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土曜日の朝10時。
家を出る際に舞ちゃんと栞菜がしつこい位に迫って来たけど何とか誤魔化してお屋敷に
着いた。門の前にはワンピース姿のお嬢様。

「おはようございます。お嬢様」
「おはよう。なっきぃ」
「そのワンピース…私が」
「ええ。今年の誕生日になっきぃにもらった物よ。こんな晴れの日に着る事が出来るなんて
思わなかったわ」
「もう、大袈裟ですよ。それで駅まではどうします? タクシーを呼びますか?」
「家の車に乗って行きましょう。運転手さんも快諾して下さったし」
「わ、私、高級車に乗るの初めてです!」
「そういえばそうね。寮生の皆さんを乗せた事ってないわ」

慣れた感じで車に乗り込むお嬢様に倣って私も車に乗り込んだ。高級感漂う革張りの
シートに思わず頬が緩むのが分かる。
だって私の家の車というと最近になってやっと軽を買ったんだもん。今までは“中島
牛乳”と印字された配達用トラックだったんだよ!
……やめよう。何だか虚しくなってきちゃった。

「ねぇ、なっきぃ。今日の予定はどうなっているのかしら?」
「あ、はい。開場時刻に劇場に着くのでそのまま劇を見た後にお昼をと思ってて。
その後少しウィンドウショッピングなんかも考えてるんですが……」
「ほんとっ?! お買い物をしてもいいの?!」
「折角の機会ですから少し位はいいんじゃないかと思って。人が多い場所ですから
前みたいな事が起きる可能性も低いでしょうし」
「ありがとう♪ なっきぃ♥」

お嬢様にぎゅっと抱きしめられて身動きが取れなくなる私。
あ、既視感(デジャヴ)。……と思ったんだけど一番最初のお願いの時に体験してたや。

「あ、なら“お嬢様”と呼ぶのも控えないといけないわね」
「……………え゛っ?」

私から離れながらお嬢様が呟いた思いがけない言葉に絶句する。
……それだけは勘弁して下さい、お嬢様。私なりのけじめなんですから。



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