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「あれ?舞ちゃーん?いないのー??」



翌朝、いつもより若干早めに起きた私は、眠い目をこすりながら早々制服に身を包み、舞ちゃんの部屋を訪ねた。・・・が、ノックをしても返事がない。



「寝てるのかな・・・」



ドアノブを軽くひねると、鍵はかかっていなかったようで、手ごたえなく室内に入ることができた。



「おじゃましまーす。舞ちゃん・・・うわっ!」



綺麗に整頓された部屋の隅っこ。アンバランスに乱れたベッドの上に、栞菜となっきぃが丸まっていた。



「うおぉん・・・ちさとさまはぁーん・・」
「キュフフ・・・キュフフウワアーン!お嬢・・様・・・・うぐぅ」



「ぶはっ」



聞いてはいけないお気の毒な寝言は、私の笑いのツボを的確に刺激してくる。困った。



「あれ?えりかちゃん早いねー。」



その時、バスルームから舞ちゃんが髪を拭きながら出てきた。



「あー、おはよう舞ちゃん。いやー、昨日あんな感じだったから、大丈夫かなって思って」
「・・・えへへ。おかげ様でなんとか。」



舞ちゃんは小さな応接テーブルの所へ移動して、私を手招きで呼んだ。



「すっごいビックリしたし、ショックはショックだったけど・・・別に、それで千聖のこと嫌になったりとかはないから。心配してくれてありがとう。」
「舞ちゃん・・」




さすが舞ちゃん。私がここに来た理由を正しく読み取って、気まで使ってくれるとは。別に天才だからとかじゃない。舞ちゃんは優しくて、素直な心を持っている。



「いろいろ考えたの。どうして、千聖は私に恋人がいることを言ってくれなかったのかなぁとか。こんなに仲がいいなら、普通言ってくれるんじゃないかな、とか。
でも、多分千聖にとって、恋人がいることは、そんなに大したことじゃないのかなって。隠してたんじゃなくて、わざわざ言うほど面白いことでもないし、千聖自身そのことに関心があんまりないっていうか。
これは舞の推測だけど、好きだから付き合ってるんじゃなくて、なんていうの?いわゆる許婚的な。千聖の言う、恋人っていうのは、そういう人のことなんじゃないかって予想してるんだよね。
千聖は子供だから、恋だの愛だのはまだわかってないんだろうし・・・えりかちゃん?」
「・・・・・舞ちゃん、FBIにでも入った方がいいんじゃないかな。」



すごい、さすがわが校の誇る天才児!その恋人が結構な年上のおっぱっぴーであることや、現在小姑様が来訪なさっていること以外は全てお見通しというわけか。



「よくわかってるんだね、千聖お嬢様のこと」
「まーね。私と千聖は家庭環境も違うし、私にとって当たり前のことが千聖には違ったり、まあ逆もしかりなんだけど。そういう一つ一つを乗り越えて、私達は一緒にいるんだもん。何もかもわかりあえないからこそ、傍にいるのが楽しいんじゃないかなあ。」
「何かかっこいいよ、舞ちゃん。」



ちょっと前まで、仲がこじれてしまっていた2人とはおもえない。舞ちゃんはお嬢様をあらゆる外敵から闇雲に守ろうとするんじゃなくて、きちんとお嬢様の立場や思いを考えるようになった。
あの新聞部の事件があってよかった、とは決して思わないけれど、あれをきっかけに、舞ちゃんは変わったのだろう。




「じゃあ、舞ちゃんは・・・お嬢様の許婚に関しては認めt」
「あ、それは全然認めてないですけど。」



―あれ、今私の中ですごく綺麗にまとまりかけてたんですが、萩原さん。



「千聖は舞のものなんだから。よっっっっっっっぽど千聖のことを幸せにできる度量がなければ絶対無理。2000回ぐらい面談して、少しでも舞的に引っかかるところがあればその時はどんな汚い手を使っても・・・ふっふっふ」




「―ち、ちなみに、最低条件は?」
「そうだなあ。ご本人のことはおいといて、面倒くさい嫁姑問題で千聖が悩まないのは大前提だよね。うっとおしい小姑とか問題外。」




デデーン さゆみ、アウトー




「あと、舞が週7回千聖に会いに行くから。それも認めてくれる人じゃないと。」
「毎日かよ。・・・・あのね、実はね舞ちゃん・・・」



私は今、お嬢様の元に、超エキセントリックな小姑さんがいらしていることを告げた。



「たぶん今添い寝中だと思うんだけど・・・」
「行く。着替えるから待ってて!本当にちしゃとにふさわしい家なのかみきゅわめてやるでしゅ!」



興奮してカミカミになりながら、舞ちゃんは豪快に部屋着を脱ぎ捨てた。



「私も行く!」
「なっきぃも!」
「うわ!準備早っ!」



いつのまに着替えたのか、制服姿のなっきぃと栞菜が背後に仁王立ちしていた。



な、何だか大事になってる・・・まるで魔王の城からお嬢様を助け出すかのごとく、勇者殿ご一行はいきり立っている。



「いざ、参らん!」




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