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唇を弄っていた指が、歯をなぞって中に入ってくる。

「ぅ・・ん」
「歯、立てないで。大丈夫だから」

えりかさんの声は近いような遠いような不思議な響きを帯びながら、耳を熱く掠めていく。舌の上で指が踊って、出したくもない変な声が漏れる。

「もう少し・・ごめんね」

眦に触れた唇が、零れ落ちる涙を掬い取ってくれた。


「ウフフ・・・」
「どうしたの?」

唇と胸から、えりかさんの手が離れる。少し不安そうな顔をなさっていて、私は慌てて「違うんです」と言葉を繋いだ。


「ごめんなさい、何か、嬉しくて」
「嬉しい?」
「何か、今日の千聖はえりかさんの恋人になれたみたいで・・・」


思い切って言ったものの、えりかさんの反応が怖くて語尾が萎んだ。
今日はいつもの触れ方とは違っているから、調子に乗ってしまったのかもしれない。
でも、私を落ち着かせたり気持ちよくさせてくださるだけじゃなくて、えりかさんも楽しんでいらっしゃるような・・・それに、今日はいっぱいキスをしてくださるから、そんな都合のいい思いが浮かんだのだと思う。

うつむいてまともに顔を見れないでいると、えりかさんが下から私の顔を覗き込んだ。少しずつ距離が縮まって、また唇がくっつく。

「えりかさん、」
「言ったでしょ、千聖はえりのだって。」
「・・・舞さんも、いつも千聖に同じことを言ってくださるわ」


「ええっマジですか!・・・・・・じゃあ、舞ちゃんと共有ってことで」


えりかさんの大げさなリアクションに和んで、顔を合わせて笑ってしまった。・・・でもきっと舞さんは、そんなことは認めないって怒り出しそう。


「続き、してもいい?」
「ええ。・・・えりかさん、今日、爪が随分短いですね・・」

さっきまでは気づかなかったけれど、いつも大人っぽく四角い形に揃えられているえりかさんの爪は、指との境目ぎりぎりまで丸く切られていた。
同じ形にしたくてこっそり伸ばしていた自分の爪が、置いてけぼりになってしまったみたいで少しだけ淋しい気がした。


「うん、まあね。これぐらい短くしておかないと、千聖が・・」
「え?」


聞き返そうと顔を上げかけた時、突然、無意識に腰がビクッと跳ねた。
えりかさんの指が、ソコ、にあてがわれていた。
お湯の中で踏ん張りの利かない足が、もたもたともがく。


「やっ・・・えりか・・・・」
「ダメ?」

その場所に触られるのは初めてではないけれど、普段とは違う気がした。表面を指で擦るいつもの行為ではない、細やかな指の動きになんとなく不安を覚えた。

「なるべく痛くしないから・・・」

片側の手で私を抱き寄せて、髪にキスをくれる。身長の低い私の目線には、えりかさんの胸。ただ大きいだけの私のとは違って、白くて形が良くて、うらやましい。甘えるように顔を埋めると、柔らかい感触に包まれて心地良い。

ボディソープで洗ったばかりなのに、えりかさんの胸からは、薔薇の香りが仄かに感じられた。いつも使っていらっしゃる練り香水の匂いは、もう肌に馴染んでいるのかもしれない。何となく安心感を覚えて、えりかさんの背中に手を回して目を閉じる。

「嫌だったら言って、すぐやめるから。痛いのもちゃんと言って」
「・・・はい」

動きを止めていた手が、何かを探るようにその場所を這う。くすぐったさで体が強張る。


「千聖、ちょっと力抜いて」

肩を抱いていた手が、すっかり敏感になってしまった胸の先を摘んだ。

「・・・っ!やっ・・・待って・・・」
「落ち着いて、怖くないから」

下に添えられた指の動きが変わった。
感じた事のない違和感と、少しの痛み。えりかさんが私のそこに、指、を入れようとしている。

「痛い?」
「少し・・・。でも、大丈夫、です」
「続ける?」
「・・・・はい」
「わかった。じゃあ、難しいかもしれないけど、もうちょい力抜いて・・・」


腰を掴まれたり胸に触られると、体がビクンと跳ねて動かなくなる。えりかさんはそのタイミングを計って、指を押し入れているようだった。少しずつ圧迫感が深くなる。
お湯に浸かっている体はぽかぽかしているのに、えりかさんと繋がった部分は冷たいような熱いような、不思議な感覚だった。


「・・・千聖」
「んっ」


食まれた耳が熱っぽく疼く。えりかさんは私の反応に満足したのか、ほんのり笑って「繋がってるとこ、見る?」と囁いた。

「う・・・」

さすがにそこまでの勇気はなく、無言で首を振る。特に気分を害したようでもなく、えりかさんはうなずいてまた私を抱き寄せてくれた。

「・・・」
「・・・」


それからしばらく、えりかさんの指が体の中に入ったまま、無言で寄り添って観覧車を眺めた。
気まぐれに顔に降ってくるキスが気持ちいい。ただただ幸せで、ゆるやかな時間が流れる。

「髪、伸ばすのやめちゃったの?」
「ええ。短い方が千聖らしいのかしらって・・・あ・・・」

頭を撫でてくれるえりかさんの手を取って指に触れたとき、ふとあることが頭に浮かんだ。


「ん?どうしたの」
「いえ、あの・・・爪が」
「爪?ちょっと、何で顔赤くなってるの?気になるじゃーん。ちゃんと最後まで言ってよー」
「その、えっと・・・今日あの、千聖に、だから、・・・・切ったのかな、っておもって」

何て言えばいいのかわからなくて、かなり噛んでしまったけれど、えりかさんは私の言わんとすることをわかってくれたらしい。


「ていうか、遅っ!今気づいたの?千聖ぉ」
「あ、あのそんな、だって、まさか、えと、そんな・・・ンッ」

慌てて体を捻ったことで、体の中で馴染んでいたえりかさんの指の感触が内側で蘇る。


「そろそろお風呂上がろっか。のぼせちゃいそう」
「ふぇ・・・は、はい・・・」
「じゃあ、とりあえずいったんここで」
「あぅっ・・・」


浴槽から出るのかと思いきや、えりかさんは私の背後に回って、最初と同じように抱きかかえてくれた。空いていた手がゆっくりと下に伸びて、私の敏感な外側のところに触れる。


「あっ!んっ、んぅ・・・」
「大丈夫、もう少し力抜いて・・・千聖可愛いよ」

内側と外側で連動させているかのように、指が動く。もう痛みはなく、耳元で「可愛い」と言われる度に、おへその下あたりがむずむずと反応する。えりかさんの腕の中で、今までも何度も味わった感覚。


「あぁ・・・あ、え・・り・・・・・や、ぅ・・ぁ」

もはや自分が何を言っているのか、よくわからない。体のあちこちが緊張し始めて、目の前の観覧車が滲んでぼやけて、眩く点滅している。


「可愛いね、千聖」
「――っ!!」


もう何も考えられない。あふれ出しそうな声を必死で抑えても、バスルームには私のはしたない息づかいとお湯がかき回される湿った音が反響する。

「あぁ・・・・」
「千聖?」

ゆっくりと体から力が抜ける。体から圧迫感が消えていくのをぼんやり感じながら、徐々にえりかさんの声が遠ざかっていった。



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