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「栞菜・・・本当に、これを?私、何だか・・・」
「お嬢様が言い出したことじゃないですか。それとも、辞めておきます?」
「っ・・・子ども扱いしないでちょうだい!ん・・・」コクッ
「そう、ゆっくり飲んで・・・。あらあら、そんなにたくさん。可愛いお口からお汁が零れてるかんな。いかがですか、お味は?」
「うぅ・・・苦い、わ。それに、においが強くて・・・」
「じゅるり。慣れればそれがやみつきになるんですよ、お嬢様」
「そうかしら・・・栞菜は、その、大人なのね」
「光栄です、お嬢様。ほらぁ、まだ残ってますよ。ちゃんと最後まで啜って・・・ね?」
「んく・・・でも・・・こんなに熱くて、舌にもまだ苦味が・・・私、もう」
「しょうがないなあ、じゃあ、これ。この、白いの・・・ほら、見て。トロトロですよ。これをトクベツに、かんなが、お嬢様の・・・そこに入れてあげましょうか」
「そんな・・だって、それを入れてしまったら」
「でも、欲しいんでしょう?苦いの、我慢したご褒美ですよ。たっぷりあげますね」
「いいの・・・?」
「もちろん。お嬢様が、ちゃんと言ってくださるなら、ね」
「わ、わかったわ。栞菜・・・あの、ね。その・・・それを、私の・・ここの、中に、たくさん、注いでほしいの」
「はい、よくできました♪お嬢様、赤くなっちゃって可愛い。ではさっそく・・・」


*****

「ちょっと待ったあぁぁああぁあ!!!!!!11」

思いっきり開け放たれた食堂のドア。大きな目を限界までカッと見開いた萩原さんが、バレーの回転レシーブの如く、足元までゴロゴロと転がり込んできた。
後に続くのはなっきぃ。こちらはバールのようなものを片手に、泣きながらの高速ほふく前進。どこの戦場ですか、ここは。

「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!1111」
「萩原さん、人間語でおk」
「あ、あれ、てか、めぐもいたんだ。ひっく、グスン・・・て!てことはさ、ささささ3ぴ・・・!」


「何だよー、聞き耳立ててたの?すけべだなあ」
「お、おま、おまおまえ!よよよよくもお嬢様を」
「お、何だコラ。やんのかコラ」

栞菜のやっすい挑発に、なっきぃがふがふが鼻を鳴らして食らいついていく。・・・何このめんどくさいパターン。私、完全に巻き込まれたね、こりゃ。


「ウフフ、なっきぃったらあんなにはしゃいで、どうなさったのかしら。舞、こっちにいらっしゃい」
「ち、ちしゃと!!!早くその不浄なものを吐き出して!」

顔面蒼白、なのに顔真っ赤という面白い顔色の萩原さんが、にっこり話しかけてきた千聖に飛びつく。そのまま、つぼみのような唇に指を突っ込もうとする。

「え?な、何を言っているの、舞ったら。やめなさい、何をするの!私、一生懸命飲んだのよ!」
「だまされてるんだよっ、ふ、ふふ普通そんなもの飲むわけないじゃん!」
「まあ、舞も・・・苦手なの?ウフフ、千聖のことを子ども扱いするのに、かわいいのね。舞ったら」
「ちょっと、バカなこと言ってないで・・・って、あれ?」

いつになく慌てた様子だった萩原さんは、醒めた視線を送る私の存在にやっと気がついたのか、私の手元を見て固まる。


「・・・コー・・・ヒー」

「ええ。お嬢様は、食後のエスプレッソを嗜んでいらっしゃったんですが、何か問題でも?」
「コ・・・コオォォヒイイィ!!?」

壁際で、栞菜と醜い死闘に明け暮れていたなっきぃも奇声を上げて動きを止めた。


「私ね、お砂糖をたっぷり入れたカフェオレしか飲めなかったでしょう。でも、栞菜が、エスプレッソを勧めてくださったから。め・・・村上さんに入れてもらって、頑張って挑戦してみたのよ。
今ね、ミルクをたくさん注いでもらったから、何とか全部飲み干すことができそうなの」


「あ・・・そ、そう。そうで、すか・・・」
「もー・・・舞ちゃんが騒ぐからぁ・・・」


すっかり毒気を抜かれたなきまいコンビは、そろって大理石の床にお尻をついた。
対照的に、栞菜のエキゾチックなお顔には、まるで悪魔の人形の如く下卑た笑いが浮かんでいく。

「あれれぇ~?なになに??何だと思っちゃったのかなぁ???
あっ、もしかしてぇ、苦いとか白いのとか言ってたからぁ・・・きゃー2人とも℃スケベだかんなー!!うっひょー!」
「ちちちがうし!」
「違うってなにが?私まだ何のことだか言ってないけど?妄想膨らみすぎー!グヒョヒョヒョヒョ」
「ぐぬぬぬ」

――あー、なるほど。
これがやりたくて、栞菜は千聖にエスプレッソ飲ませている間中、妙な口調でねちねち絡んでいたわけですか。どこのAV男優かと思った。
栞菜ったら、人の特性に合わせていたずらを仕掛けるのが上手いんだから。
うっかり片棒担がされちゃったけど、ま、慌ててる萩原さんとかなかなかレアなもん見れたからよしとしましょう。


「村上さん。千聖、これで少しは大人になれたのかしら?」

空になったカップをこちらに傾けて、千聖がにっこり笑う。

「ええ。少なくともあの御三方よりは。え-と・・・二杯目は、カフェオレがいいですよね?もう御用意させていただきました」
「まあ、ウフフ。・・・そうね、いただくわ。村上さんが淹れてくれるコーヒー、とても美味しいわ。せっかくだから、少しお休みしてお飲みなさい」
「お心遣い、ありがとうございます。では、失礼して」

目の前で繰り広げられる本格派女子プロレスをお茶請けに、私と千聖は優雅な午後のコーヒーブレイクと洒落込んだのだった。


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