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「はー!疲れたぁ。」


カレー、ご飯、丸パン、そしてアイスをたっぷり食べて、みんなでゲームをやって、撮影が終わった。
盛り上がりすぎて少し時間が押してしまったから、とりあえず一度千聖とコテージに戻った。

「元気な人は後で舞美たちの部屋に集合!」なんてまだまだ元気な舞美ははしゃいでたけど、うちらはどうだろうか。
今日はいろんなことがあって疲れてしまったから、ちょっと厳しいかもしれない。
私はベッドにダイブして、お隣の様子を伺った。

「千聖?寝るなら着替えた方がいいよ。風邪引いちゃうからお布団入って。」
「んー・・・」

千聖は私服のワンピースのまま、小さく丸まって横になっている。喋るのも面倒なのか、完全に生返事だ。

「ほら、千聖。」
しかたないなあ。私はもたもた起き上がると、千聖のベッドに移動した。
「着替え手伝うよ。はい、バンザイして」

背中のリボンを緩めて、頭側からガバッとワンピースを脱がせる。
・・・あらあら、今日のおブラは白ですか。薄いピンクのフリルが可愛い。
仕事上、メンバーの下着姿なんて見慣れているけれど、わざわざ自分で脱がせたりなんだりするのはやっぱりちょっとドキドキする。
「パジャマ、バッグに入ってる?」
「・・・」

返事がない。目を閉じたまま、むにゅむにゅと口だけが動いている。寝言モードにまで入ってしまってるなら、これは当分起きそうにないな。
私は千聖のかばんを探った。前みたいにTシャツ短パンが入ってるのかと思いきや、

「・・・ねぐりじぇ。」

丈の長い、薄いブルーのお姫様みたいなお召物が鎮座していた。なんだこれは。パフスリーブとプリーツが可愛らしい、いかにも高そうな柔らかい素材だった。舞美が好きそう、こういうの。
「えーこれ、どうやって着せたらいいんだろう。」

私もネグリジェは何枚か持っているけれど、こんなお値段の張りそうなのは持っていない。きっとママにおねだりしたか、お小遣いをためて買ったんだろう。これは、間違っても破いたり汚したりしたくない。
かといって、このまま下着で放置するわけにも・・・ええい、仕方ない!

私は自分のバッグから、パジャマ代わりの水玉のガウンを取り出した。
これなら着脱も簡単!腕を通して、帯を締めるだけ。
あっという間に着替えを終わらせて、掛け布団をかけてあげれば、千聖の就寝準備は終わりだ。
あ、私?私は、前になっきぃからもらったミカン野郎Tシャツがあるから大丈夫!LED発光だから暗闇でも光るよ!

・・・本当はお昼の続きをしたかったけれど、疲れた千聖を起こしてまでやることじゃない。こんな風に、寝顔を眺めてるだけでも満足。


“えりかちゃんは、ちっさーのことが好きなんだよ”


「いやっ、そんなわけない!違う違う!」

さっきの栞菜の妄想劇場を、必死で頭から振り払う。
私ももう17歳。恋というのがどんな感情なのか、さすがに理解しているつもりだ。
恋っていうのはもっと、甘くて苦くて切なくて苦しくて、心が張り裂けそうなものだ。
千聖にエッチなことするときに生まれる感情は、そんなんじゃない。
正直千聖のちっちゃくてふにふにした体はとても抱きごこちがいいし、ずっと腕の中に閉じ込めていたくなってしまうのは否めない。あの子供みたいな顔が気持ちよさにとろけていくのを見るのも好き。お嬢様のくせに、びっくりするほど色っぽい声を出すのもなんかいい。

でもそれはドキドキじゃなくて、どちらかといえば和みや癒しの感情に近いと思う。だからこれは恋じゃない。恋であってはいけない。

“そういう愛の形だってあるんだよお姉ちゃん”
「ああーうるさいうるさい!お黙り、栞菜!」

私は脳内で語りかけてくる栞菜を追い払って、シャワーを浴びにいくことにした。
家から持ってきたバブルバスの素で、浴槽をもっこもこにする。大好きな薔薇の香りがただよい始めて、ちょっと興奮していた私の心も落ち着いてきたみたいだ。
ピンクの泡に体を沈めて、しばし考え事にふけることにした。
どうしようかな、これからの私と千聖のこと。
栞菜はおかしなことをいいつつも全面的に私の味方のようだし、愛理も面白がってはいるものの、千聖が決めることだと言っていた。
舞ちゃんはあんなことを言ってるけれど、実際に私たちが何をしているのかわかっていない。ていうか、中学1年生の女の子の考えが及ぶような行為じゃない。多分。舞美はもっとわかってない。
・・・なっきぃとは結局あの後じっくり話す時間が持てなかったから、誤解を解くことも意見を聞くこともできてない。
本当になっきぃの言うように、私のしていることが千聖にとってよくないことなら、それは即やめなくちゃいけないとは思う。
でも私の本音を言えば、しばらくこの関係を続けていたい。
千聖を救って癒してあげる行為だと思っていたけれど、本当に心を癒されているのは私の方かもしれない。

“えりかちゃんは、ちっさーのことが好きなんだよ”

「・・・・わかんないよ、そんなの」

さっきまでは、違う!と否定できた脳内栞菜の囁きに、今は即答できない自分がいた。



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