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これは一体どういうことだろう。
階段落下事件から3日後、ダンスレッスンに現れた千聖は何と日傘を差していた。
「ごきげんよう、愛理さん。」
「あ、はい、ごき、げんよう。」
えりかちゃんが視界の隅でマックシェイクを噴射した。
「私、もっとお肌のお手入れに気を使おうと思いまして。良いお化粧品に心当たりがあったら教えてくださいね。」
「あ、はい、よろ、こんで。」
千聖はにっこり笑うと、着替えのためにロッカー室に入っていった。
・・・緊張の糸が解け、私は床に座り込んだ。
「愛理、大丈夫?」
「うん・・・えりかちゃんも口の周り拭いてね。」
正直、今までのやんちゃで明るい千聖のことは、同い年なのにちょっと子供っぽいと思っていた。
一緒にふざけたりすることはあっても、真面目に語り合ったりできるのかな?とそういう場面では千聖を遠ざけていたかもしれない。
でも今日の千聖ときたら、見慣れたショートパンツでもTシャツでもない。
淡いピンクのシフォンブラウスに細かいフリルのついたスカートという、ファッションまで変わっていた。
本当に、変わってしまったんだなぁ。思わずため息を漏らす。
「やっぱショックだよね。もうまるで別人じゃない?千聖。」
「う、うん。」
心底悲しそうに呟くメンバーを尻目に、私は少しわくわくしてきていた。
新しい千聖はどんな子なのだろう。
ファッションの話やお化粧の話にも乗ってきてくれるのだろうか。
もっといろんな話ができるようになるだろうか。
元に戻らなかったからっていつまでも嘆いていたくはない。
私は今の千聖を受け入れることに決めた。
男の子っぽくてもお嬢様になっちゃっても、私は結局千聖が好きだから。
「お待たせいたしました。」
「千聖、こっちでいっしょにストレッチいたしましょう?」
私は丁寧にお辞儀をしてレッスン室に戻ってきた千聖の手を取って、あっけにとられる皆の前を通り過ぎた。



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