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ほんの小さな違和感でも、それが積もり積もれば大きなものになる。

「うーん。」

私は梨沙子たちと楽しげにおしゃべりしている千聖を見て、首をひねっていた。

何が変というわけでもないけれど、どことなく普段の千聖と違う気がする。
いつもよりちょっとオーバーアクションだったり、全体的に演技っぽさを感じる。
しばらく会ってなかったから、千聖のテンションについていけてないだけかもしれないし
中学生なんて日々変わっていく時期だから、特別気にすることじゃないのかもしれないんだけれど。

例えば、髪をはらうような仕草とか。
例えば、お菓子をほおばる仕草とか。

そんなどうでもいいような所作が、前よりも優雅になっているような気がした。
お年頃だし、好きな男の子でもできておしとやかにふるまってるだけかもしれない。
多分、単なる気にしすぎなんだと思う。


そうでなくても、何だか今日はおかしな日だ。
いつものももと千奈美の小学生レベルの争いがなかなか収まらなかったり、梨沙子がいきなりおなかを痛めたり、かと思ったら満面の笑顔で医務室から戻ってきたり。

「なんだろうなー」

私は普段あんまり細かいことは気にしない性格だから、その分たまにこうやって気にかかることがあると、ずっとそればかりを考えてしまう。
せっかくこうしてキュートと交流する場が設けられているというのに、私は誰ともおしゃべりしないで、その辺においてあったポテチを食べながら何となくみんなを眺めていた。


「えー、でもそれは千聖がぁ」
「あっごめん!この話ちっさーは関係なかった!アッハッハ」


「そうだ、あの時千聖が言ってたって・・・」
「え!まあまあそれよりさーキュフフ」


こうして黙っていると、みんなの会話がよく聞こえる。
あちらこちらに散らばってるキュートのメンバーは、会話に千聖の名前が出てくると、すごい勢いで話を変えている。
千聖イジメ?と一瞬思ったけれど、キュートに限ってそれはないな。
どっちかというと、私たちから何か隠すことで千聖を守ろうとしているような雰囲気。
気になるなら直接千聖と話せばいいんだけど、今日は中2トリオがやけにべったりしていて邪魔しちゃいけない感じだ。
私だって千聖とはかなり仲のいい部類に入るはずなのに、今日はまだ「おはよー」ぐらいしか話していない。
もうちょっとしたら、ちょっと強引にでも中2トリオにお邪魔させていただこうかな。
こんな風に遠慮するのは私らしくない。
いつもみたいに堂々と入っていったらいいんだ。


・・・それにしてもこの変な雰囲気、千聖と仲良しなももはどう思ってるんだろう。

「あれ?いない」

舞美ちゃんあたりとおしゃべりしてるのかと思ってたけれど、どうやらまだこっちに着てないみたいだ。

今日変だったからな・・・一人になりたいのかな。

ももは全部自己完結しちゃうから、いまだに本心がよくわからない。
もっともっと頼ってくれればいいのに。本当は千奈美だってそれが寂しくて突っかかってるのに。

おせっかいかもしれないけれど、どこかに一人ぼっちでいるより、みんなの輪の中にいたほうがいいと思う。
そうすればいつでもももの必要なときに手を差し伸べることができるし、みんなももが思ってるほど冷たいわけじゃないのにな。

盛り上がってるところに水を差すのも悪い。私は黙ってももを探しにいくことにした。

「茉麻?どっかいくの?」
「ちょっとトイレー。」

適当にごまかして席をはずそうとしたら、熊井ちゃんが「私も行くー」とのんびりした口調でついてきた。

「いいの?」
「うん。」

主語も何もないけれど、私たちは大体これで通じる。

「でも、トイレは行かないよ。」
「じゃあ、もも?それとも千聖?」

・・・・熊井ちゃんはエスパーか。

まったくかみ合ってない答えを返してきたようで、私の心を占めているものをいきなり2つとも当ててしまった。

「茉麻は優しいね。ちゃんと周りが見えてるし。私しばらく気づかなかったよ、ももいなかったの。ははは」

全然悪びれない言い方に、思わずつられて笑ってしまった。

「じゃあ熊井ちゃん、さっき千聖って言ってたのは何のこと?」
「あー。何だろう。何か別の星の人になっちゃった。千聖は私と同じかと思ってたのに。」

んん?



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