※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

前へ


“ジャー●ネットジャーパ●ット・・・”


おなじみのあの曲が奇妙に転調された、妙に明るい歌声がパソコンから流れる。

「キュフ・・・キュフゥ・・・・」

妙な高揚感と緊張感で、顔が弛緩しているのがわかる。・・・なにやってんだ、私。まったくもってけしからん。こんなことだから、“最近のnkskにはおちんちんを見せたくない”とかいうスレがどうたらこうたら

「・・・まあ、そんなことより」


歌が終わったあと、パソコン画面には、上半身裸の女の人と、見るからに怪しげなスーツの男の人が、とある道具を片手に談笑している姿が映されている。

そう、私が今現在手にしているのと同じ・・・・


あのエロDVD騒動からしばらく経つけれど、あいかわらず私が通っている高校のクラスでは、エログッズやエロ本の回し合いが行われている。
ここんとこ、頭の中ほとんどエロス状態とはいえ、私はまがりなりにもアイドルだから「こういうのは不潔ケロ!」と表向きはきっぱり拒否していた。なのに、またしても、入っていたのだ。机の中に、なぞの物体Xが。

捨てればよかったのに、またしても好奇心に勝てなかった私は、それをこっそりスクールバッグにしのばせて、そしらぬ顔でダンスレッスンまで受けて帰ってきてしまった。

「うー・・・・」

ロッカーでカバンひっくり返したり、電車の中で倒れたりするようなアクシデントがなくてよかった。さすがにこれはバレたらまずいだろう。
私はあらためて、手の中で小刻みに振動するそれに目をやった。

一見、指に装着するタイプのマッサージ器具に見える。だけどインタ(ry)でいろいろ調べた結果、どうやらいやらしいことに使うものだということが判明した。さらに、使用法が詳しくわかるサイトまであると・・・。
そして、私は午前0時現在、探し当てたその動画に見入っているというわけだ。

“これは、装着が簡単で・・・”
“プレイ中は絶対に手から外れない・・・・”

画面上では、本家のあの人を真似た口調で、うさんくさい男の人の商品説明が始まっていた。

――へ、へー・・・なるほど。様々な形状のアタッチメント・数種類の振動を組み合わせるとこにより、幅広い快感を追求できる画期的な商品ナリね・・・。これを使えば誰でもAV男優並みのフィンガーテクに!というわけケロ・・・

私はさっそく、それを指に巻きつけてみた。ほうほう、女の子にも使いやすいように、サイズの調節もできるとは気が利いているケロ。


「キュフフフ・・・」


指を振るわせる器具を、胸元に近づけていく。

「んぁっ」

私の世界で一番熱いエンジョイドリームナイトはここから始まった。


*****

「ねえ、なっきぃ」
「ん?な、なあに」

それから数日後、遠方での仕事を終えて、一泊して帰る日の夕食時。
隣に座っていた愛理が、ふと箸を止めて、私の顔をジッと見つめてきた。


――最近わかってきたけど、愛理は多分、結構S寄りだ。ふだんはあののほほんほんわりな笑顔やしぐさに隠されてるけど、ふとしたとき・・・つまり今ですけど・・・・に、それが垣間見られる。私は動揺を悟られないよう、ちょっとかしこまった顔をしてみせた。

「ケッケッケ」
「なんだよう」

「いやぁ~、なんかぁ、最近なっきぃ綺麗になったなぁって」
「そ、そう?嬉しいなあ。キュフフフ」
フツウに褒められているような気がしなくもないけど、どこか含むような言い方が引っかかる。考えすぎかな?でも・・・


「何か、色っぽくなったよね。秘訣でもあるのかなーなんて。例えば毎晩・・・」
「な、ないよ!全然!んなこたぁない!」

慌ててちょっと大きな声で遮ると、千聖や舞ちゃん、舞美ちゃんの視線までこっちにきてしまった。


「どうかしたの?」
「んー?何かね、最近なっきぃが綺麗になったから、毎晩スキンケアとかどうしてるのか聞いてただけだよ?ケッケッケ」
「ス、スキン・・・はぁ、さいですか」


とかいいつつ、愛理はそのまま私との会話を中断して、パスタをフォークに絡める作業に戻ってしまった。・・・うーん。考えすぎなのか、はたまた愛理になにか意図があったのか。
実際、今日の私は相当ナーバスになっていると思う。なぜならば・・・



***

「キュフフフ…!」

食後、ホテルの部屋に戻った私は、ベッドにダイブしてコロコロ転がった。
同室の千聖は、今スタッフさんと話をしているから、ここにはいない。誰もいないんだから、こそこそする必要はないんだけど・・・カバンをうっすら開いて、私は目的のブツを取り出した。

あの日から、毎晩お世話になっている私の相棒・・・フィンガーなんちゃら。これ、すごいんですよ。これで体のいろんなところを触るとあれでそれでこうなってですねぇ
今日みたいに仕事を全力でやりとげた日は、なぜか興奮度がものすごい。というわけで、千聖が帰ってくる前にファイト一発しておこうと、いつものようにスイッチを入れた。
ベッドに横たわって、窓の外を眺める。指の震えに、無意識に唇に笑みが浮かぶ。こらあかんで。

