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来ると思ってた。うん、確実に。
けど本当の事は言えない。いや言っていいんだけど半分本当で半分嘘。
だってさ……

* * *

『犬飼ってるんだって? 名前はッ!!名前ッ!!
っていうか飼い始めた時に教えてよ!!』

えりかちゃんのブログの回答の流れで(詳しくはブログで!)来たメール。
飼い始めた時にすぐ教えておけば良かったのかもしれないけど何となくメールする事が躊
躇われた。……っというか私からメールってしなくなった。
気にする様な仲じゃないのにね。強い“絆”でまだしっかりと結ばれてるのに。

「ねぇ、名前教えてだって」

足元にいる愛犬に声を掛ける。こげ茶で目を細めるとあの娘に似ている子。
……それが名前を教えるか否かの悩みなんだけどさ。

「取り敢えず表向きの名前だけでいいよね」

◇ ◇ ◇

“カゲツナ”

お婆ちゃん家の猫が“マサムネ”だから有能な家臣だった片倉景綱からなんてのっちが聞
いたら喜びそうなこの子の名前の由来。その時はあの娘に似ているなんて全然思わなかっ
た。

「ちょっとカゲ! 靴が履けないってば!」

一緒に散歩に行くのはほとんど私。それをカゲツナも理解しているらしく靴を履こうとす
る度に足に纏わり付いてくる。私は何時もそれをボールを投げて気を逸らさせる事で何と
かしてたんだけどこの日は違った。

「ほら! 取っておいでッ!!」

軽く投げたつもりのボール。けどそれは玄関を越し階段にまで行ってしまった。
そんな事はお構い無しで駆けて行くカゲツナ。ボールを咥えてこちらに戻って来ようとし
た瞬間と私が振り返った瞬間がぴったり合って私はその光景を目の辺りにする。

カゲツナが……階段から落ちた。

その時に思ったのはカゲツナの事ではなく別の事。
慌てて頭を振って母親に階段から落ちた事を伝えると頭を打っているかもしれないからと
動物病院に連れて行く事になった。当のカゲツナは平気そうな様子だったけど念には念。
幸い異常はなさそうとの事で私が診療代を払いそのまま家に帰った。
けど異常があったんだよね。うん、思っている通りの事だカンナ。

それまではどうしようもない程のやんちゃっ子でいわゆるダメ犬の部類に入ってた。
トイレは覚えない。噛み癖はある。リードをぐいぐい引っ張る。etc…
それが一変。物覚えが良く従順な子に。親はその事に関して喜んだのだが問題は私。

どうしても重なっちゃうんだよね。千聖と千聖お嬢様と。

気付いたらもう遅くて私だけの時はチサトと呼ぶようになっていた。って言うかチサトっ
て呼んだ時の方が反応が良いのも困るんですけど!?

「チサト。お手!」「ワン!」
「チサト。おかわり!」「ワン!」
「チサト。伏せ!」「ワン!」
「チサト。チn(略)!」「ワン!」

愛理並の妄想力を持っていた事もあってか最近だと犬の着ぐるみを着た千聖お嬢様に脳内
変換されるようにまでなってきちゃったし。
いや、まぁ、それはそれでおいしいんだけど♪

◇ ◇ ◇

「カゲツナだよっと。ほらカゲ、写真も一緒に送るからこっち向いて」
「………」
「チサト」
「ワン!」



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