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DVDマガジン撮影を終えて、翌朝の帰りのバスで、私は千聖の隣に座った。

「愛理、おはよう。」
千聖はいつもどおりにっこり笑ってくれたけれど、なんだか元気がない。ほんのり充血した目と、赤く腫れた目じり。
私はそれで、昨日えりかちゃんと千聖が上手くいかなくなってしまったことを悟った。

「・・・ダメだったわ。」
「うん。」

私は千聖の手をギュッと握った。夜のことを思い返す。





あれは22時頃だったか、コテージで栞菜とおしゃべりしていたら、舞ちゃんが千聖を連れて戻ってきた。
4人で遊ぶのかと思いきや、舞ちゃんはすぐに部屋を出て行ってしまった。

「どうしたの?」
千聖を中に招いて問いかけても、今にも泣きそうな顔で黙ったまま、体を震わせるだけで何も言ってくれない。
私が千聖を介抱している間に、栞菜がハチミツ入りの暖かい紅茶を入れて持ってきた。

「ちょっと熱いかもしんないけど、落ち着くから飲んで。」
「あ・・・ありがとう・・・」
少し口を付けた後、千聖は大きなため息をついた。

「愛理、栞菜・・・私、もう℃-uteにいられないわ・・・」
「えっ!な、何言ってるの?どうしたの?あぁ、泣かないでちっさー」

千聖は両手で顔を覆ってすすり泣きを始めた。私達は突然の事態に慌ててしまって、顔を見合わせることしかできなかった。

「えりかちゃんと何かあったの?呼ぶ?」
栞菜が携帯に手を伸ばすと、「待って、お願い呼ばないで!」と千聖が大きな声で制した。

「ちっさー・・・」


少し気が静まってから、千聖は少しずつ何があったのかを話してくれた。


つまり、その、えりかちゃんとイチャイチャしてる現場を、舞ちゃんたちに見られてしまったらしい。

「・・・それは、確かにキツイね。」

千聖はもちろんはっきりとは言わなかったけれど、℃-uteにいられないなんて言い出すぐらいだから、相当踏み込んだことをしている最中だったんだろう。・・・可哀想に、千聖。

「だ、大丈夫だよちっさー!そりゃあ、愛し合ってる人同士だったらそういうこともあるでしょ?舞ちゃんたちもわかってくれるって。」
「愛・・・・?」
「あのね、えりかちゃんと千聖は両思いなんだよ。だって・・・」

千聖が首をかしげたのを皮切りに、件の栞菜劇場が始まった。
私はどうしたもんかと思いながらも、なぜか止める気にはなれず、適当に栞菜の話にあいづちを打っていた。

自分でも不思議なくらい、私はえりかちゃんと千聖の不思議な関係に関心を寄せていた。
千聖のことで悩むえりかちゃんをSモードでからかったり、2人の行為を妄想してムンムンしてしまったり。

多分、私は恋愛の刺激に飢えているんだろう。
仲のいい男の子の友達はいても、そこに恋愛感情が生まれたりすることはない。学校の友達もあんまり恋愛に積極的なタイプはいない。
そんな私にとって、体だけ深い関係を持っている二人(しかも同性ですよ!JKとJCですよ!)の行く末だなんて、ものすごい興味を掻き立てられる。
まるで、恋愛ドラマを生中継で見ているような感じだ。
栞菜もラブストーリー大好きッ子だから、私達は2人の間でひそかに千聖とえりかちゃんの恋路(?)を話題にしては、盛り上がっていた。

「そんな、でも・・・」
「ううん、ちっさー。だってね、えりかちゃんは他の子にはちっさーにするようなエッチなことはしないんだよ」
「でも・・・そう、なのかしら・・・」
「じゃあね、例えば・・・ちっさーは私とチューしたいと思う?思わないよね?でもえりかちゃんとはしたいでしょ?」
「えと・・・それは・・・」

さて、どうやら有原栞菜愛の劇場も終盤に近づいてきたみたいだ。もともと乗せられやすい性格の千聖は、最初はかたくなに栞菜の言うことを否定していたのに、徐々に栞菜ワールドへと引きずり込まれてしまっている。

「私はえりかさんを好き・・・?」
「そう!自分に正直にならないと、ちっさー!ね、愛理!」
「え?そ、そうだね。応援してるよ千聖。」

そんな話をしているうちに、コテージに舞ちゃんが戻ってきた。
頭から湯気が出ている。誰がどう見ても、超ド不機嫌だ。

「ただいま。愛理ごめん、私お風呂入って寝ちゃいたい。」

これは、この部屋の人間以外は出てお行き!ってことなんだろう。空気を読んだ栞菜と千聖が立ち上がる。

「あっ!千聖はいいよ。舞と一緒に寝れば」
「ちょっとー舞ちゃん!栞菜だけ帰れっていうの?ひーどーいー!」
「あ・・・ごめんなさい、舞さん。私も、えりかさんにお話することがあるので、戻りますね」

なおも引きとめようとする舞ちゃんを、私は「まあまあ」と宥めた。
正直、あの2人の行く末が気になる。ここは今夜のうちに何か発展があってほしい。

「では、また明日。ごきげんよう」
「あっ待って私も!舞ちゃん愛理おやすみー」
2人は連れ立って、ドアの向こうへと消えていった。

「・・・ねー愛理。何の話してたのー?」
「いやー別に単なる雑談だよー?それより、舞ちゃんお風呂できてるから先に入ったら?」
「・・なんか怪しい。ねー、愛理ってばぁ。ねーねー」

早く寝ちゃいたいとか言ってた舞ちゃんは、私の態度に何かを感じたらしく、この後深夜まで「ねーねー」攻撃を仕掛けてきたのだった。





「そっか、振られちゃった?」
「ええ。」

私達は、団子になって遊んでいるみんなから少し離れて、バスの後部座席を陣取っていた。
マジメな話をしていると思ったんだろう、誰も話しかけてはこない。聞き耳を立てられてる風でもなかったから、そのまま千聖に昨日コテージに戻ってからの話をしてもらった。

えりかちゃんは、千聖のことは大好きだけれど、もう体の関係はやめようと言ったらしい。
それを千聖はフラれたと解釈したみたいだ。
「うーん・・・でもそれって、少し離れて千聖とのことを真剣に考えようっていう風にも取れるよ。はっきりはわからないけどさ」
「そうかしら・・・それなら、嬉しいけれど。」
こっそり盗み見たえりかちゃんのは、昨日そんな修羅場が合ったとは思えないほど屈託のない明るい顔で、みんなとトランプに興じている。
「よくわかんないね。」
「そうね。」
14歳のお子ちゃま2人じゃ、えりかちゃんの胸の内を読み取るのはどうにも難しいのだった。




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