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えりかさんから「ちょっとお嬢様にお話しがあります」と声をかけていただいたので、
夕飯の後にお部屋に来ていただくことにした。
最近は悩んでいらっしゃるのか、深刻な顔をされていることが多かったから
それについてのお話しかもしれない。いつも相談をしている方の私にアドヴァイスが
できるかわからないけど、わざわざ私に声をかけてくださったのだから
しっかり聞いて差し上げないと。


ドアをノックする音に続いてえりかさんが入ってきた。
表情を見ると意外にすっきりした顔つきだったので悪いお話しではないかもしれない、
と少し安心した。
「それでえりかさん、どんなお話しなのかしら」
「最近将来のことを考える機会が多くてね、うちなりにやりたいことがはっきりしたから
 まずお嬢様にお知らせしておこうと思って」
「えりかさんも高3ですものね、それで卒業後はどうなさるの?」
「卒業後とは少し違うんだけどー」
「どういうことかしら」
「うちさー、ファッション関係の仕事に興味があって、そのことでね、
 ちょっといいチャンスに恵まれたから秋から転校することにしたんだ。
 卒業まで後わずかだけど、今すぐ決めないとこのチャンスは生かせないみたいだから
 思い切って転校することにした。お嬢様とお別れするのは寂しいけど
 転校してからも会う機会はあるだろうし・・・」
「えりかさん、何をおっしゃっているの? 転校ですって? 冗談でしょう?」 

突然のことに頭がついていかず、えりかさんのお話しを遮ってしまう。
動揺している私とは対照的にえりかさんはしっかりした表情でお話しを続けられた。

「冗談じゃないよ、うちこれでも真剣に考えたんだ。秋には転校して目標に向かって
 頑張ってみるよ」
「そんなえりかさん私のことがお嫌いになったの?」
「お嬢様違うよ、そうじゃないよ。お嬢様のことをうちが好きなのはこれまでも
 これからも変わらないよ。ただうちの目標をかなえるのに、ちょうどいい機会があって・・・」
「待ってちょうだい、えりかさんお待ちになって。
 ご冗談でしょう? でも嘘なんだよっておっしゃるんでしょう?」
「さっきも言ったけど本気の話だよ。嘘なんかじゃないんだよ」

そんな・・・。
えりかさんが卒業よりも半年も前にここからいなくなるなんて考えられない。
私はまた同じことを口にしていた。
「でも嘘なんだよって続けるんでしょう?」
「嘘なんかじゃないよ」
「お願い、でも嘘なんだよっておっしゃって! 
 だってそうじゃなかったら本当のお話しになってしまう!」
「だから本当の話なんだよ」

そんな・・・。私の頭は真っ白になった。



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