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○| ̄|_


今の私の気持ちを記号にすると、まさにこんな感じだった。


「舞美ちゃん、鈍すぎる。」

わりとよく言われる言葉だけれど、さすがに今日ばかりは反省せざるをえない。
まさか、私だけが何も気づかなかったとは・・・・。



最近は何の事件もなく、平和だったはずのキュートに、いきなり超緊急事態が発生した。

ダンスレッスンの休憩中、舞ちゃんと喋っていたら、いきなり「どうしたの!?」となっきぃの甲高い声がした。
あわてて振り向いたら、栞菜とちっさーが床に座り込んで泣いていた。

「えっ」

何事?
今の今まで特にケンカをしている様子もなかったのに、いきなりの展開に頭がついていかない。

「千聖!」
舞ちゃんは半分私を押しのけるような感じで、千聖のところへ走っていった。

栞菜にはすでにえりがついているけれど、どう見ても栞菜の方が大変な状況に見えたから、私は後ろから背中をさすってあげることにした。
あんまり興奮しすぎたからか、過呼吸みたいになってしまっている。
栞菜はすごく感受性が強いから、ネガティブな出来事にはとても弱い。
「大丈夫、大丈夫」と声をかけていると、少しずつだけれど落着いてきたみたいだ。

「えりかちゃん、これ。飲ませてあげて。」

愛理がスポーツドリンクを持ってきた。
「ありがとう。・・・舞美、ちょっと背中ポンポンするのストップね。」
「あ、うん。」

私は手持ち無沙汰になってしまったので、今度はちっさーの様子を見ることにした。

ちっさーにはなっきぃと舞ちゃんがついている。
もうちっさーは泣いていなかったけれど、まったく生気のない目をしていた。
「千聖ぉ、どうしたの」
べそかきながら介抱するなっきぃにも、強く手を握る舞ちゃんにも、何の反応も示していない。
ちっさーの瞳は、いつも光を取り込んでキラキラしている。
その綺麗な瞳が今は輝きを失って、人形みたいに虚ろな表情だった。

これは普通のケンカじゃない。
鈍感な私もそれは理解できた。

問題は、ここからどうすればいいかだ。
話し合いができるような状態じゃないし、レッスンを再開できるとも思えない。

「舞美。今日はもう栞菜帰らせてもいいかな。ウチが送るから。」

一人で考え込んでいると、えりに後ろから肩をたたかれた。

栞菜はまだひどく泣きじゃくっていて、崩れ落ちるような体勢で愛理にしがみついている。
確かに、一度ここから離れて落ち着かせたほうがよさそうだ。

「うん、そうだね。」
「じゃあ、マネージャーさんたちに言ってくる。」

あ、それは私が。と言う前に、えりは走って行ってしまった。
・・・何か私、全然役に立ててない。

じゃあタクシーでも、と思ったら、もうすでに愛理が連絡を取ってくれていた。

「なっきぃ、顔洗ってきたら?千聖には舞がついてるから、大丈夫だよ。」
私があたふたしているうちに、舞ちゃんにうながされてなっきぃが立ち上がった。
「あ、じゃあ私一緒に行く。」
そこはなっきぃじゃなくてちっさーに付くべきだろうと言った後で気がついたけれど、今更撤回するのもおかしいから、なっきぃの肩に手を回して一緒に外へ出た。


「何か、びっくりしたね。」
「うん・・・こないだ2人が様子おかしかった時、ちゃんと相談に乗ってあげればよかった。」

あれ?心当たりがない。
「そんなことあったっけ?今日いきなり変な感じになっちゃったのかと思ってた。」
「ほ、ほら、あの、皆にみぃたんちで遊んだ写真見せてた時、栞菜が先帰っちゃったでしょ?なんか千聖落ち込んじゃってて。」
「あぁ~、あれか!」

情けない話だけれど、今の今まで記憶の中からすっぽ抜けていた。

「あの後もさ、2人ちょっと変だったでしょ。栞菜が千聖にすごいいろいろしてあげてるって感じだったけど、全然楽しそうじゃないの。」
「・・・・ごめん、それ全然気づかなかったよ。」


「もーー!みぃたん、鈍いよぅ・・・・みんなで気にしてたのにー!」

口尖らせて文句を言われて、じわじわと気持ちが落ちてきた。
私、本当にリーダーでいい、の、かな・・・・?



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