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「おお・・・」

これは、どうしたものか。

私は直感に頼ると、いつもろくなことがない。
学校のテストでも、○×問題を勘でやったら、全問不正解だったことがある。
ということは、だ。

今私がこうすべき!と思っているのは、ちっさーを連れて3人のところへ行くところだ。
だからその裏をかいて、2人でここに残るのがいいのかな?
いや、待って。でもその裏の裏の裏の裏の

「・・・舞美さん」
「裏っ!・・・・ごめん、何でもない。」

ちっさーはやっと喋ってくれたけれど、私の首に顔を押し付けてるから、どんな顔をしているのかわからない。

「ちっさー、顔見せて?」
体を離そうとしたのに、ちっさーはイヤイヤと首を振ってしがみついてくる。

「舞美さん・・・、私、最低な人間です。もう消えてしまいたい。私のせいで、栞菜が傷ついてしまいました。」
「ちっさー。」

それはたった14歳のちっさーが言うには、あまりにも重い言葉だった。
「・・・ちょっと待ってて。」

もう直感がどうとか言ってる場合じゃない。
ちっさーのために、今一番いいと思えることをしてあげるしかない。

“先に帰ってて。私がちっさーのそばにいるから。舞のことはなんとかなる!”

ちっさーをしっかり抱きしめたまま、私は親指が攣りそうになりながら10秒ぐらいでメールを打って携帯を放り投げた。

リーダーなのに、何て投げやりな返事なんだろう。
でも私はたくさんのことを同時に処理できるタイプじゃないから、舞がどの程度荒れてるかしらないけれど、その件はなっきぃ愛理にまかせることにした。
私がすべきことは、たった一人で私を待っていてくれたちっさーの側にいることに違いない。

「ちっさー、消えたいなんて言わないで。大丈夫だよ、栞菜はえりと一緒にいるから。落ち着いたら仲直りすればいいじゃないか。」
「無理です。私、絶対に言ってはいけないことを栞菜に言いました。」
「何て言ったの?」
ためらって黙りこんだちっさーの顔を、少し強引に私の肩から引き離した。
少し乱暴すぎたかもしれない。ちっさーは怯えた顔で私の様子を伺っている。
質問を変えてみることにした。

「ちっさーは、栞菜のこと嫌いになっちゃった?」
「いいえ!私は栞菜のこと大好きです。・・・栞菜は悪くありません。私が全部悪いんです。」

あまりにも必死な表情。
ちっさーは、ただ自分を責めているだけじゃなく、何かを隠そうとしているみたいだった。
鈍い、鈍いといわれている私でも、その痛いほどけなげな様子に違和感を感じるほどだ。

「・・・ちっさー。目を逸らさないで。こんなこと言って不謹慎かもしれないけど、私はちっさーが私のこと待っててくれて嬉しかったよ。こんなに頼りないリーダーでも、頼ってくれるんだって。
だから、ちっさーの心の中にあるものを全部ぶつけてほしい。絶対、受け止めるから。」

揺れるちっさーの目線を私に向かせたくて、ほっぺたを包み込んで顔を近づける。

「・・・・・・・・絶対に、栞菜を、責めないでいただけますか?」

しばらく見つめあった後、ちっさーがポツリと呟いた。
「わかった。」

ちっさーは言葉を選ぶようにゆっくりと、今日までに栞菜とちっさーの間にあったことを話してくれた。

それはとても重くて、切なくて、痛い出来事だった。
ちっさーは栞菜を悪者にしたくなくて、栞菜に言われていた言葉を、誰にも言わずに自分の心にとどめていたんだ。
舞ちゃんは無条件でちっさーの味方について、下手をすれば栞菜を憎んでしまうかもしれない。
なっきぃは優しいから、どっちの思いも受け入れようとして、当人達より傷ついてしまうかもしれない。
仲良し三人組のなかで、愛理を板ばさみにして苦しめたくない。

だから、私一人に打ち明けることで、栞菜へのダメージを最小限にとどめたかったんだろう。

「バカちっさー。もっと早く言ってくれたら、いくらでも相談に乗ったのに。・・・・ううん、バカは私だね。ちゃんと気づいてあげられなくてごめん。」

私がもっとしっかりしていたなら、2人のおかしな状態に気づいていたなら、ちっさーは栞菜に思ってもいない言葉をぶつけることはなかったはず。
メンバーの様子に気づけないくせに、リーダーだなんて自分で言うのも恥ずかしい。


「・・・舞美さん、そんなことをおっしゃらないで。私が全部悪いんです。」
「ちっさー・・・。」

情けないけれど、私は自己嫌悪のあまり、それ以上ちっさーに何の言葉をかけてあげることもできなくなってしまった。



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