「キュフウ・・・」

こんなことばっかしてて、本当にいいんだろうか。でも愛理が言うように、もしこれで本当に綺麗になれているなら、そう悪いことでも・・・でも・・・
「んっ」

じわじわと体が熱くなってきた、その時だった。


「・・・早貴さん?」
「フギャッ!」

いきなり、耳のすぐ側で名前を呼ばれた。
警戒心の強い猫のように、私はコロコロ転がって、侵入者――っていうか千聖と距離を取った。

「ず、ずずずずいぶん早かったね!おかえりなさい!キュファア!」
「ええ、数点確認事項があっただけなので・・・あの、それより」

千聖は少し眉をひそめて、私に近づいてきた。フィンガーなんとかを装着したままあとずさるも、もう壁は背後に迫っている。

「こ、こないで!千聖!」
「えっ」
「あ・・・あの、その、なっきぃ今日、風邪引いてるっぽいから!移っちゃうから!ね?」


「まぁ・・・」と千聖は吐息混じりに声を漏らした。とっさの私の詭弁を信じてくれたみたいで、少し体を遠ざけてくれた。
嘘をつくのはしのびないけれど、この状況では仕方がないような気がする。私はほっと一息ついた。だけど


「それなら、私、マネージャーさんにお薬をもらってくるわ。あと、体温計も」
「へえっ!?待ってそれは困る!」

あわてて後ろででフィンガーなんちゃらをはずそうとするも、焦りで手がすべってうまくいかない。

「でも、ほら、汗がにじんでいらっしゃるわ。お顔も赤くなっていますし・・待ってて、早貴さん」

千聖はくるっと後ろを向いて、ドアの方へ駆けていこうとした。
「だめー!」
「きゃああ!?」

とっさに後ろから千聖に飛びつく。そのままバランスを崩して、ベッドに倒れこむ。

「あ、ご、ごめ・・・」

体を離そうとして、とんでもないことに気がついた。うつぶせになった千聖に、馬乗りになっている私。その、怪しい器具をつけたままの手が、千聖のおっきなお胸の、一際感覚のするどいところに押し当てられていて・・・

「ちさっ」
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

千聖はお嬢様らしからぬ甲高い奇声を上げて、大きく仰け反ったかと思うと、バタッとシーツに沈んだ。

「ひ・・・ひいい!」

その振動はMAX。アタッチメントは“最狂”。わ、わたし、何てことを!やっと千聖の体の下から引き抜いた指の、そのスイッチを切ろうとしていたら、いきなりクローゼットのドアが“バンッ!”と音を立てて開かれた。

「な、なーかーじーまー!!!おーまーえー!」


突っかけ棒を握り締め、顔を真っ赤にして出てきたのは、舞ちゃんだった。

「へ、変態・・・・!」
「誰が変態だ!変態はなっちゃんだろうが!舞は千聖が部屋でどう過ごしてるか確認するために待ってただけだし」
「ていうかやっぱり変態じゃん!私のは事故だけど、舞ちゃんはストーカーじゃないっすか!」

むきになってそう言い返すと、舞ちゃんは一瞬ものすごい形相で私を睨んだ後、なぜかニヤーッと笑った。
「な、なに?」
「・・・・舞美ちゃんと愛理にいいつけてやる。千聖のつわり騒動の時、“なっきぃだけは千聖と清い関係でいるケロ”とか言ってたくせに、なんだこれは!一番ひどいじゃん!
なっちゃんが千聖を怪しげな器具で弄んでたって報告してやるんだから!そうだ、えりかにも言ってやろーっと」

舞ちゃんはピクリとも動かない千聖の髪を一撫でして、ドアの方に顔を向けた。

「待って待って待って!話せばわかる!」
「ちょ、やだ!離してよ!」

今ここで、おかしな話を広げられたら困る!
比較的非力な舞ちゃんなら、私でも押さえつけることができると判断して、いつも舞ちゃんと千聖がやっているプロレスを参考に、はがいじめにしてみた。

「離せコラー!舞に勝とうなんて100億万年早っ・・・・!!!???」

必死に私を振りほどこうとしていた舞ちゃんの動きが止まる。まさか・・・

おそるおそる自分の右手の位置まで視線を下げる。
今だすごいモーター音を上げ続けるそこは、舞ちゃんの舞ちゃんをガッチリとらえていた。

「びゃああああ!」
「びええ!」

舞ちゃんも、その場にガクンと崩れ落ちてしまった。お・・・恐るべし、フィンガーなんちゃら!可愛い妹分二人を、まとめて瞬殺してしまうなんて・・・。


「あわわわ・・・」

とにかく、どうにかしないと。私は毛布を引っ張って舞ちゃんの体にかぶせた後、千聖の元に駆け寄った。
「千聖!千聖!しっかりして!大丈夫?」
「う・・・」


体を揺すると、枕に突っ伏したままの顔がふるふる動いて、私の方へと向けられた。

「しゃきしゃん・・・」
「待ってて、今、飲み物を・・・」


カバンをさぐろうとする私の手首を、小さな千聖の手が捕まえた。


「早貴しゃん・・・」
「は、はい」
「ウフフフフ・・・早貴しゃん、しゅごい・・・」

いつものやわらかくて優しい表情は消えていた。千聖は切れ長の目をギラギラ光らせて、私の首筋に顔を埋めた。


「あわわわ・・・」
「ね・・・さっきの・・・もっと・・・」
「キュフゥン!」

耳元でそうささやいて、甘噛みのオマケつき。どこでこんな技を・・・えりこちゃんめ!


「あん・・・ダメだよ、千聖・・私は千聖とそういうことは」
「さっきの、してくださったら、私、内緒にするわ・・・。舞美さんにも、愛理、にも・・・。ね、だから・・・」

―-―つまり、ワシの言うとおりにせえへんかったら、チクッたるでぇっちゅうことか!あぁ、いつからそんな子になったの千聖!

「早く、早貴さん・・・」
「うーっ・・・」

なぜか、逆らう気力がどんどん失われていく。りーちゃんがよく言う、“千聖の魔法”。一度捕らえられたら、もう抜け出すことは難しいみたいだ。

「ギュフゥ・・みぃたぁん、愛理ぃ・・・」

私は半泣きで、おそるおそる手元のスイッチに手を伸ばした・・・。


次へ

TOP