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ベッドサイドに腰掛けた千聖の太ももに手を置いて軽く撫でると、千聖は小さく息を呑んで体を揺らした。
「・・・何にもしないよ。まだ。」

ちょっとからかうだけで、千聖の顔は耳まで真っ赤になる。

「嬉しかった。」
「え・・・?」
「千聖が部屋替えしようって提案してくれて。もちろん千聖と一緒の部屋っていうのが一番良かったんだけどね、たまにはあんまり一緒にならない人と同室っていうのも面白いかなって。
私がいつも一人部屋なの気になってたんでしょう。ありがとね。」

千聖はさらに顔を赤くして、口の中で何かモコ゛モコ゛呟きながらうつむいた。

千聖の気づかいは本当にさりげなすぎて、いつも見落としてしまう。
人懐っこいわりに、意外な程不器用な千聖。私はその健気な優しさに気付くたび、泣きそうなほど切ない気持ちを覚える。

「千聖も、寝っ転がって。」

千聖は見返りを求めて、人に優しくしてるわけじゃない。
それでも私は千聖に何かしてあげたかった。

「・・・服に、しわがついてしまうわ。」
「ちょっとなら大丈夫だよ。」

静かに体を横たえた千聖の耳に触れる。
「っ・・・」

遠くの方で、なっきぃや舞美たちが弾けるような明るい声ではしゃいでいる。外に出て、みんなで遊んでいるんだろう。
楽しそうな声が聞こえているのに、こんなに静かな場所で私たちは。

「えりかさん」

顔を近づけると、千聖は深く目をつぶって唇を寄せてきた。

「・・・だーめ。」

指で押しとどめられて、少しだけ不満そうな顔になる千聖。

こんな行為にも一応私なりのルールがあって、例えば、口と口でキスをしない。押し倒さない。上に乗っからない。・・・指突っ込まない。

これを守ることで、私と千聖はどうにか仲間であり友人である今までの関係を保っていられるのだと思う。

「梅さん、チューするの好きじゃないの。」
嘘だけど。

「で、でも、いつもえりかさんは私の体に・・・その、えと、唇で・・・」
「私がするのはいいんだよ。」
「あっ」

手を繋いで、空いている側の手で体のラインを辿る。
「えりかさん・・・」

掠れた声で私の名前を呼んで、千聖はいきなりしがみついてきた。
千聖のあったかい息が、私の胸に染み込む。背中が粟立った。
こんな真昼間に、これから仕事なのに、私たちはなんてことやってるんだろう。

投げ出した足が絡み合う。少し汗ばんだ肌同士がしっとりとくっついて、もう引き返せなくなりそうだった。

千聖が私にこういう行為を求める時は、2パターンある。

単純に、気持ちいいことを楽しみたいとき。これは今みたいなパターン。
それから、漠然とした不安や寂しさに襲われて、誰でもいいから体に触れて欲しいとき。これも、たまにある。

最初は胸を触るぐらいだった関係が、だんだんとエスカレートしている。こんなんでいいのかと思いつつも、私は楽しい方へ流されてしまう性格で、今この瞬間も千聖との行為を楽しんでいることは否定できない。

「可愛いよ、千聖。胸大きいね。お尻ちっちゃいね。足長いね。」
「ゃ・・・恥ずかしい・・・」

私のアホな言葉責めに、千聖はいちいち反応する。
その仕草がいちいち扇情的で、私はどうしようもなく理性を揺さぶられる。

「えりかさん、私・・・」

千聖が再び、唇を近づけてきた。
あっヤバイ。
物思いにふけっていたから、気付いたら避けることができなそうな距離になっていた。
「ダメだって・・・」


「おーい!!!!えり、ちっさー、出てこれる?みんなでバトミントンやってるんだけど、どう?一緒にやらない?」



その時、ガンガンと全力ノックの音とともに、舞美の元気な声が外から聞こえた。

バトミントン・・・何て健全な遊びなんだろう。

「あ、うん。準備して行くね。」
「えりかさん・・・!」

めずらしく、千聖がとがめるような声を出した。

「・・・ごめん。でも、怪しまれちゃうよ。ね、みんなのとこ行こう?」
私は体を起こすと、千聖のワンピースを綺麗に整えた。
顔を見ることはできなかった。泣きそうになっているのは気配でわかった。

「先に、行っててください。ちゃんと追いかけます。」
千聖は早口でそう呟いて、体を離した。

これでよかったのかな・・・?でも、今の千聖と私の「秘密」を守るためには、最善策のはずだった。

「ごめんね、千聖。」
「・・・いえ、いいんです。ちょっと、寂しかっただけです。」


寂しかった?どうして?

私の疑問は宙に浮いたまま、千聖は洗面所へと消えてしまった。



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