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「やだって言ってんじゃん!」

さすがに千聖は私の手を払った。でも、こういう時の私は結構しつこい。あきらめずにもう一度胸に触ってギュッと力を入れてみると、千聖は唇を歪めて顔を逸らした。
私の手に添えられた手は、どうしたらいいのかわからないみたいに中途半端な力が入っている。そんなことぐらいじゃ、私の暴走は止まらないって、知っているくせに。

そのまま無言で胸を揉んでみる。クラスの男子がグラビアアイドルの胸の話とかで盛り上がってるのを、友達とバッカじゃないのって笑っていたけど、正直今ならその気持ちは少しわかる。柔らかい感触を求めて、手が止まらない。

「千聖・・・」

だけど、千聖は話しかけても反応してくれない。
あのエッチなDVDに出てくる人はこういう行為だけであんあん言って悶えてたけど、千聖はギュッと歯を食いしばって、固く目を閉じてるだけだった。


「気持ちいい?」


そこで、耳に息を吹きかけながら聞いてみる。これは不意打ちだったみたいで、千聖ののどがヒッと鳴った。

たしか、耳が弱いとか、腰が弱いとかえりかちゃんが言ってたっけ。恋敵にそんなことを教えられるのは悔しいけど、私はそれに倣って、耳たぶを甘噛みしてみた。


「やっ・・・!」


予想以上に大きい声。私の方がびっくりしてしまって、ちょっと顔を離す。正面に向き直った千聖と無言で見つめあう。



「な・・・何がしたいの、舞ちゃん。もうやめよう。おかしいよ、こんなの。ね、舞ちゃん?」

千聖はこの期に及んで、まだお姉ちゃんぶって私を説得しようとする。長い付き合いなんだから、わかってるはずなのに。そんなことされたら、私は余計に意地を張ってしまう性格だってことぐらい。


「大丈夫だから。」

私は千聖のスカートを捲り上げて、下着に手をかけた。

「は?大丈夫って、何・・・うわっ待って!それはやだ!本当に!待ってってば!」

ほとんど悲鳴に近い声。私は慌てて千聖の口を押さえた。千聖の表情が、困惑から怯えに変わっていく。ここにきて、やっと私が何をしようとしているのか具体的にわかったみたいだ。


「無理だって・・できないよ、無理だよ」


くぐもった声が、手のひらを通して伝わる。もう私に年上っぽく説得することもできないほど、混乱している千聖はかわいいと思う。だから、もう少し揺さぶりをかけてみることにした。・・・まったく、我ながら何て性格だ。


「・・・千聖、舞のこと嫌い?」
「え・・・」
「舞のこと嫌いじゃないなら、こういうのしたっていいでしょ?」


私はまた千聖にキスをした。口がポカンと開いていたから、今度は舌先がぶつかった。ぬるっとして柔らかくて、ぞっとするような快感を覚える。


「お願い、千聖。痛いことはしないから。少しだけ舞の・・・舞だけの千聖になってよ」
「舞ちゃん・・・」


千聖の目は黒目がとっても大きくて潤んでいて、わんちゃんみたいだと思う。優しく守ってあげたいような、めちゃくちゃに苛めてやりたくなるような、難しい気持ちが湧き上がってくる。

私は千聖の隣に横たわった。体の下で、手錠で繋いだ手が音を立てる。


「千聖、大好き」


そう言って、少し強引に足の間に手を差し入れる。千聖が力を入れる前に、指をソコにぴったりくっつけた。体のどの部分よりもあったかくて、胸とはまた違う柔らかい感触。自分にも同じのがついてるはずなのに、未知のものに触れるような緊張感を覚える。


「やだ、お願いだから、舞ちゃん」
「いいから」



“ちっさーって、舞ちゃんにはホント甘いよね。”
昔、栞菜がそんなふうに言ってたことを思い出す。その通りだと思う。私は、千聖が私のお願いごとに弱くて、強引に迫れば大抵言うことを聞いてくれることを経験上わかっていた。だから今、きっと、こんなひどいことを。



「ぁ・・・」


弱いってわかった耳を舌で弄びながら、あてがった指をゆっくり動かす。噛み締められた唇から、言葉にならないような声が溢れた。


「やだ、ち・・・ちさと、は、おもちゃじゃない・・・」


途切れ途切れな哀願の言葉も、私の行動を抑えることはできなかった。


「知ってる。」
「うそ・・やっ・・・だ・・・ひどい、舞ちゃん・・」


私は一旦手を止めて、千聖に顔を近づけた。


「だって、舞は千聖のことが好きなんだもん。一番好きなんだから、しょうがないでしょ」
「舞ちゃん・・・」
「そんなのずっと前から気づいてたくせに。いっつもはぐらかすんだもん、ずるいよ。」


今とっている行動はサイアクだけど、少なくとも私は自分に嘘をつくようなことはしていない。だから、千聖の顔をまっすぐ見つめ続けた。だけど千聖の瞳はこぼれそうな程揺れていて、私を捉え切れずにまたうつむいた。


「ねえ、千聖。続き、してもいい?好きなの、千聖のことが。だから、いいでしょ?」
「もっ・・何でそんな、勝手にさぁ・・・」
「千聖。」
「・・・わかったから、もう。いいから、早く」

千聖はそれっきりもう何も言わずに、抵抗もしないで、シーツに顔を押し付けた。
あきらめて、私の思うとおりにすると決めたらしい。
再び、私はそこをさすった。さっきよりも指に力を入れる。


「ぅ・・・」


荒い息。漏れる声。千聖が少し体をよじるたびに、髪の匂いが鼻をくすぐって心地いい。


やっとわかった。
私はきっと、ただ単に千聖とエッチをしたかったってわけじゃないんだ。
こんな風に千聖の自由を奪って、怖がらせて、プライドを傷つけるようなことをしても、それでも千聖は私を赦して、受け止めてくれるっていう確証がほしかったんだ。

ただ側にいられればよかった、純粋に好きだっていう気持ちだけだった頃には戻れない。その先を知ってしまったら、もうそれを求めずにはいられない。だから、せめて今だけは、私に囚われていて欲しい。
きっと、みんな驚くだろう。子供なコンビだと思っていた“ちさまい”が、こんな関係になっていたなんて。

だから今日のことは、誰にも言わない。恋敵のえりかちゃんにも。千聖もきっとそうするだろう。何だか罪を共有するみたいで少し嬉しい。私の気持ちを代弁するように、手錠がカチャッと音を立てた。


「ぁ・・・ま、い、ちゃっ」


千聖の足がビクッと跳ねる。恋人つなぎのままの手に、力が篭る。無意識に、ソコに添えられた私の手は動きを早めていた。


「だめ・・・もぅ」
「いいよ、千聖」
「あ・・・っ・・・・!」


2度、3度、千聖の体が跳ねて、急激に力が抜けていった。息を詰めていた唇から、言葉にならないような声が溢れる。


「千聖・・・」

あの日コテージで見た、“あれ”とたぶん同じ。千聖は力なく横たわって、虚ろな目でぐったりしている。
まだ私自身は知らないその感覚を、千聖の体に刻み付けてしまった。私の、手で。
そう思うと、自分がどうこうしてもらったわけでもないのに、私は満たされた気持ちを覚えた。お気に入りのぬいぐるみを抱きかかえる小さい子みたいに、ギュッと力をこめて、千聖を抱いた。



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