和尚は建物自体の監督、それにあの性格だから」

( ^ω^)「人間関係には我関せずといった立ち位置だお」

( ^ω^)「雲水を監督する荒巻和尚は……あの歳だから聴こえてないんじゃないかお」

('A`)「肝心要の人間に限って……」

('A`)「異常に緊迫した朝食が終わった……」

( ^ω^)「これが諸梵和尚が帰ってくるまで続くんだお。きついお」

('A`)「あの二人、和解とかしないのか?」

( ^ω^)「相反する思想が片方だけ裏返る、なんてことはありえないお」

('A`)「だよな……そんな浅い問題じゃないか」

(*゚ー゚)「毒念様! 蓬莱和尚! 大変です!」ダダダ

( ^ω^)「どうしたんだお、そんな慌ただしく駆けてきて」

(*゚ー゚)「譲留和尚と擬古和尚が……廊下ですれ違って……」

('A`)「なんだそんだけか――」

( ^ω^)「本気かお! 避難ルートを確保しつつ見守る体勢に入るお!」

(*゚ー゚)「一刻を争います! 急ぎましょう!」

('A`)「えっ、おい、ちょっと、放置やめて放置は!」

( ゚∀゚)「……」

(,,゚Д゚)「……」


('A`)「おお本当だ、譲留さんと擬古さんがが向かい合ってる……」

('A`)(そういえばあの二人が対峙しているところを見るのって初めてだな)

( ^ω^)(もうちょっと身を隠すお)

('A`)(ああ、そうさせてもらうよ……)


(,,゚Д゚)「譲留和尚……本日もこれから物見遊山に参られるか」

( ゚∀゚)「人聞きの悪い言い方ですな擬古殿。遊説と呼んでもらいたい」

(,,゚Д゚)「遊興に耽り俗世に身を窶すことが大層にも修行か、それは結構なことで」

( ゚∀゚)「擬古殿は頭が古い。悟りの在り処を固定概念で決めつけてしまっているのだ」

( ゚∀゚)「なんなら擬古殿を伴っても構わぬのだが?」

(,,゚Д゚)「戯言を申すな!」

(,,゚Д゚)「自己を裡側から心眼にて見つめ、自己を漸悟の刻への待機時間に消費する」

(,,゚Д゚)「拙僧にとっての禅とは是れが如くござる」

( ゚∀゚)「それが古いというのだ擬古殿」

( ゚∀゚)「自己とは後から形作られるもの。多様な経験をもってやがて頓悟は訪れる」

(,,゚Д゚)「愚論だ。聞くに堪えない」

( ゚∀゚)「そうして前進を放棄し続けて、後悔を生んでも知らんぞ!」

(,,゚Д゚)「疾うに承知の上! しかし決して後悔などせぬ!」

(,,゚Д゚)「拙僧が悔む瞬息は、貴様の誤った解釈を易々と甘受した時だけだ!」

( ゚∀゚)「それを思考停止というんだよ!」


('A`)(こ、こええ……ちびりそう……)

(,,゚Д゚)「……」

( ゚∀゚)「……」


('A`)(……睨み合ったまま動かない。波は過ぎたみたいだが)

('A`)(ひどく……静かだ……)

('A`)(静寂は安らぎだけでなく、恐ろしいものでもあるのか……)


( ´_ゝ`)「おーおー、お二人さん、ちょいとどいてくれ」

( ゚∀゚)「兄蛇殿」

(,,゚Д゚)「……何か」

( ´_ゝ`)「何かも何も、廊下の修理をしなくちゃならんのだよ。だからどいてくんない?」

( ´_ゝ`)「それを終えたら今度は柱の補修だ。おい! そこに集まってる連中!」

('A`)「げ、俺らのことか」

( ´_ゝ`)「げ、じゃないよまったく。ほらほらぼーっとしてないで働け働け!」

('A`)「分かりました……」

( ´_ゝ`)「あー、君らはちょっとこっちの手伝いお願い」

(*゚ー゚)「はいな」

( ゚∀゚)「……ふん」

(,,゚Д゚)「くだらぬ時間を過ごした。座禅に入る。賛同する者は拙僧に続くがよい」

( ゚∀゚)「時は金なり、ひどい浪費だ。帳面にでもつけておくかね」

(,,゚Д゚)「口は減らぬから無為にはならぬな」

( ゚∀゚)「お上手ですこと。さあて、俺も下山しますか。従者はついてきな」

(,,゚Д゚)「――『閉じた』世界に漸悟あれ」

( ゚∀゚)「――『開けた』世間に頓悟あれ」

(*゚ー゚)「あの、兄蛇和尚、ありがとうございます」

( ´_ゝ`)「へ? なんのこと」

('A`)「あの二人の諍いを鎮めてくれたじゃないですか」

( ´_ゝ`)「よく分からん」

('A`)(天然かい)

