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コールに合わせるように、スキップしながらステージに現れたのは、御存知我らが生徒会長・舞美だった。

「なんちゅーかっこうしてるんだ、アイツは・・・」

佐紀ちゃんのキャミ+ホットパンツもかなり刺激的だけど、舞美にいたっては、ギラギラシルバーのスパンコールがびっちりついたタンクトップに、同色の超ミニのフレアスカート。
長い足がこれでもかというほど強調されているというのに、艶かしさよりも精巧なフィギュアのような硬質の精度を感じさせるのは、舞美ならではといったところか。

「舞美せんぱーい!!」
「かっこいい・・・!!!」


登場から一呼吸置いて、大爆発のような黄色い歓声が客席を埋め尽くす。


「う・・・うるさっ・・・!」

中には半失神状態の子や、号泣している子までいて、外部のお客さんたちは何事かと苦笑して周りを見渡している。

あんまり表舞台に立つタイプではないとはいえ、情報の発信源である新聞部の端くれとして、学内における舞美人気の高さはもちろん知っていた。
でもどちらかというと、お顔が派目な梅田先輩とか、風紀委員長を兼務している中島さんとか、そっち系の方が声高に支持されているイメージがあったから、まるでアイドルのコンサートみたいなこの盛り上がりっぷりは予想外だった。


「え・・・えーと、ですね。こんばんはー!じゃなくて、こんにちは皆さん!生徒会長のまじまやいみ!じゃなくて、あの、えーとですねー!」

――おいおい、しっかりやってくれ!

親友の失態に軽いめまいを覚えながらも、私は反射的に、ポケットの中のデジカメとメモ帳を取り出していた。
これはいい記事になるかもしれない。なかなかのハプニングなんじゃないだろうか。

トラブルで舞台に上がれないBuono!に代わって、仲間たちが次々ステージを盛り上げていく。そして、ある程度客席があったまったところで、3人がバーンと登場・・・的な演出で。

「むふふ、発行部数、今回は増やしちゃうもんにー」

そんな独り言とともにペンを走らせていると、「それではちょっと1曲!」とカミカミな舞美の声が降ってきた。・・・おいおい、事情説明とか無しかい。
大方、千聖お嬢様とか、佐紀ちゃんとか、あの辺からどうにかして引っ張り出されてきたんだろうけど、衣装まで着込んで結構ノリノリじゃん。目立つ場も嫌いじゃないんじゃん。


「夏!夏!リップスティックきらめいて~」

軽快なギターサウンドに、舞美の粘りのある声がまったりと絡んでいく。
バックの佐紀ちゃんの躍動的なダンスが花を添えて、友達の贔屓目抜きに、マジで本物のアイドルのステージみたいだ。
生徒はもちろん、学外のお客さんたちも、その熱いステージにいつしか魅了されて、会場のボルテージはぐんぐんと上がっていく。・・・だが。


「舞美ちゃーん、少しは手加減を・・・」


間奏で、佐紀ちゃんと同様の振り付けを踊りこなして見せる舞美。さすが、運動神経抜群かつ努力家といったところだろう。
が、ダンスを専門的にやってる佐紀ちゃんとは違って、全てにおいて全力すぎる。
客席に向かって足を振り上げるセクシーな振りでは、これでもかというほどの大開脚。
キュートにお尻をくねっとさせる振りでは、腰から下の筋肉を駆使して、ばっこんばっこん下半身を動かす。
そのせいで、ふんわり広がるスカートの中身がチラリ。いえ、モロり。・・・舞美ちゃん、それ、見せパンですよね?

「・・・盛り上がりすぎっ」
「あれ、おかえりー」

さっきまでステージでわいわいとはしゃいでいた梨沙子が、眉をしかめてどすんと客席に腰を下ろした。

「私と熊井ちゃんだって、お客さんが醒めないように頑張ったのにさ。作戦20個ぐらい考えてたのに」
「まーだってさぁ曲がおかしいでしょー。でも、あれはあれで面白かったけどね」
「そーお?」

宥めてはみるものの、梨沙子の口はへの字にひん曲がったまま。

「どしたのー?まだ何か不満でも?」
「だってさ、みんな生徒かいちょーさんであんなにはしゃいじゃって。ここは夏焼先輩・・・いや、Buono!のライブ会場なのにさ」
「・・・あー、はいはい。なるほどねぇ」

どうやらヲタ心というのは、とても複雑らしい。
会場が冷え切ってもいけないし、かといってヒートアップしすぎてもいけない。
その辺も考慮しての、あの変な選曲だったとしたら・・・いや、そこまで考えてないか。もぉ軍団だもんな。


「今日はねっ、夏焼先輩が一番輝く日なんだからねっ!・・・あと、愛理と桃もだけど!そりゃあ 生徒かいちょーさんは美人だしカッコイイけど、夏焼先輩のぉ」
「わかったわかったりーちゃんっ、可愛い奴め!」

唇を尖らせ、ブイブイ文句を言ってる姿がやっぱりキモい。キモいけど、スネてる梨沙子の可愛さは異常。
私は梨沙子の頭をわしゃわしゃと撫で回すと、「後で、みやびの秘蔵写真あげよっかなー」なんて囁いてみた。

「本当ー!?」

拗ねたり、笑ったり。梨沙子は本当に気分屋さんで可愛いなあ。

よーし、こりゃ奮発して、みやびのお風呂ムービーでもつけてやろうかな、なんて、お調子者の私は密かにほくそえんだ。



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