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それからも私と栞菜は、千聖とえりかちゃんの動向にひそかに注目していた。
2人・・・特にえりかちゃんにはこれといって千聖への態度に変化は見られない。普段どおり、近くにいればちょっかいを出したりお喋りしたり。

「ねえねえ、あれってどうなんだろう。終わった2人って感じしないんだけどなあ。」
「うーん・・・そうだねえ」

レッスンの休憩中。私達の視線の先では、舞美ちゃんとえりかちゃんと千聖が楽しそうに何か話している。
舞美ちゃんがふざけて千聖に飛びつこうとすると、えりかちゃんは運動オンチらしくもない動きで千聖の腕を引いて抱き寄せた。

「ちょっと見た今の!?」
「うん、何か・・・」
えりかちゃんの胸に顔を押し付けられてる千聖は、少し困った顔をして、ほっぺたを赤くしていた。
まだえりかさんを好き。千聖はそう言ってた。もしその気持ちを知っていてああいうことをしているなら、それはとても残酷なことのように思えた。
体を離してからも、千聖はえりかちゃんの方ばかりを見ている。千聖がえりかちゃんといる一瞬一瞬を本当に尊く思っている気持ちが伝わってくるようで、何だか私まで胸が切ない。

「ラジオの時にでも、えりかちゃんに聞いてみようかな・・・。」

この秋のラジオ番組の改編に伴って、キューティーパーティーが終わった後、新たに違う局でキュートの番組が始まった。メインパーソナリティは私とえりかちゃん。
意外な組み合わせすぎて、最初の打ち合わせの時はお互いに照れ笑いが止まらなかったけれど、実際に収録を始めると、なかなかまったりして楽しい空気を作り出すことができた。
えりかちゃんは結構、相手のテンションに合わせて話をしてくれる。私といる時は大体一緒にのんびりしてるから、そういう空気の時に、千聖の話は持って行きづらかった。だけど、そろそろ切り出してもいい頃なのかもしれない。

でも、その前に・・・
「愛理?どうしたの黙り込んじゃって。」
「ん、ちょっと」

私はぴょこんと立ち上がって、えりかちゃんたちのところへ歩いていった。

「千聖借りていきまっす!」
「え、あ、あら?愛理?どうしたの?」
「おーどうぞどうぞ!」

私は楽屋の外に千聖を連れ出した。誰もいないことを確認すると、不思議そうに私を見つめる千聖に小さい声で切り出した。
「ねえねえ千聖、いきなりで悪いんだけど・・・近いうちに、千聖のお家にお泊りに行きたいな。」

「え・・・えっ!そっ、な、え、ええ?」
慌てるとフガフガしちゃうのは相変わらずみたいだ。口をぱくぱくさせる顔が可愛らしい。

「ダメ?」
千聖は首を横に振る。
「そんな、ダメだなんて。でも・・・愛理のおうちみたいに広くはないし、家族が多いから騒がしいかもしれないわ。」
「別に、そんなこと。私ね、もっと千聖といっぱい喋る時間が欲しいんだ。私の家でももちろんいいんだけど、何か千聖の家って面白そうなんだもん。コンサートの時とかも、仲良し家族って感じで目立ってるし。」
「愛理・・・、わかったわ。お母様に聞いてみる。何だかドキドキしてしまうわ。キュートのメンバーがお泊りに来るのは初めてなの。」

お買い物デートの時は結局終日2人きりではいられなかったし、今度こそ千聖を独占してみたい。
それで学校や仕事のこと、えりかちゃんのこととかをいっぱい話して、もっと心が近づいたらいいな、なんて思った。
もっと千聖のことを知りたい。もっと私を頼ってほしい。
こういう気持ちを“いとおしい”というのかな。

「楽しみにしてるね」
「ええ、私も。」

私達はちびっこみたいに指きりげんまんをして、またレッスン室に戻った。
「遅いぞ中2コンビ!時間厳守でしょー!」

なっきぃに叱られて肩をすくめながら、私達はチロッと舌を出して微笑み合った。



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