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「舞美!あたしたちの7年の友情はこんなもんなの!?」
暗雲立ち込める楽屋の中で、ちぃの怒号が響き渡る。

「千奈美、待って」
「そんなに私って信用ないの?いつもヘラヘラしてるから?」

ふだん明るくてにこにこしてる人が怒り出すと、本当に怖い。
まるで時間が止まってしまったように、誰も動かない。

「ごめん、そうじゃないよ。すごく複雑なことだから、まだベリーズには言ってないだけで」
舞美ちゃんの説明が、余計にちぃをいらだたせたみたいだ。

「嘘!私以外全員知ってるんでしょ!そんな、そんな大事なことなら、何で私だけ」
「いや、私も多分知らないけど。」
「私も。」
「・・・あ、そ、そうなの?」

みやとキャプテンが割って入ったら若干トーンダウンしたみたいだ。
こっそり茉麻の顔を伺ってみると、すごく強張っている。
さっき私がカマをかけた時はとぼけていたけど、間違いない。茉麻はあの千聖のことを知ってしまっている。一緒にいた熊井ちゃんも、多分。
千聖本人が今ここにいないから、何がどこまでどうなってるかはわからない。
だけどおそらく、みんなのリアクションからしてちぃたち3人以外――多分桃ちゃんも、すでにお嬢様キャラのことは知ってしまっているんだと思う。

うまくいかないな。キュートの中だけで内緒にしておきたかったのに。
ベリーズのみんなを信じてないわけじゃない。でも、私にとって千聖じゃないあの千聖を、みんなに認知させてしまうのは嫌だった。
いずれは元の千聖に戻ってもらいたいからああして仲直りをしたわけで、私は彼女を岡井千聖と認めたわけじゃないんだ。


「・・・舞美、私もちょっと悲しいよ。うちらリーダーとキャプテンで、いろいろ相談しあってきたじゃん。どうして今回に限っては何も言ってくれないの?」
「待って、舞美のこと責めないで。これはキュート全員で決めたことだから。」
「えり・・・」



「もう、いいじゃん舞美ちゃん。」


その時、ずっと黙っていた愛理が口を開いた。
「隠しきれないよ。・・・ていうか、隠すことじゃないよ。誰も千聖を拒んだりしないと思う。私たちだって、そうだったじゃない。」
愛理の横で、梨沙子もコクコクとうなずいている。

「・・・あのさ、うちと熊井ちゃんも本当に断片的なことしか知らないんだ。だから、もし良かったら、何があったか教えてほしいな。」
「そうだねー。何でゆりなさんって言ったのか気になる。」
「そか、うん・・・そうだよね、みんなちっさーのこと心配してくれてるんだよね。」

何。
何、この流れ。


「ちょっと待って舞美ちゃん!」
「舞ちゃん、もうだめだよ。」

妙に落着いた愛理の静止が勘に触る。

「ダメって何が?愛理は元の千聖より、あの千聖の方が好きなんだろうけど私は違うの。私の千聖はあの千聖じゃないんだよ。今の不自然な千聖を、わざわざみんなに広めることないじゃん!」
「不自然って何、舞ちゃん。舞ちゃんがどれだけ望んだって、もう前の千聖は戻ってこないのかもしれないんだよ。私は舞ちゃんと違って、どっちの千聖の方が好きなんて思わない。どっちも好きだよ。勝手に決めないで。」
愛理からの思わぬ反撃で、私は少しひるんだ。でもここで言い負かされるわけにはいかない。

「愛理なんかに何がわかるの?私がどれだけ千聖のこと大好きなのか、愛理には絶対わかんないよ。私はずっと、千聖の横にいたの。いっぱいケンカしたけど、ずっとずっとずっと千聖の側にいたのは私なんだから。私はまだ元の千聖に話さなきゃいけないことがいっぱいあるの。
あの千聖に話すんじゃ意味ないの。」
「・・・・舞ちゃんは勝手だよ。ああやって無茶をさせてるせいで、千聖はずっと苦しんでいるんだよ。夢の中でまで辛い思いをしてる千聖の気持ちはどうでもいいの?それに、あの事故が起きたのだって」
「・・・もうやめてよ、2人とも・・・・!こんなのやだ・・・・」

エスカレートする私たちの言い争いは、頭を抱えて座り込んだ梨沙子によって中断された。


「あ・・・・あのー・・・・・舞、ちゃん・・・?」

すっかり気をそがれたちぃの間の抜けた声が、すすり泣く梨沙子の声とともにむなしく部屋に響いた。



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