集合場所に戻ると、スタッフさんから今回のDVDマガジンの撮影内容について説明があった。
前半はみんなで自然公園でワイワイと遊ぶ姿を撮影するので、適当にやっていいよとのこと。
後半は、ご飯を作って食べるらしい。よくあるパターンだな。
適当に、と言われても、やっぱりメンバーが固まっててはいけない。
「どうしようか。あっちの・・・牧場行くグループと、芝生のとこでアスレチックとかスポーツやるグループに分かれようか。」
「だね。じゃあとりあえず、牧場がいい人ー!」
・・・・そんなわけで、神がかり的な運動神経(ある意味)の私は、早々牧場行きに名乗りをあげた。
他にこっち側に来たのは愛理、舞ちゃん、なっきぃ。
運動大好きなちさまいみとゲキハロでスポーツ少女をやる栞菜は、大型アスレチックに挑戦するみたいだ。ジャージに着替えて、「ドキドキするねー!」と3人ではしゃいでいる。
「えりかちゃん、元気ない?」
横に並んで歩いていた愛理が、ひょこっと顔を覗かせた。
「えっ?そうかな。さっきバドミントンやって疲れちゃったのかも。ウチ、体力ないから。」
「そか。・・・ねえ、えりかちゃん。千聖と一緒の部屋は楽しい?」
「・・・楽しい、けど。」
何だか含みのある言い方だと思った。
続きを促すように黙っていると、愛理はまたポツポツ話し始めた。
「2人は、ほら、何かみんなとはしないことしてるでしょ?今日もするのかなって思って。」
愛理はごくたまに見せる、いたずらっ子みたいな顔でケッケッケと笑った。
ちょっと前、私のすすめ(・・・)でトイレにこもって一人エッチをしてた千聖と、たまたまトイレに入ってきた愛理が鉢合わせになった。
愛理にはその時、軽く私たちのしていることを話しておいた。
・・・結局愛理も好奇心で千聖にいろいろしてもらっちゃったみたいで、私は自分が可愛い可愛いキュートにやらしい遊びを持ち込んだような気がして、それもまた気がかりになっていた。
「愛理はさ、私と千聖の関係、どう思ってるの?」
後ろを歩くなっきぃと舞ちゃんはパンフレットを見ながら喋っていて、こっちには注意が向いていない。小声で話を続けると、愛理はきょとんとした顔になった。
「どうっ、て。それは・・・2人がよければいいんじゃないかと。」
「でも、千聖は何ていうか、その、・・・今の千聖にはよくないのかなって。いや、前の千聖でも決していいとは」
慌てる私を、愛理はちょっと面白そうに見つめる。
「どうして急にそんなこと。結構前からでしょ、えりかちゃんと千聖。」
「そうなんだけどさ」
「・・・・千聖は、そんなに子供じゃないよ。前にえりかちゃんだって、私に言ったじゃない。千聖のこと子ども扱いしすぎって。
確かに、その通りだと思った。ずっと一緒にいると、千聖は前と同じで、ちゃんと強い意思を持って行動してるんだってわかる。
今はすごいおしとやかで控えめなお嬢様だけど、元はあの元気で気の強い千聖なんだから、本当に嫌なことははっきり嫌だって言えると思う。大好きなえりかちゃん相手になら、なおさらそうでしょ。」
「・・・じゃあ、愛理は反対はしてないの?」
「反対も何も、私は千聖の保護者じゃないし、えりかちゃんのことだって信用してるから。・・・まあ、別に、応援もしてないけどねー。」
愛理はそれだけ言うと、クネクネした走り方で先に行ってしまった。
「保護者、か。」
後方をチラッと見る。
相変わらず、なっきぃと舞ちゃんは楽しそうにしている。
なっきぃは3人姉妹の真ん中だけあって、バランスの取り方がとてもうまい。
私や舞美にはしっかりものの妹としていっぱい意見をくれるし、年下組の面倒見もすごくいい。
特に千聖とは、前からプライベートでもたまに遊びに行くぐらいに仲がよくて、本当の妹みたいに可愛がっているのは知っていた。
私が栞菜を見守るように・・・・いや、ある意味それ以上に千聖のことを思っているのだろう。私はどちらかというと放任タイプだ。
私なら、栞菜が例えば舞美と、今の千聖と私みたいな関係になったとしても、まあ別にいいんじゃない?と思う気がする。
ていうか、それだと絶対に舞美より栞菜が積極的だと思う。
定番の ノk|*‘ρ‘)<舞美ちゃんいいにおいするかんな・・・・クンカクンカ というアレを思い出して、一人でニヤニヤしてしまった。
「ねー、愛理ちょっと待ってよー。一緒に歩こうよ。」
とりあえず元気を取り戻した私は、あいかわらずかっぱ走りの愛理の腕を取ってまた横に並んだ。
「愛理は、舞ちゃんと部屋一緒なんでしょ?珍しいよね。」
「うん、ちょっと新鮮。何かまったりするねーって2人で言ってたんだ。勉強の話もできるしね。・・・あ、でも、舞ちゃんもさっきのアレ、えりかちゃんと千聖のこと気にしてたよ。」
「・・・・・・・えっちょ、ちょっと何で?舞ちゃんが何で知ってるの?」
「いやー、わかんないけど。えりかちゃんもう千聖に変なことしてないよね、って言ってた。ケッケッケ、えりかちゃん大変だー」
・・・今日の愛理はプチSモードらしい。ってそんなことはどうでもよくて。
つまり、私たちの関係について
なっきぃ→知ってるけど誤解してる
愛理→大体知ってる
栞菜→まあまあ知ってる
舞ちゃん→どこまでかわかんないけど知ってる
舞美→根本的に違う解釈をしてる(从 ・ゥ・从<ペットマッサージをちっさーにしてるんでしょ!)
「って全員知ってるんじゃん!」
私の自己ツッコミを聞いて、愛理がまた楽しそうにケッケッケと笑った。
最終更新:2013年11月24日 08:46