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私のお姉ちゃんは、すっごく綺麗。
私のお姉ちゃんは、すっごく格好いい。
私のお姉ちゃんは、すっごく性格もいい。

そして、私のお姉ちゃんは、私の愛する人にすっごく好かれている。



「・・・おはよー」
「あら、舞さん。ごきげんよう」

ロッカーでレッスン着に着替えてダンススタジオに入ると、千聖がにっこり笑いかけてきた。


「早くない?なっちゃんより先に千聖が来てるなんて変な感じ」
「あら、そういう舞さんこそ。」
「舞は学校早く終わったから・・・って、あれ?」


正面に回りこんで、床に座り込んでいる千聖を見つめる。
すると、その膝元に大型犬・・もとい、私のお姉ちゃんこと舞美ちゃんが寝転がっているのがわかった。


「舞美さん、千聖がここに来たらもうすでに振り付けの確認をなさってて。しばらく2人でダンスをしていたのだけれど、舞美さんが休憩されるとおっしゃってたから、お膝を貸して差し上げているのよ」
「そっか。・・・疲れてるのかな」

舞美ちゃんは、今とんでもなく忙しい時期に入っている。
舞台で主演を勤めることになり、連日そのお稽古に追われている。しかも、コンサートのリハーサルも始まってしまったもんだから、傍目から見ても、かなり慌しくて大変な様子なのは一目瞭然だった。

「舞さん、そちらにあるピンクのタオル、取ってくださる?」
「あ、うん」

手にしたタオルで、千聖は優しく舞美ちゃんの顔から汗を吸い取っていく。
その感触にも、頭上の私たちの話し声にも耳に気づかないのか、舞美ちゃんは相変わらず気持ち良さそうにスースーと寝息を立てている。

ふと、千聖が短いため息をついた。


「もっと、舞美さんに負担を掛けないような存在になりたいわ・・」
「・・・別に、お嬢様の千聖は何も迷惑かけてないんじゃない?明るいほうはわかんないけどぉ」
「もう、舞さんったら」

舞美ちゃんの長い睫毛を翳らせる、前髪を優しく払いながら、千聖は微笑する。
ほぼ毎日顔をつき合わせていて、見飽きるぐらいその横顔を目に焼き付けているというのに、その表情はあまりみたことがないもので・・・なぜか、焦燥感を憶えた。


「舞美さんは、いつも私のことを気に掛けてくださるわ。
私が辛くて、どうしようもないときに、・・・前にえりかさんがしてくださったように、心を優しく抱きとめてくれるの」


――それ、エッチなことしてるって意味じゃないよね。とはさすがに聞けなかった。雰囲気的に。というか、舞の精神崩壊の危機的に。


なんてったって、千聖にはえりかちゃんの件で前科がある。いや、前科なのかすら疑わしい。継続中の可能性だってある。
だから、舞美ちゃんの重みで少し凹んでる千聖の太ももとか、無意識に千聖のふくらはぎを掴んでいる舞美ちゃんの手とかを見ていると、なんともいえないもやもやした気持ちになってしまうのは仕方ないことなんじゃないかと思う。


「で、でもさ、最近さ!」


そんな邪な気持ちを振り払うべく、私は少し明るめの声を出した。

「千聖、最近全然遅刻とかしなくなったじゃん。そういうの、舞美ちゃんだって地味に助かってると思うんだけどな」

ちょっとー!!!!私との約束には2時間遅刻っ!!!と騒ぐ脳内なっきぃの口にミカンを突っ込んで、千聖のちっちゃい頭をなでなでしてみる。


「まぁ、舞さん・・・私が最近時間に気を使っていること、気づいてくださっていたのね。嬉しいわ」
「あったりまえじゃん。舞の千聖なんだもん。何だって気づくよ」
「ムニャ・・・」

楽しげな私たちの空気に反応するように、舞美ちゃんも眠り込んだままふにゃっと笑った。


「・・・舞美さんは、とても我慢強い方だから。ダウンしてしまうギリギリまで、お一人で頑張ってしまうでしょう?
もし、お気持ちを吐き出すことが難しいなら、こうして千聖の肌のぬくもりで心が落ち着けばいいと思うのだけれど」
「は、肌のぬくも・・・うんまあ、わかるよ。舞美ちゃんは舞みたいに、こまめに爆発起こしたりしないもんね。それに、天然だけど繊細なところあるし」
「天然でいらっしゃるけれど、無神経とは全く違うものね」

