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日課になっている朝のジョギングに出かけようとしたら、エントランスのソファに
えりとめぐが座っていた。私服のめぐが寮にいるのは珍しい。
「二人ともこんな朝早くにどうしたの?」
「舞美に相談したいことがあって待ち伏せしてた、とか言ってw」

とりあえず三人で食堂に行き席に着いた。
よく鈍感と言われるあたしの目から見ても今の二人が緊張しているのがわかる。
一体どんな相談なんだろ。あたしに力になれるのかな。

「突然で驚かせるかもしれないけどうち秋に転校することにしたの」

本当に突然だなぁ、でも事情とかをこれから説明してくれるんだろうな。
そう思っているとやや早口になってえりが続けた。

「舞美理由を聞かないの?」
「え? それをこれから説明してくれるんじゃないの?」

えりの体から力が抜けたのがわかった。
めぐが笑いながら「やっぱり舞美に相談したのは正解だったね」などと言っている。

それから詳しく説明してくれた。
「そっかー、えりは将来のことをちゃんと考えてるんだ。
 あたしなんか、とりあえず系列の上の学校に行って、それから考えればいいやと
 思ってたのに、えりの方がしっかりしてるね」

「舞美はえりの決断をどう思う? えりが急にいなくなるのはいや?」
めぐが矢継ぎ早に質問してくる。

「話を聞いたばかりだからどう思うかと言われても困るけど・・・。
 でも寂しくなるかもしれないけど、少なくともいやじゃないよ。
 学校が変わって会う機会が今より減るとしても、
 どこにいいてもえりがあたしの大切な友達であるのには変わらないから」
「舞美ぃ」
「ちょ、ちょっとえり泣かないでよ」
「やっぱり舞美に相談してよかった。えりの決断を前向きに受け入れてくれると思ってた。
 実はえりがお嬢様に転校のことを言ったの。そしたらえりが自分を捨てて
 出ていくと思ってしまわれたようで、泣き出しちゃって。
 お嬢様にどうしたら納得していただけるか、それを相談しに来たんだ」

「お嬢様にはきちんと説明した?」
「説明する前に泣き出しちゃった」
「だったらお嬢様が不安に思われている点をしっかり説明して差し上げればいいんじゃない?
 えりはなんでも難しく考えて抱え込み過ぎなんだよ。新聞部の騒動の後にさ、
 『単刀直入に問題を解決した嗣永さんが羨ましい』って言ってたじゃん。
 お嬢様がどんな風に考えて不安になっているかをめぐに探ってもらって、
 その点をえり自身でもう一度ご説明すればいいと思う」

不足していることがあれば二人が補ってくれるだろうから、とりあえず自分が感じたことを言ってみた。
「直球型の舞美らしい意見だね。うちも舞美の言う通りな気がしてきた」
「変に周囲が力を入れずに、当事者同士で解決するのが一番かもしれないね」

「えっ、あたしの単純な考えで本当にいいの?」
「シンプルだけど効果的だと思うんだよ」
「舞美はバカみたいに単純だけど、だからこそ本質をつくんだよ、とか言って」

二人に褒められたあたしはつい調子にのった。
「こういうの、英語で take care of って言うんだよね」
「なにそれ?」
「take it easy じゃない?」
「そうそれそれ。めぐ凄いじゃん、とか言ってw」

ちょっと前が嘘のように三人で明るく笑いあった。
お嬢様も早くこの笑いの輪に入っていただけたらいいな。
そう思いながらあたしはジョギングに出かけることにした。



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