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「これ、読んだ?」

教室に戻った私は、さっそく岡井さんに新聞を見せた。

「あら、もう発刊していたのね。私まだ紙面は見せていただいてないのよ。」

あ、そっか。岡井さんは生徒会のお手伝いをしてるから、この企画にも関わってるんだ。ちぇー、どんなリアクションするか見たかったのにー。

「うふふ、すぎゃさんはいろんなランキングに入っているのね。高等部の先輩方も、すぎゃさんにたくさん投票なさっていたみたいよ。」
「へー。」
「あら?これ・・・」


楽しそうに新聞を読み進めていた岡井さんの目が、ふとある一点で止まる。

「舞・・・」

そうつぶやいたっきり、記事を凝視して動かない。
あれ、さすがにお仕置きキホ゛ンヌとかやりすぎちゃった?加工写真付きだし、本物のお嬢さまの岡井さんには刺激が強すぎたのかも。

―と、思っていたら。


「うふ、ふふふふふ」
「岡井さん?」

「ふっうふふふふあははははいやだわ、千奈美さんたらうふふふふふふ」

よっぽどツボに入ったのか、少し咳き込みながら、おなかを押さえて「うふふふふ」といつまでも笑い続ける。

「舞の不機嫌な顔の写真が欲しいっておっしゃってたから、何に使うのかと思ったら。うふふふふ、舞ったら時代劇の悪者のようだわ。」
「ウヒヒ、イヒヒヒヒヒヒヒヒ」

超真面目な顔で、萩原さんと元部長さんの写真を加工する徳永先輩も面白かったらしく、いろいろ思い出してしまった岡井さんの笑いは全然収まらない。
笑い泣きするお嬢様とは思えないぶちゃいくな顔を見てたら、私もおかしくなってきてしまった。


「イヒヒヒィ!見て、萩原さんちっちゃい角生えてるよ!目からビーム出てる!」
「フフフフフ、もうすぎゃさんたらやめてちょうだいフフフフッフフ」

2人して爆笑する私達を、怪訝な顔でクラスメートたちが見守る。

「お、お嬢様?あの、どうかなさったんですか?梨沙子何したの?」
「千聖お嬢様、お水を持ってきますね。もう、梨沙子ったら!」


何だよー!私のせいみたいに!・・・いや、私のせいなのか。

「ケホケホ、だ、大丈夫です。お構いなく。ウフフフフフフフ」

半月型の岡井さんの目は、笑いすぎて細い三日月みたいになっちゃってる。おさまりかけたと思ったらまたウフフフと始まるもんだから、段々とクラスのみんなにも笑いが伝染してきた。


岡井さんは全然地味な感じの生徒なのに、こういう風に、絶妙にみんなの心を掴んで、空気を明るく変えてしまう。単にお嬢様だからってだけじゃなく、不思議と人を和ませるような力があるんだろう。

輪の真ん中で、はじけるような笑顔を見せている岡井さん。いつもポーッとした顔してないで、今みたいに明るくニコニコしてればいいのにな、なんてちょっと思った。


「あ、あのー?今大丈夫ですかぁ?」

クラス全員が大笑いしているおかしな雰囲気の中、ふいに生徒会長さんがひょっこりと顔をのぞかせた。


「ひえっ!」
「お、おはようございます!」

生徒会長がじきじきに中等部に来るなんて珍しい。さすがにヒ゜タッと笑いは止んだ。・・・岡井さん以外は。


「あら、ごきげんよう舞美さん。ウフウフフフフフ」
「はい、ごきげんよう。あははははは」

机の上に広げられた新聞で、岡井さんの大爆笑の理由がわかったらしい。生徒会長と岡井さんは目を合わせて、また笑い出した。


「ほらほらみいたん、時間ないんだからお嬢様とジャレないてないで!はい、お騒がせしてすみません。新聞部の号外を配りに来ましたぁ」

おおっこれはすごい!生徒会長さんの後ろから風紀委員・・じゃなくて副会長さん、そしてそして、私の憧れの夏焼先輩まで!
3人の超美人を目の前に、どこからともなくうっとりとしたため息。


「えーと、見ていただければわかるんですが、先日の何でもランキングの結果が載ってまーす!あとでゆっくり見てくださいね。くれぐれも!授業中に見ないように!」

3人して、一人一人じきじきに新聞を配っていく。結構注目のイベントだったみたいで、クラス全体のざわざわが高まって行った。

ちぇー。後からでもアンケート参加したかったな。みんな楽しそうだ。

「はい、どうぞ。菅谷さん、だよね?いっぱい入ってたね、おめでとう。」

そんな風にぶーたれてると、背後からスッと新聞を差し出された。振り向いたその先には・・・


「や、あの、その、ありがあばばばばばばb」
「すぎゃさん?」


なんと、憧れの夏焼先輩が立っていた。服装検査があったから、メイクも制服も今日は控えめな感じだけど、それでもやっぱり超かっこいい!超美形!

「あばばばば?どうしたの菅谷さん?熱でもある?」

先輩のきれいな手が私のおでこに乗っかる。手首から、ホワイトムスクの香りがふわんと立ち上った。

あぁ・・・綺麗な人って、匂いまで美しい・・・・・


「わー!また梨沙子が倒れた!」
「菅谷さん!?」

岡井さんと夏焼先輩が支えてくれて、机に頭ゴチンは免れた。

「ごめんなさいー・・・」
「全然いいから。それより、大丈夫?」


私が一方的に憧れてて、喋ったことなんかなくて、雲の上みたいな存在だったのに、こんなに優しくしてもらっていいのでしょうか、神様!

「雅さん、すぎゃさんは私が。急いでいらっしゃるみたいですし、新聞をお配りになってください。」
「そうですか?それじゃ、お願いします・・・あ!あの、お嬢様、その節はどうもご迷惑をおかけして・・・萩原さんと千聖お嬢様のこと・・・」

夏焼先輩は去り際、ふと足を止めて駆け戻ってきた。そのまま、表情を改めて岡井さんにお詫びした。

「ええっ!」

憧れの人が、悲痛な顔で頭を下げるとこなんて見たくない。ちょっと、早くなんとか言いなさいよ岡井さん!私は岡井さんのわき腹を指で突っついた。

「きゃん!・・・あ、そんな・・・・・頭を上げて頂戴、雅さん。私と舞はもう仲直りしたの。前より仲良くなったぐらい。ですからお気になさらないで。号外、楽しく拝見しましたわ。」
「お嬢様・・・」



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