「んん~?・・・天然、水?南アルプス・・」
「水じゃないし!」
「ウフフフ、舞美さんたら」

せっかく真面目に語ってたって言うのに、お姉ちゃんのおまぬけな寝言でうやむやになってしまう。



「・・・んま、舞たちは舞たちで、お姉ちゃんの手伝いが出来そうな事もっといっぱい考えようよ。愛理となっきぃも、きっと何かアイデア持ってると思うし。・・・千聖こそ、一人でしょいこまないでよね」

私がそう言うと、千聖は目をパチパチさせて「・・・私?」と首を傾げた。

「私は、あまり抱え込むタイプではないと思うのだけれど」
「うーそばっか!自分でわかってないだけだよ。・・・とにかく、舞美ちゃんのこともそうだけど、自分のこと追いつめないように気をつけなきゃだめだからねっ。そんで、千聖は舞がへこんでたらちゃんと気づいてよね。舞のものなんだから、それぐらいしてもらわないと」


照れ隠し半分で一気にまくし立てて、私はおもむろに千聖の肩口に頭を突っ込んだ。

「ひゃんっ」
「・・・さっそくだけど、舞ちょっとおつカレーライスだから癒してよねっ。膝はお姉ちゃんに貸してあげるけど、あとは舞のなんだから」

舞の、舞のと連発して見えない敵と戦いつつ、私は腕を絡めて距離を縮めた。
千聖の髪が自分の髪と混じって、千聖のシャンプーの匂いに包まれる。


「もう・・・ウフフ、何だか、大きなワンちゃん2匹に懐かれてしまったようだわ」
「犬なら千聖のほうでしょー?キャラ押し付けないでよねっ」


どさくさにまぎれて、私はわざと頭をずらして千聖のたゆんたゆんな胸に顔を押し付ける。

「キャッ!舞さんっ」

そのままおなかを辿って、足の付け根のところで動きを止めた。・・・大丈夫、変態じゃないので、顔は“そっち側”じゃない方向に向けている。
ちょっとだけお姉ちゃんのおでことゴツンしたけれど、どうにか私も千聖の膝枕にありつくことができた。


「もう・・・これでは、まったく身動きが取れなくないわ。舞さんたら」

そんなことを言いながらも、片方ずつ私と舞美ちゃんの背中を撫でてくれる手はあったかくて優しい。


「いい?ちしゃとぉ・・きょぉは許すけろぉ、これからはぁ、ひざゃまくらとかは舞のきょかがひちゅようで・・・」

――あ、やばい。これからレッスンだっていうのに、瞼が落ちてきた。
お姉ちゃんに千聖。2人の大好きな人の体温を感じていたら、予想以上に和んでしまったようだ。


「ウフフ・・・。時間になったら、起こして差し上げるわ」
「んー、あぃがと・・・」


よく寝付けるようにしてくれたのか、千聖の小さな手が私の瞼を覆う。



「・・・ちっさー、舞、寝た?」
「ウフフ・・・」


――ん?あ、あれ?何だか、お姉ちゃんの温もりが消えたような・・・


「ね、ちっさー、いい・・・?」
「・・・ええ、私も・・・。愛理たちが、来る前に・・・早く・・・」


――え?待って、一体何の話を・・・てか、起きてたのお姉ちゃん?


体を起こそうにも、なぜか千聖の手が触れている部分から、力が抜けていくような感覚。何だこれ、こういう漫画のキャラ、いたよね。じ・・・人造人間19ご・・・・

はっ!てか、もしかして、目を塞いでるのって親切心じゃなくてむしろくぁwせdrftg


「あは、ちっさー可愛い・・・ほれほれ」
「あん、ウフフフ・・・」


可愛いって何。あんって何。確実に何かが起ころうとしているというのに。舞のちしゃとだというのに。ありえない眠気が強くなっていくばかりだ。

「ち・・・ちしゃと・・・お」


定番の“千聖は魔女”というりーちゃんの言葉を脳裏に浮かべたまま、私はゆっくり眠りの世界へといざなわれていったのだった。



*****

(o・ⅴ・)<
リ*・一・リ <マッサージよ
从 ・ゥ・从 <そう、マジッサジーサジをしてげあげげてたの
(o・ⅴ・)<
リ*・一・リ <やましいことはなにもないわ(キリッ)
从 ・ゥ・从 <そう、やらしいことはなにもないよ。・・・あっ!
リ*・一・リ <もう、舞美さんたら

(o  ・  ⅴ  ・  )<


リl|;´∀`l|<最近舞ちゃんから1分置きに無言電話が来るんだよ・・・



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