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「ン・・・ちしゃと・・・」


それから私は、そのエッチビデオのことを思い出しては、夜な夜な悶々とする日々を送る羽目になった。

あれは、ストーリーのことを考えなければ、結構実用的(・・・)だと思う。ファンの人にもメンバーにも散々言われてることだけど、私は多分S。こうやって好きな人をネチネチいたぶるみたいなのは、元々嫌いなわけがない。


「んん」

目を閉じて、千聖の顔を思い浮かべる。

“やめて、舞さん”
「んっ」
“お願い、許して”
「・・・ちしゃとぉ」


千聖は泣き虫だから、泣き顔のサンプルはいくらでも頭の中に残っている。・・・こんな形で再生することになるとは思わなかったけど。
布団の中でタオルケットを足の間に挟んで、もそもそと足を閉じたり開いたりしてみる。頭がボーッとしてきた。

痴漢はアカン!だけど心は自由でしょ?実際にしなければいいのではないでしょうか。でも好きなプレイが痴漢(しかもする方)って萩原舞完全終了のお知らせレベルだろ。・・・何を言ってるんだ私は。頭の中にいろんな主張が入り乱れて、支離滅裂。


「あ、あ、あ」


――そろそろやめないとまずい。こうしてアソコを刺激するの自体は初めてじゃないけれど、いつも怖くて中途半端なとこでやめていた。やめなければ、取り返しのつかないことになりそうな気がしたから。
でも、体が言うことを聞いてくれない。千聖の髪に顔をうずめるように、タオルケットに鼻先を押し付けて声を殺す。


「うー・・・」


どうしよう。ヤバイ。

これ以上のことは、したことがない。なのに、勝手に指がジャージの中に進入していく。


“舞さん、だめ”

「――――っ」




~♪♪♪



その時、枕元に置いていたケータイが、大音量でメールの着信を告げた。
それは、私が千聖専用にしている“僕らの輝き”。
一緒に歌っている曲でもいいんだけど、やっぱり千聖にはこの曲が一番似合っていると思う。
今の私の状況にもっとも似合わない、そのさわやかで元気な歌声が、頭を冷静にさせてくれた。

「ふぅ・・・」

ベッドに正座して、ゆっくりとケータイを開く。


最近、私たちは喧嘩をした。
私が千聖に、えりかちゃんとのお泊りを中止するよう迫ったのが原因。お嬢様の千聖は優しいけれど、何でも舞の言うことを聞いてくれるっていうのとは違う。“それは、嫌よ。”と思いがけず真面目な顔で言われて、私は「千聖は無神経だ」なんて当り散らしてしまった。

実は今、千聖の誕生日に向けて、みんなで大きなドッキリを企画している。大好きな千聖を喜ばせるための重要なプロジェクトなのに、つまらない意地を張っていてもしょうがない。わかっているけれど、今更どうやって謝ればいいんだろう。


しかも、喧嘩してる相手でエッチな妄想とか・・・・私はダメ人間だ。


千聖からのメールには、無神経なことをしたのならごめんなさい、と謝罪の言葉が書いてあった。
でも、千聖から謝ってくれたっていうのに、私の心は晴れない。だって、結局千聖はえりかちゃんのところに行ってしまうんだから。

千聖は結局、根本的なことはわかってくれていない。いくら好きだと伝えても、その“好き”の意味は伝わっていない。


「千聖がえりかちゃんを好きなように、舞も千聖が好きなの。」

こういう風に言えば確実に伝わるだろう。でも、私にだってプライドがある。こんなことを口にすれば、自分が惨めな気持ちになってしまうのは明らかだった。


千聖は舞のもの。


いつも疑うことなく、そう信じてきたけれど、ここにきてその自信は揺らいでいる。
千聖が今はえりかちゃんを好きでも、最後に舞を選んでくれるなら、本当は嫌だけどまあそれでかまわない。それぐらいの譲歩はできる。でも、今は千聖の気持ちが見えない。

えりかちゃんとあんなことしてるくせに、頼まれれば私にも同じことをする、その胸の内が。


だから私は、せっかくのメールだけど、返事は返さないことにした。
私はいつでも、千聖には素直でいたい。それがいいことでも悪いことでも。だから、こんな気持ちのまま、表面的にだけ仲直りするぐらいなら、このままでいい。
じゃあどうしたら私の気が済むのか、というのはまだわからないけど。



火照りかけていた体は、そんなことを考えていたらいつの間にか静まっていた。
でも下着の中は、ちょっと不快感。もう遅い時間だけど、せめてシャワーだけでも浴びようと、私は静かに部屋を出た。



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