※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



「・・・何してるの、2人。」

舞美さんに膝枕してもらったまま、ほっぺたを突付かれて遊んでいると、早貴さんがひょっこり顔をのぞかせた。


「あっ!おはよーなっきぃ。」
「早貴さん、おはようございます。」
「うん・・・」


ここ最近、早貴さんは何だか元気がない。というか、よそよそしい。
話しかけても上の空というか、もしかして避けられているのかも、と思うぐらいだ。

ゲキハロに加え、新曲発売の準備もあってあまりにも忙しく、まだ真意を確かめることはできていないけれど。

もし、次に早貴さんがガーディアンズ4について何かお話をしてくれたら、その時に伺ってみようと思っていたけれど、どうもそういうテンションではないみたいだ。



「おはよーございまーす。」
「舞さん、おはようございます。」
「・・・・」

元気がないというか、不機嫌といったら、舞さんもこのところ・・・多分、これは私が原因なんだと思う。



“千聖は無神経だ”



はっきりとした理由はわからないけれど、何日か前に、私は舞さんにそう言われた。私はその時、不安定な状態で、ひどいケンカになってしまった。それ以来、あんまり会話をかわしていない。


このままじゃいけないと思っているのだけれど、電話にも出てくれない、メールの返事も来ない状態だから、なかなか厳しい。
ケータイを開くたびに、舞さんの名前で埋まる発信履歴が目に入り、ため息が出てしまう。


「おはよー。」
「おはよう、千聖、舞美ちゃん。」

そのうちに、他のメンバーやゲキハロキャストの方々も集まってきたから、私はひとまず舞さんとのことや、連日の不思議な出来事を忘れることにした。


「あ、千聖。今日の帰りって、ちょっと付き合ってもらえない?」
「今日?・・・わかったわ。大丈夫」
「ありがとー。ケッケッケ」

――どうやら、完全に忘れることは難しそうだった。




「お疲れ様でしたー!」
「お先に失礼しまーす」

レッスン後、愛理に連れられて、私はまたあのファミリーレストランに足を運んでいた。


「千聖ー!こっちこっち!」
「ウフフ」

顔を見なくてもわかる。桃子さんの明るい声が、店内に響いた。

「あら・・・?」

席の方まで行くと、桃子さんだけではなくて、友理奈さんと梨沙子さんもいた。


「千聖ぉ、久しぶりー」
「ええ、お久しぶりです。」
「さて、千聖はどうするの?ボーノ?ガー4?ボーノ?ベリーズ?それともボーノ?」


駆け引きもなにもなく、桃子さんが畳み掛けるような口調で迫ってきた。


「もも、ずるい!ボーノ多すぎだから!」
「じゃあうちもー。千聖、ガー4とガー4とガー4どれに入る?」
「それ、選択肢ないじゃん!」


最初にお話を聞くのが、このメンバーでなくてよかった。私が事態をどれだけ把握してるかわからないはずなのに、この唐突さは・・・


「あの、みなさんはどうして、私をいろんな・・・いえ、ボーノやガーディアンズ4や、ベリーズに入れてくださろうとなさっているのかしら?」
「ん?」

意を決して話しかけてみると、皆さんはピタッとお話をやめて、私のほうへ向き直ってくれた。


「理由ねぇ。理由は、千聖と一緒に何かやりたいから。それだけだよ。みんな好きなのさ、千聖のことが。」
「まあ・・・」
そういって、桃子さんは私の頭を撫でてくれた。

「ありがとうございます。」

まだ何もかも釈然としていない状況だけれど、桃子さんの優しい手の感触は、心を落ち着かせてくれる。


「で、千聖はさー、どれにかけるの?」
すると、今度は友理奈さんがのんびりしたいつもの口調でお話しだした。


「かけ?」
「わーっくまいちょー!」
「本人がかけるわけないじゃん!」

あわてた桃子さんと梨沙子さんが、友理奈さんの口をふさぐ。


書け?欠け?かけ・・・



賭け???



「賭け、ですか?」
「ごめん、千聖!」

桃子さんが頭をガバッと下げる。


「千聖・・・」
「大丈夫よ、愛理。その、私をからかったり、貶めるような意図はないのでしょう?きっと、賭けという言葉は適切ではないのだと思うわ。」

詳細はわからないけれど、非難をするような気持ちはまったく生まれてこない。
今の私は過去の記憶や、自分の性格について、あいまいにしか覚えていない部分もある。それでも、長く一緒に活動してきた人たちを信頼する思いは、ちゃんと心や体の中に残っているから。

「・・・ありがとう、千聖。」

桃子さんは姿勢を正して、私の目をじっと見た。


「千聖の言うとおり。賭けっていうと、ちょっと違うかな。実際、誰も何も賭けてはいないし。ただ、私たちは千聖に・・・」
「待って!!!」


その時、後ろから大きな声がした。思わず振り向くと、舞さんとなっきぃが立っていた。
舞さんの大きな目はいつも以上に見開かれて、私を捉えている。


「ま、と、とりあえず座ったら?あはは・・・」

あまりに大きな声だったから、店内中のお客さんの注目が集まっている。早貴さんは愛理の横に腰を下ろしたけれど、舞さんは桃子さんのお取り成しも耳に入らない様子で、依然、私を睨みつけるように見据えているだけだった。

「舞さん・・」

何と言っていいのかわからなくて、私は舞さんの手を取った。少しだけ、表情が緩む。そして、舞さんはぐるりと皆さんの顔を見渡してから、「割り込んでごめんなさい」と噛み砕くような口調で言った。


「これはルール違反だってわかってるけど。千聖。・・・・・あの、最近冷たくしてごめんなさい。それで、


舞とユニットを組んでください。」





TOP