( ´_ゝ`)「それよりも修繕だ修繕。給仕場への廊下がまた傷んでいる」

('A`)「今日もですか……十分じゃないですかこれ」

(*゚ー゚)「綺麗なままのように私の目には映ります」

( ´_ゝ`)「いーや全然ダメ。直さなくちゃいけないんだ」

( ´_ゝ`)「直さなくちゃ、まっさらにしとかなきゃ……」

('A`)「まあ言われたことはやりますけどね」

~午後八時、茶礼~


('A`)「ひどい一日だった」

(*゚ー゚)「無党派の毒念様の元には両陣営からの勧誘が殺到しますからね」

('A`)「口喧嘩まで始めるし……結局荒巻さんの手伝いをすることで難を逃れたが」

( ^ω^)「あの人は畑仕事が好きなんだお」

( ^ω^)「育ててる野菜を自分の子どもかのように慈しんでるお」

('A`)「荒巻さんが人畜無害なおかげでなんとか今日は凌げたけど……」

('A`)「明日も仕事に誘われるとは限らない……」

( ^ω^)「もうどっちの肩を持つか決めちゃえばいいんじゃないかお?」

('A`)「ダメだ、俺はまだ俺なりの回答を見つけていない」

( ^ω^)「変なところで強情な奴だお」

(,,゚Д゚)「……」ズズ...

( ゚∀゚)「……」ズー

('A`)「あの二人まったく視線を合わせないな」

( ^ω^)「お互いがお互いを憎み合ってるんだお」

( ^ω^)「人格も思想も、深いところまで」

(*゚ー゚)「そのせいで私たちにも緊張感が走っているんですけれど……」

('A`)「注視してみると茶の飲み方もまるで違う」

('A`)「擬古さんはすするようにして上品に飲んでいる」

('A`)「譲留さんは浴びるようにして豪快に飲んでいる」

('A`)「容姿からすると逆っぽいのにな……」


(,,゚Д゚)「……管主様もおらぬゆえ」

(,,゚Д゚)「本腰を入れて夜座を行いたい者には、特別に禅堂の利用を許可する」

(,,゚Д゚)「拙僧も堂内の己の単にて瞑想に入らせてもらう……以上だ」スッ

(,,゚Д゚)スタスタ

( ゚∀゚)「俺は早めに眠らせてもらうぜ」

( ゚∀゚)「教義を授かりたい者は荒巻和尚の室を訪ねなさい」スクッ

( ゚∀゚)スタスタ

シィン.......

('A`)「行ったか……」

( ^ω^)「僕らはどうするお? 消灯までもうちょいだから先に布団かぶっとくかお?」

('A`)「いや……ブーン、聞いてくれ」

('A`)「俺は今晩夜座に出向こうかと思う」

( ^ω^)「この状況でかお?」

('A`)「そうだ。あと声落とせ。極秘に話すぞ」

( ^ω^)「やめといたほうがいいお。今夜からは諸梵和尚の御威光がない……」

( ^ω^)「噂じゃ無法地帯になるとも随分前から言われているお」

('A`)「どうなっちゃうわけよ」

( ^ω^)「いちいち最後まで説明させんなお。もう察してるだろうお」

('A`)「だが、あえてそういった夜を選べば闇を暴く確率は上がる」

( ^ω^)「……」

('A`)「チャンスなんだこれは。俺は虎穴に虎児を探しに行くぞ。止めるなよ」

( ^ω^)「……僕も行くお。集団で行動したほうがいいお」

('A`)「恩に着るぜ」

(*゚ー゚)「あっ、どちらに参られるのですか?」

('A`)「いやちょっとな、修行が足りんと思って夜座に行こうかと」

(*゚ー゚)「そうなのですか。私もお供いたします」

('A`)「え」

(*゚ー゚)「私も日頃の鍛錬が不足しているように痛感していたところなのです」

(*゚ー゚)「ですがやはり、一人というのは心細くて……ご一緒願えますか?」

('A`)(ど、どうするよ、ブーン)

( ^ω^)(断ったら逆に不自然だお。流れに任すお)

( ^ω^)(隙を見てスパイ活動に移ればいいお)

('A`)(そんなうまくいくだろうか……)

( ^ω^)(やるっきゃないお)

('A`)「よし……んじゃ、椎伊」

(*゚ー゚)「はい」

('A`)「一緒に行こうぜ」

(*゚ー゚)「はい!」

('A`)「と、その前に……」キョロキョロ

('A`)「お、いたいた」

(=゚ω゚)「……」

('A`)(伊陽はとっくに就寝の準備を済ませてるか……)

('A`)(つーことは……あいつの相手は今日は分からないってことだな)

( ^ω^)「出発するお」

('A`)「さあて、暗闇の中に何が潜んでいるかね」

('A`)「禅堂は開放してあるって言ってたよな」

( ^ω^)「擬古和尚が使ってるはずだお」

(*゚ー゚)「ですが、今朝のこともありますし」

(*゚ー゚)「今の擬古和尚の傍らに居続けられる雲水が果たしていますかどうか……」

( ^ω^)「だおだお。僕なら神経性の胃炎にかかって死ぬお」

('A`)「んじゃ廊下だな。月が見える位置でやろう」

(*゚ー゚)「そうしましょう」

('A`)(おい、ブーン、策をくれ。俺は馬鹿だから思いつかん)

( ^ω^)(夜座はそのまま眠りに落ちてしまうことがしばしばだお)

( ^ω^)(椎伊が居眠りしてしまうまで待つお)

('A`)(気の遠くなる作戦だな……)

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