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「阻止……だね」
「阻止……なんだよね?」
「阻止……です」
「私は興味「本当にあるの?」
「す、少しだけ。怖いもの見たさ?」
5人が見つめるその先には小柄な人物が一人。
別に怪しい人物ではない。私達は勿論の事、全校生徒が知っている人物。
“生徒会副会長・清水佐紀”
えっ? 何で見つめる必要があるのかって? 彼女が今いる場所と行動が問題なの。
場所は家庭科室。ブタのキャラクターがプリントされたエプロンに身を包んだ彼女は……
バレンタイン用のチョコを作成していた。
◇ ◇ ◇
「好きこそ物の上手なれ……だったら良かったんだけどね」
「佐紀ちゃんの場合は下手の横好きなんです。とゆいたい」
「でもさでもさ、本当にそのヤバ……美味しくないの?」
「被服はそこそこの成績だけど調理で成績をガクッと落とすから先生も困ってるとの情報
だカンナ」
「みぃたんに清水先輩の作ったオムライスを『从・ゥ・从<ガーッ!』されて気絶した事
あるけど?」
「ごめん。凄く納得出来たよ、なっきぃ」
あの時はさすがのみぃたんも本気でヤバイと思ったらしくそれから一週間は気味が悪い位
優しかった。
「っていうか茉麻が手伝ってくればいいんじゃないの?」
「言ったんですけど「一人で作るから!」って意地でも譲らなくて」
「阻止するボーダーラインの基準は?」
「出来れば私達も被害に遇わない方向で。最低ボーダーはお嬢様」
「でもお嬢様、炒飯……食べてるんだよね」
「一口食べたら泣き出したから強制終了させたらしいよ」
「あっ! チョコを溶かすみたいだよ」
「って刻みもせずに鍋に直接なの!?」
「傍らに本を置いてる意味無いよね」
「みぃたん! 何か策は無いの?!」
「う~ん。出来たチョコを佐紀につまみ食いさせるとか?」
「愚策じゃないですか?」
「清水先輩のチョコと同じチョコを私達が作るのはどう?」
「「「「えっ?」」」」
「だから包装紙も同じのを使って見た目も全く同じチョコを作って…」
「成る程。それだったら清水先輩に自然に返せるわけか」
「でも全員が全員同じだとさすがにバレると思うんだけど」
「ん~~。どうし「あれ? そんな所に座り込んで何してるの?」
「「「「「!?」」」」」
頭上から声が聞こえて思わず振り返った。其処にはにこにこ顔の清水先輩が立っている。
……しくじった。あまりにも作戦会議に夢中になり過ぎて監視を怠っていた。しかも咄嗟
の言い訳が出てこないし。
「え…いや…あの~」
「まぁいいや。ねぇ時間ある? 試食していかない?」
“試食”
その言葉に5人が顔を見合わせる。それが何を意味しているのか分かってる私達。
頷き合って出た返事は……
「「「「「戴ける分だけで十分ですッ!!」」」」」
「あ、そう……」
心底残念そうにしている清水先輩を残して私達はその場を後にした。
誰も何も言わないまま須藤先輩と別れ寮に着いてからもお嬢様に声を掛けられるまで4人
共そのままだった。
……ミッション失敗。果たしてどんな結果が待っているんだろう。
運命は全て清水先輩のチョコに懸かっている。
川´・_・リ<あのあと結局一人で全部食べちゃったから市販のだけど
从*・ゥ・从ノソ*^ o゚)从o゚ー゚从州´・ v・)ノk|‘-‘)<(神様がいたッ! ありがとう神様ッ!!)
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最終更新:2011年04月23日 08:25