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「ち~さ~と~!いつまでそこにいるの!」
私はすりガラスの向こうでモジモジしている人影に呼びかけてみた。
私達は今、箱根の小さな旅館にいる。
キュートで雑誌の撮影があり、一泊してから明日の早朝に帰るという日程になっていた。
お風呂は温泉だったけれど、ちょっと小さかったから、2、3人ずつに分かれて入ることにした。
「あ、じゃあ私千聖といっしょに入りたいなあ。」
私は挙手と同時に千聖を抱き寄せてみる。
別に深い意味があったわけじゃなく、なんとなく恥らうお嬢様と一緒に温泉に入るというのをやってみたかった。
「え~・・・私も千聖と一緒がいいよう。」
「栞菜と愛理はいっつも千聖を独占してるでしょ?今日は私が阻っ止ー♪」
「もーしょうがないなぁ。千聖、えりかちゃんが変なことしてきたら大きい声出すんだよ?すぐ駆けつけるから。」
「変なこと?まぁ、何かしら。」
栞菜め。前にお風呂で散々アレコレしてやったことを根に持っているな。
結局私と千聖のコンビはジャンケンに負けて、順番は一番最後になった。
「えり、珍しいじゃーん。」
一番風呂のなっきぃ舞ちゃんを待つ間、大部屋でゴロゴロしていたら舞美が横で一緒にゴロゴロ転がりだした。
「ちょっと千聖とコミュニケーションを取ろうと思っただけだよ。そんな変?」
ゴロンゴロン回転している私達の目には、雑誌を見ながらはしゃぐお嬢三人組が映っている。
「変じゃないけーどー」
「うほっ」
同じ方向に転がっていたはずの舞美がいきなり向きを変えてきたから、私はもんどりうって舞美に覆いかぶさる。
「ちょっとーえり!やめろよー!」
「舞美が誘ったんだろうがぁー!こうしてやる!」
そのままミャハミャハ言いながら舞美とラミラミしていると、痛い視線が突き刺さった。
「千聖・・・やっぱり私達とお風呂入る?」


「お待たせー!うめちさ温泉行っておいで。気持ちよかった!」
「じゃあ行こっか千聖。」
「もう、本当に約束だからねえりかちゃん。千聖はピュアなんだから、絶対何にもしないでね!」
珍しく食い下がってくる愛理をなんとか説得して、私は千聖を連れ出した。
「二人でお風呂とか、初めてじゃない?」
「え?えぇ・・・そうですね。」
さっきのラミラミが気がかりなのか、若干体を離されているような気がしなくもない。
「もー千聖!何にもしないから!ね?ほらさっさと脱いじゃいなよ!」
脱衣場でブラ一丁のまま、千聖を追い掛け回す。
「あの、あの、大丈夫ですから。私自分で着替えますからぁあ~」
泣きそうな顔ですばしっこく逃げられる。運痴の私ではかないそうもない。
「わかったよー。じゃあ先に入ってるね。」
ここで騒がれたら、本当に栞菜たちが来てしまうかもしれない。
千聖を安心させるために、さっさと素っ裸になって洗い場へ行った。
「千聖―?風邪引いちゃうよー」
「はい・・・」
控えめに擦りガラスを開けて、バスタオルをきつく巻きつけた千聖が入ってきた。
小麦色の柔らかそうな腕が、胸元でキュッと結ばれている。
可愛い。思わず凝視していると、怯えた顔で千聖はまた一歩ずつ後退していく。
・・・舞美、どうしよう。私もしかして、新世界に行ってしまうかもしれない。
「大丈夫。おいで、千聖。一緒にお風呂入るんでしょ?」
「入ります・・・」
「いい子だね。」
こんな変態オヤジが出てくる漫画あったな、とか思いながら、私の指は千聖のバスタオルに伸びていった。



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