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同じ色に染めた爪を、可愛いと言ってくれた。
色の薄い私の唇に、赤いグロスを指で引いてくれた。
その吸い込まれるような大きな瞳に、私を映してくれた。

誰にでも優しい、奔放なあの人が与えてくれる、大きな意味のない戯れ。
泡のようにすぐに弾けて消えてしまう、私の儚い幸せ。
それが私の心をどれだけ潤してくれるのか、きっと知らない。

そばに置いてほしいとか、私を選んで欲しいなんて、大それたことは臨んでいない。
たまに、ほんのひと時、私の世界と、あの人の世界が交わる。ただそれだけでいい。

報われなくても、一方通行でも、そんなことはどうでも構わない。
大人びた容姿から、無邪気な子どものように変化するその笑顔を
白くて細いうなじを滑る、褐色の髪を
誰の色にも染まらず、常に美しいものを選び纏う姿を、私はずっと見ていた。


憧れ、という言葉では納まりきれない。
だけど、恋心のように胸を締め付けることもない、不思議な気持ち。

大好きな、そして決して自分のものにはならないお気に入りの宝石を、ガラスケース越しに眺めているような感覚。


それでいい。
穏やかに、決して消えることなく燃え続ける、小さな蝋燭の炎のような思い。
私の永遠の憧れ。



手に入らないものは、綺麗。



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