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「私ね、雅さんの文章が大好き。またお書きになったら教えてくださいね。」

そう言って微笑む岡井さんは、なんていうかすっごく大人っぽくて・・・全てを受け入れて包み込むような優しい笑顔だった。

「お嬢様、私もそんな風に言ってもらえて嬉しいです。では、また今度。」
「ええ、また。」

去っていく夏焼先輩の後姿が名残惜しい。あぁ、でも・・・やっと会話できた!これは超嬉しい!

「ウフフ、すぎゃさんたら、よっぽど雅さんのことがお好きなのね。」
「え?まぁ・・そうだけどぉ。ていうか、何で夏焼先輩と親しいわけー!?ずるぅい!」

前から思ってたけど、岡井さんて年上ウケがいい気がする。ももとか、生徒会の先輩達とか・・・萩原さんは年下だけど、主導権握ってるっぽいし。

「あら、それなら今度、ももちゃんや雅さんとお昼ご一緒する約束をしているから、すぎゃさんもいかが?」
「え・・・萩原さんは?」
「舞?舞は、特にお誘いしていないけれど」

岡井さんはパチクリ目を見開いて小首をかしげた。

「でも、りぃもまぜてもらってもいいの?萩原さん誘った方がいいんじゃない?」
「あら、どうして?私と一緒はお嫌かしら?」
「そうじゃないけど・・・」


―なんだ。別に岡井さん、萩原さんだけしか見えてないってわけでもないんだ。こうしてちゃんと、ももとの繋がりも大事にしているのか。
お嬢様だから、甘えさせてくれてわがまま聞いてくれるなら、誰でもいいのかと思ってた。でもよく考えたら、あのももがそんな子と仲良くするわけがない。


「・・・ごめん、誤解してたかも。」
「え?」
「りぃも、仲間に入れてくれる?」

岡井さんの顔がパァッと明るくなった。お散歩に連れてってもらうときのわんちゃんみたいな表情で、私の顔をじっと見つめている。


「ええ、もちろん。嬉しいわ。すぎゃさんは、お弁当のおかずは何が好きなのかしら?当日、私のお弁当と一緒に作らせるわ。」

作らせるってあんた。主語はないけど、コックさんとかがいるんだろう。さすがお金持ち!

「ね、梨沙子さん?」
「うーん。」

味噌ラーメン!といいたいところだけど、明らかにお弁当には向いてない。ていうか、下手なこと言ったら召使いの人がわざわざ作り立てを届けに来ちゃうかも。

「考えとく。日にち決まったら教えてね。」
「ええ、もちろん。」

そこまで話したところで、お昼休み終了のチャイムが鳴った。


「お嬢様、今日はちゃんとお手伝いに来てくださいね!最近生徒会室に全然いらっしゃらないんですから!」
残って資料を整理していた副会長さんが、出掛けに岡井さんの席に立ち寄った。

「だって、今月は舞といろいろ約束があるのよ。千聖はお手伝いでしょう?少しお休みをいただきたいの。」
「だめです!お手伝いでも、ちゃんとノルマがあるんですから!お嬢様は楽しいことがあると、すぐそっちばっかりになっちゃうんですから。これはお嬢様のお仕事です。舞ちゃんと遊ぶのはお夕食の後!」
「もう、なっきぃの意地悪!・・・でもわかったわ、千聖にもきちんとお仕事が割り当てられているのね。今日はちゃんとお手伝いに参ります。」

怖ーい!さすが風紀委員長兼・・・じゃなくて、なるほど、あんな感じで打診すればいいんだ。言ってわからないタイプじゃないみたいだし、学園祭の打ち合わせのときもどんどん振ってみようかな。
ぽわっとした世間知らずなおっとりお嬢様なのかと思ってたけど、結構喜怒哀楽が出やすいみたいでなんか面白い。

「岡井さんも何か、食べたいおかずとかあったら考えといて。りぃもママに作ってもらってくるから。」

あら楽しそう!と目を眇めた岡井さんは、カルビクッパが食べたいわ、なんて言いだした。だから、お弁当だってば!
お昼後だっていうのに、好物のことを考えて幸せそうな顔をしている。

「やっぱり、岡井さんて天然。」

私がつぶやくと、岡井さんはなぜか嬉しそうにはにかんで笑った。



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