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「え・・・いないの?」

でも、そんな私の思惑とは裏腹に、1限後の休み時間に会いに行っても千聖は教室にいなかった。

「うん、岡井さんどっかいっちゃったみたい。何か慌ててたけど?」
「すれ違いだねー」
「うーん。」


くまいちょー、梨沙子、もぉ。久しぶりのもぉ軍団揃い踏みだというのに、何だかいまいちウキウキしない。・・・当たり前か。

「何かね、岡井さん元気なかったよ。いつもそんなに明るいタイプじゃないけど、今日はほんとすっごいぼんやりしてる。窓の外ずーっと見ててね、りぃが話しかけたのに気付かないんだもん」
「へー、梨沙子、千聖お嬢様のこと気にしてるんだねー」

くまいちょーがのんびりした口調で梨沙子に笑いかける。

「ちっ違うもん!たまたま用事があっただけであばばばばば」

「・・とりあえず、もぉ今教室戻るね。また後で来るから。」

えー、もう行っちゃうの!と騒ぐ2人をなだめて、私は梨沙子に向き合った。

「ん?」
「梨沙子、千聖の力になってあげて。今の千聖には、梨沙子みたいな人が必要だと思うの。」
「んんん?りぃが?」

梨沙子は不思議そうに首をかしげてしばらく考え込んだ後、「わかった。」と神妙な顔でうなずいた。

「うちは?もも、うちも何かするよー」
「いやいや、くまいちょーはまだいいよ」
「なんでえええ?けちー」

仲間はずれにされたと思ったのか、くまいちょーは眼光の鋭いちょっと怖い顔になった。

「あ、ほら、くまいちょーは、・・・秘密兵器ですから温存です!いつでも出られる準備をしておくように!」

とっさに昨日読んだスラ●ダンクのセリフを真似てみると、なぜかくまいちょーは嬉しそうにニヘッと笑った。


「秘密兵器かぁ~いいね!かっこいい!了解でありますー」
「そ、それじゃ今度こそもぉ行くから!じゃあねー」

機嫌が直ったところで、私はとりあえず退散することにした。次こそ、会えるといいんだけど・・・



「・・・また、いなかった。」

4限目の授業が始まった。3回目も訪問したというのに、結局午前中千聖に会うことはできなかった。
避けられてる・・・?ふと嫌な想像が頭をよぎる。このまま顔をあわせることなく一日を終えるのは絶対に嫌だった。

「はい、では小テスト始めますよー。教科書しまってください。」

古文のテスト。集中しようにも、千聖のことがちらついて、問題文が頭に入ってこない。

(今は昔、竹取の岡井千聖といふもの・・・じゃなくて)

あんな喧嘩別れみたいな雰囲気でバイバイしちゃった手前、次会うときはどんな顔してたらいいんだろう。

(それを見れば、三寸ばかりなる岡井千聖、いとうつくしうて・・・ああもう!)


何とか雑念を振り払いながら、何とか答案を埋めていく。時計を見ると、授業終わりまであと20分。こんな気持ちのまま、悶々と過ごすのは耐えられない。


ガタッ!!


勢いよく席を立つ。何事かとみんなの視線が集まった。

「・・・嗣永さん?」
「桃子?」


「あのぉ、もぉお手洗いに行きたいので、失礼しまぁす!答案用紙、置いておきますぅ」


嘘つけ!といわんばかりの佐紀ちゃんの視線をウインクで無理矢理断ち切って、私は教室を出た。
最初からこうすればよかったんだ。授業に出ていて休み時間にいなくなるんなら、先回りして待ち伏せすれば確実に会える。あるいは、教室から連れ出してしまうとか。


「うおーい、待って桃子!私付き添うよ?」

ゲッ!
突然名前を呼ばれて振り返ると、舞美が若干駆け足でこちらに向かって来ていた。

「い、いいいいよ!一人で大丈夫!」
「まぁまぁ、そう言わずに!」

ヤバイ。ぽわんぽわんな天然気質とはいえ、舞美は生徒会長だ。さすがに、授業を勝手に切り上げるなんていう暴挙は見逃してくれないだろう。

「大丈夫だから!舞美テストの続きやってて!」
「私ももう終わったからさ!あれ、桃子?トイレこっちだよー?おーい!」
私はもはや全力疾走に近い速さで、廊下を走り出す。

「桃子ー?」
「わっ私のっことはほっといてええええ!」



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