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「舞さん・・・」
さっきの強い視線とは全然違う、不安げな瞳。いつも強気で、まっすぐな目をしている舞さんとは別人のようで、私は思わず両手で舞さんの手を包み込んだ。。

「えーっまたライバル増えたし!」

友理奈さんが口をとがらせると、舞さんの眉がピクッと動いた。・・・あ、これは、あまりよくない傾向かもしれない。機嫌が悪くなる時の、いつもの予兆だ。

「ライバルって、熊井ちゃんとかりーちゃんは本気じゃないでしょ?舞は本気なの。一緒にしないでよ」
「何それ!りぃだって本当にガーディアンズかベリーズに千聖が来てくれたらって思ってるよ!舞ちゃんや愛理はキュートでいつもお嬢様の千聖と一緒にいられるからいいじゃんー。たまにはこっちに譲ってよー」

思わず席を立ち上がりかけると、思いがけず強い力で腕を引かれた。

「まあまあ。言わせてあげなよー」
桃子さんが小声でささやいて、ウフッと笑った。

「愛理だって、いつも千聖のことわかってるような顔しちゃってさ。あんなにいつも千聖のこと独占してるんだから、ボーノにまで入れようとするなんてずるい!
なにさ、そりゃあ愛理と千聖はトイレで触りっ」
「きゃー!!」

とっさに、テーブルに置いてあった丸いパンを、舞さんの口に押し込んだ。舞さんたら、何てことを言おうとするの!

このままだと、温泉での出来事や、えりかさんと私がしている行為まで口にされかねない。私は無言で、眉を寄せて上目遣いで舞さんの目をじっとみつめた。
舞さんは私のこの顔に弱い。こういうやりかたはどうなのかと自分でも思うけれど、今は多分、緊急事態。
私の表情を見た舞さんは、とりあえず落ち着きを取り戻してくれたみたいで、パンをもぐもぐ咀嚼しながらそっと視線を外した。

「・・・大体、ももちゃんも、勝手に私の千聖と姉妹宣言なんてしちゃって、もー!」
「やぁだ舞ちゃんたら、こわーい。ウフフ」
「愛理だって、もっと千聖とハモッたりしてみたいんだもん。千聖が好きって言ってくれるボーノの曲でなら、よりいいと思うんだけどなあ。ケッケッケ」

少し怒り気味に反論する友理奈さんや梨沙子さんとは対照的に、桃子さんと愛理はのんびりした口調を崩さない。

「な・・・とにかく、千聖は私のなの!舞のじゃなきゃだめなの!何でこんな企画が進んじゃったの!?もー!」
「千聖、舞ちゃんごめん!」

その時、ずっと黙っていた早貴さんが、おもむろに口を開いた。

「なっきぃ?」
「こんなことになったのは、私のせいだから!」

早貴さんはそう言うと、私の目の前に一枚の紙を差し出した。


「祝★14th!岡井千聖生誕記念レース・・・?」

そこには何かの順位表のようなものが書いてあった。あんまり詳しくはないけれど、たしか、これは・・・

「競馬の、予想の紙に似ていますね。」
「そう、お父さんが持ってたやつを参考にしたの。千聖がどのユニットに入るって言うのか、娘。からベリーズ、℃-ute、エッグのみんな、それからOBの先輩とかスタッフさんにまで予想してもらって、上位に残ったのを表にして。」
「まあ・・・」



◎ Berryz工房→キッズの絆未だ強し。岡井千聖本人の希望はもちろん、仲良しが多数在籍するBerryz工房メンバーの受け入れ体制もバッチリ。文句なしの大本命。夏コンで、バスガイド姿の岡井千聖に会えるかも?

○ Buono!→メンバーとの親密さはもとより、アルバムもばっちりチェックしているという岡井千聖のBuono!びいきは周知の事実。人気コンビの桃ちさ、ちさあいりに続いてちさみやカップリングも誕生か?

▲ モーニング娘。→新垣、光井のチームロビケロ以外は関わりが薄いと思いきや、リンリン・高橋愛との親密エピソード、道重さゆみとのよろセン!エピソード等、岡井千聖の意向次第で大きな番狂わせがあるかも?

△ ガーディアンズ4→仲良しメンバー集結も、ユニット自体のパワーが未だ未知数のためか、内部票が伸びず。

△ 音楽ガッタス→吉澤・石川両名が岡井千聖獲得に色気を見せれば・・・?

  • Hi-King→メンバーはさておき、ダンス、曲のテイスト、ユニットのコンセプト的に、今回は苦戦必至か。

  • S/mileage→福田花音の政治力が試される。

  • マノチサト→おもしろユニット。

  • エッグ→常識的に考えて、妹の力を持ってしても希望極薄か。



「・・・うふふ」

自分のことだというのに、思わず笑いがこぼれる。コメントにも妙に説得力があって、私は無意識にうなずいたりしながら読み進めていた。

「これは、全て桃子さんの文章ね?イラストもついてるから、すぐにわかったわ。」
「わかるぅ?やーん!嬉しいなぁー」
「でもでも!集計はりぃと愛理がやったんだよ!」
「・・・ちょっと、そんなことよりまだ続きがあるんだからね。」

盛り上がっていると、舞さんに後ろから腕を引っ張られた。


「あら・・・」


× 萩原舞(特別枠)→言わずと知れた、ちさまいコンビ。そのラブラブッぷりは筆舌に尽くしがたいものがあるが、喧嘩中はすさまじい険悪さが漂うのがネックか。愛と感動の【2人はNS】が再び舞台上で公開される日は来るのだろうか?


「ウフフ、舞ちゃん、人気なーい。」
舞さんはどうにも納得できない様子で、「ありえない。ちさまいは、ちさまいを見守るスレまであってどうのこうの」とよくわからない独り言をつぶやいていた。

「だって、これはファンの方の意見じゃないからねー。ウフフ。あくまで内部ですから。そりゃあ舞ちゃんは特別に枠を設けたけど、本当はもぉだって、千聖とユニット組みたいし?
スタッフさんは二人の喧嘩の恐ろしさを知ってるから、大人の意見であえて予想から外したのかもしれないし?」
「そうそう。私だって、千聖とあみん歌いたいって思ってるもーん。ちさまいユニットには負けたくないもーん。」
「だったら私だって!千聖とでこぼこユニットやってみたいよー。最高の出オチだと思うんだけど!」
「それならりぃだって、同級生コンビで何かやりたい!プロレスユニットとかどうよー」


――これは、モテ期というものなのだろうか。私は今まで、こんなにたくさんの人たちから、アプローチを受けたことなんてなかった。あっけに取られているうちに、桃子さんの説明は進んでいく。


「ま、この表は別に、千聖のこれからの選択の参考にしてほしいってわけじゃないから。ただの前評判のまとめ。お遊び。だから、別に気にしないでちょーだい!それより、そろそろ千聖の答えが聞きたいなあ。」
「答えですか?わかりました。」
「ええっもう!?ちょっとぐらい時間あるけど」


バンッ!!


突然左側で、とても大きな音。皆さんの視線の集まる方向へ、私も首を傾ける。


「早貴さん・・・?」
いつもうるうるしている早貴さんの瞳が、店内の照明に照らされて、さらにキラキラと潤んでいる。
白い手首が、テーブルを叩いた拳のまま、固まっていた。

「どうなさったの?」

赤い唇が、震えて開く。

「・・・・・・やだ。答えないで、千聖。答えちゃやだ。」




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