※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

前へ


「あーっ千聖!」
舞美ちゃんの大声と何かが落ちた鈍い音に驚いて振り返ると、千聖が階段の一番下で倒れていた。
どうやらくすぐり合いっこをしていたら、バランスを崩した千聖が足を滑らせてしまったらしい。
雑誌の撮影が終わり、階段を降りていく途中の出来事だった。
「もー何やってんの」
まだ舞美ちゃんに笑顔の余韻が残っていたから、私はそのまままた前を向いて愛理とのおしゃべりを続行することにした。
でも「やだ、ちょっと・・・千聖動かないよ。」
「どうしよう、私・・・」
千聖と一緒に階段の途中でふざけていた舞美ちゃんが、みるみるうちに青ざめていく。
舞美ちゃんに抱きかかえられている千聖はピクリとも動かない。
「違うよ、マイが最後に千聖をちょっと押しちゃったんだよ。舞美ちゃんのせいじゃないよ。」
舞ちゃんの目に涙が溜まっていくのを見ていたら、つられて私も泣き出しそうになった。
栞菜も愛理もすごく動揺しているのがわかる。
えりかちゃん・・・はずいぶん前を歩いていたから「どうしたのー」なんてケーキをモシャモシャ食べながらのんびりこっちに向かってきた。
こんなことになるなんて・・・。
「とにかくさ、誰が悪いとかどうでもいいからマネージャー呼んでこよう?」
一番最初に冷静さを取り戻した愛理がそういうと。玄関の方に向かって走り出した。
そのとき「う~ん・・・」
千聖が短く声を漏らして、ゆっくりとまぶたを開けた。
「千聖!」「大丈夫?」「どっか痛いとこない?」
みんなが走りよって、千聖にいっせいに話しかける・
「よかったぁ私千聖に何かあったらどうしようって・・・」
「なっきー泣きすぎだよ」
涙でほっぺたをぬらしている栞菜に突っ込まれたけど、私の涙は止まってくれなかった。
そんな私たちの顔を、順番にゆっくりと見つめながら、千聖は体を起こした。
「皆様、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。わたくしはもう大丈夫ですので、早くお家に帰りましょう。」
「千・・・聖?」
「それでは参りましょう、皆様。」
えりかちゃんの手から、食べかけのケーキが落ちた。


TOP