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「ん、ん、ん」
唇を噛んでるのか、少し篭った声が聞こえる。
嘘みたいだ。これは間違いなく、今から私が始めようとしたアレ、だろう。
しかも、それをしているのは私よりずっとエッチ系の話に疎そうな・・・・・

「千聖。」
「きゃぁっ!?」

やっぱりそうだったんだ。何だか笑いがこみあげてきた。
「千聖もこういうことするんだね~ケッケッケ」
私だとバレないように、変な裏声にしてからかってみる。
「あ、あの、愛理・・・・」
バレた。
まあそれはいいや。まさか千聖がこんなことをしてるとは想像もできなかった。
昨日の妄想の続きでは、梅さん、栞菜、早貴ちゃんあたりまでは怪しいと思ってたけど。
ちさまいコンビと舞美ちゃんは完全に除外していた。
お嬢様な千聖はもちろん、前の千聖でもありえないことだと思っていた。
「舞ちゃんの髪型、うんちみたい~ギャハギャハ」
とか言ってた子が、いじるだろうか。自分の大事なところを。

「ねぇねぇ、千聖。今なにしてたのぉん?」
裏声をやめたら、興奮の余韻で声が裏返った。やだ、これじゃ変態みたいだ。
「ご、めんなさ・・・愛理お願い、誰にも言わないで」
ひどく動揺してるみたいで、ヒクッとしゃくり上げる声が聞こえた。
「大丈夫。私誰にも言わないよ。安心して。」
泣かせるつもりじゃなかったから、ちょっとあせった。
そもそも誰かに言うつもりはなかったし、かなり驚いたけれど、中学2年生トリオ全員が同じヒミツを持ってるのが少し嬉しかった。
「私先に行ってるね。千聖、本当に内緒にしておくから。早く戻っておいで。」
こういう状況で、私の顔なんてみたくないだろう。急いで手を洗うと、楽屋に引き返していった。
あまりに大きな衝撃があったからか、とりあえず私の悶々は収まっていた。

「ただいま~」
「あっ愛理。千聖見なかった?トイレ行くって言ったきり、戻ってこないんだよね。一番近いトイレは覗いてきたんだけど、誰もいないし。違うトイレかなあ。」
ドアを開けると、舞美ちゃんが話しかけてきた。
「だから~うんちっちなんじゃない?見て来ようか?」
えりかちゃんが探しに行こうとするのを、慌てて止めた。
「ああ!千聖なら、さっきスタッフさんと喋ってた。私見たから、大丈夫だよ。」
危なかった。えりかちゃんを信用してないわけじゃないけれど、取材で箱根に泊まった日から、千聖とえりかちゃんの間には変な空気が流れている。
誰もそのことについて触れちゃいけないような、むゎんとした空気。
今の千聖のところに行かせるのは、少し危険な気がした。
「そか、まぁまだ時間あるしね。」
えりかちゃんはあっさり引き下がると、また隅のほうでなっきぃ達とおしゃべりを始めた。

「ねぇ愛理、何かご機嫌じゃない?さっきよりお肌ツヤツヤしてるし。」
再びメイク直しをしていると、栞菜が体を寄せてきた。
「そう?普通だよー」
「愛理可愛い~」
「やーだ」
ジャレついてきたので、そのままキャッキャ笑いながら遊んでいた。

「あっおかえり千聖!ずいぶん時間かかってたねぇ」
突然、舞美ちゃんが立ち上がった。そっとドアを開けたのだろう、千聖が立っていた。
私も栞菜も気づかなかった。
「え・・・・えぇ、ごめんなさい遅くなって。」
「ねえねえ愛理、なんかちっさー目赤くない?スタッフに怒られたのかな?」
栞菜が耳打ちしてきたけれど、私は生返事しか返せなかった。
千聖は私の方を怯えたように見ているだけで、楽屋に入ってこようとしない。
「ちさ・・・・」
「おいで、千聖。」
私が千聖を迎えに行こうとすると、えりかちゃんが小走りに千聖の方へ向かていった。
肩を抱いて千聖を中に招き入れるえりかちゃん。
タイミング悪く立ち尽くす形になってしまった私の横を、2人が通りすぎる。
「!なっ・・」
「どうしたの、愛理?」
「ぇ・・・いや・・・・」

すれ違いざま、たしかにえりかちゃんは千聖にこう話しかけていた。


“気持ち良かったでしょ、千聖。”



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