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「えっと、ペアシート。基本料金で。あとその堅焼きポテトください。」

少し歩き回って、私はカードを持ってる漫画喫茶のチェーン店を発見した。最悪デパートのトイレで・・・と考えていたから、これはかなりいい展開だ。

「えりがぢゃぁん・・・」

眉をへの字にしながらも、千聖は私が差し出したポテトチップスをしっかり抱えてついてくる。

「大丈夫だって。ウチのこと信じられない?」
「うん。」

ズコー

「・・・ま、またまたそんな岡井さんたら」
「だって・・・ほ、本当に千聖が嫌だって言ったらすぐやめてくれる?」
「もちろん。ほら、入って。」


指定された個室のドアを開けて、私は先に千聖を通した。

ここの漫画喫茶は完全個室タイプだけれど、最近は“風俗ナントカ法”というやつで、扉のないお店の方が多いらしい。・・・まあ、別にそんなに激しいことをするつもりもないんだけど、一応ラッキーだったのかもしれない。

「さて、と。ちさ・・・」
「ぅあっちょっちょっとまって!私飲み物持ってくるから!えりかちゃん何がいい?ロヤイヤロルミドゥクティ?わかった、ちょっと行ってくる!」

千聖は私が軽く肩に触れると、ピョンと飛び跳ねて慌てて部屋を出て行ってしまった。・・・よーし、ちょっと驚かしてやろう!


「お、お待たせー・・・ええっ!な、何なんで」
「あらぁん、遅かったじゃない、千聖ちゃぁん?ウフン」


しばらくして、両手に飲み物と漫画を抱えて千聖が戻ってきた・・・けれど、扉を開けたまま、ポカンと口をあけて立ちすくんでいる。

無理もない。私は千聖が戻ってくる前に、ブランケット3枚とおっきい枕を借りてきて、座敷の個室をベッドみたいに改造してしまったのだった。

「千聖ちゃぁん?来ないのぉん?」
「う、あう、う・・・・そ、も、もうちょっと詰めてえりかちゃん」

千聖はしばらくフガッてから、観念したように中に足を踏み入れてきた。両手で私をイモムシみたいに転がして、自分のスペースを作り出す。

「あのこれ、ミルクティー持って来たから。あとちょっと漫画読みたいから待ってて。」
「ええ??ちょっとぉ」

私が作った即席ダブルベッドの半分に横たわると、千聖は“アラレちゃん”を読み出した。な、何てムードのない!

「ちぃさぁとぉぅ・・・」
「ん・・・待ってってば」

オレンジジュースとポテトチップスを周りに置いて、すっかりリラックスムードだ。時折グフフと笑い声を上げながら、ゴロゴロ寝返りまで打ち始めている。


「むぉおおう、漫画はあ・と・で!」
「わああ!待ってジュースこぼれちゃう!」

10分、20分と待たされて、私はいい加減辛抱たまらなくなってしまった。後ろから千聖の二の腕をガシッと捕まえる。

「本当千聖、自由だよね。まったく、何でここ来たか忘れちゃった?」
「・・・ごめん。覚えてるけどさぁ・・何か・・・」

千聖はちょっと口を尖らせながら、慌てて私の方へ向き直った。ご機嫌を伺うように、上目遣いでじっと見つめてくる。

「大丈夫だから。本当にたいしたことしないって。じっとしてて。」
「うん・・・」

女の子同士で入ったとはいえ、あんまり不審な動きをしたら店員さんが飛んできてしまうだろう。
私は千聖にぴったりくっついて、背中に回した指で“大事なところ”を突っついた。片手は胸に添えて、唇で首筋を辿る。

「!!!えりっむぐっぐぐぐ」
「シーッ!大声ダメ!」

腕力では無理だから、少し圧し掛かるような体制で、私は暴れる千聖の口を手で塞いだ。

「ほ・・本当に、こんなことしてたの・・・?」

少し落ち着いてから、千聖は掠れた声で問いかけてきた。

「うん、してた。ていうか、裸でしたこともあるんだよ。」
「嘘、嘘・・・信じらんない・・・・嘘だぁ」

千聖は私の手から逃れようと身をよじる。うっすら涙目になっているのが可哀想で、私はそっと髪を撫でて、できるだけ優しく聞いた。

「・・・もうやめとく?最初に言ったでしょ、千聖が嫌って思ったらすぐ終わりにするから。漫画読んで、帰るんでもいいよ。ウチはね、本当にウチと千聖がこういうことしてたっていうの信じて欲しかっただけだから。怖いなら、無理することないよ。」
「う・・・」

ブランケットの中で胸に触れる私の手を掴んだまま、硬直する。千聖は嫌なら嫌だとはっきり言えるタイプだから、今は悩んでいるのかもしれない。
長い睫毛を揺らして少し押し黙った後、千聖はまた瞳に強い意志を宿らせて、私を見つめてきた。

「もう少し、続けてみて。あんま暴れないようにする。」
「ん、わかった。」

正面を向いてると、私の行動がいちいち目に入って怖いだろうし、後ろを向かせてそっと寄り添う。・・・まあ、この体勢の方が触りやすいっていうのもあるんだけど。

お嬢様の千聖の好きなパターン、耳を甘噛みしながら胸の谷間をこしょこしょくすぐるというのをやってみると、千聖は首をすくめて丸まった。

「ぅ・・・ほ、本当に・・・?信じらんない・・・」

まだそんなことをつぶやきながらも、もう逃げる様子はない。足を割って、鎖骨のあたりにカプッと噛み付く。

「っ!」

びくんと全身が跳ねた。と思ったら、硬くなっていた体から、だんだん力が失われていく。あれ・・・これは・・・


「千聖?」
「・・・・」

背中越しに見た瞳は、あの“一人ぼっちの世界”の時のものだった。と、いうことは



「・・・・・・えりかさん」

「へ、へい。」


しばらくの沈黙の後、再び顔を上げた千聖は、バッチリお嬢様に戻っていたのだった。

「・・あ、あれだね。要は、本格的に気持ちよくなり出すと、人格が変わるってことみたいだね。」
「ええ、そうみたいですね。」

「じゃあ、切り替わるスイッチもわかったことだし、そろそろ・・・」
「あら、えりかさん。」

ブランケットから這い出しかけた私を、千聖の小さな手が捕まえた。



「もう終わりになさるの?もう少し・・・・だめかしら?」


う、うおおおおお嬢様ハァーン!/(^o^)\ナンテコッタイ!
明るい千聖が清純派(?)になった代わりに、お嬢様の方はERO-EROに?どちらもいただけるなんて、梅田、感無量です!


「えりかさん?」
「はっ!・・・あ、わかった、じゃあ、もう少しだけ、ね。」
「うふふふ」



―暗  転―



「・・・・というわけなんだよ、愛理。ぐふぇふぇふぇ」
「へー・・・。」

少コミ乙、と言わんばかりに、愛理は微妙な表情で私の説明を聞いてくれた。


「まあそれで、いろいろ試した結果、まだお嬢様の方の千聖が人格のベースになってるみたい。ずっと明るいほうではいられないっぽいの。それでも、こうやってスイッチが見つかったのは収穫じゃない?」
「うん、そだね。でもえりかちゃん、それみんなにどうやって説明するの?・・・なっきぃとか。」

うぐっ!

「・・・そこらへんはうまくぼかしぼかしで。」
「その方がいいだろうねぇ」

目の前で、明るい方の千聖とジャレるなっきぃを見つめながら、私は密かにため息をついたのだった。



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