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「ありがとうございましたー!!」
ラストの曲が終わり、メンバーが手を振りながら舞台袖に捌けていく。

捌けるときに、桃子さんがこっちに手を振ってくれた。うん、確かにはっきりと。
ここまで桃子さんはがっつく桃ヲタさん達を完全に干しまくってるように見えたので、僕は内心彼らを「ざまぁw(僕は愛理ちゃんに爆レス貰ったもんね)」と思って優越感を持ってたのだが、最後の最後で桃子さんは彼らの相手をしてくれたのだろうか。
飢えた動物にエサを与えるようなその絶妙な彼女の行為は、それがもたらす効果さえも高度なまでに計算されつくしているような気がして・・・桃子さん、恐るべし。
でも、桃子さんのとったその行為の影響は、まわりまわって、というか直接的に僕にふりかかってくるのだ。
案の定、桃ヲタ達はそれで大興奮してしまって、僕の肩を使って飛び跳ねるわももちももち叫びまくるわ人の頭をサイリウムでたたくわで、非常にうざい。
おまえらのせいで愛理ちゃんは僕の方には全く手を振ってくれなかったじゃないか。

メンバーの姿が舞台袖に見えなくなると、さっきまでの喧騒がウソのように一瞬静寂が会場を支配する。

大きく息を吐いて、曲が終わり誰もいなくなったステージを見つめていた。
興奮状態を一気に開放されて、僕は放心状態に陥りそうだった。

全身で息をしている自分がいた。アイドルのコンサートってのがここまで体力を使うもんだとは。
そう思っていたが、ここからあの更なる体力勝負の時間が始まるとはね。

一瞬の静寂の後に、会場からはBuono!コールが自然発生する。

「Buono!」「Buono!」
「Buono!」「Buono!」

なるほど、こうやって交互にコールしていくわけね。
なかなかいいアイデアですね。交互に声を出すからお互いの気持ちも高まるし、半分は休めるから体力も温存できる。非常に合理的だ。

さあ、アンコールのコールも、もちろん全力でいくぜ!

コールは全力で入れる主義の僕だけど、ライブの本編で時にメンバーの歌声にコールをかぶせるのは、盛り上げるためとはいえ正直申し訳ない気持ちもあるのだ。
でも、アンコールのコールだけは、どんなに大きな声を出したとしても迷惑がかからないと思うから。
ここが気合の見せ所だ。

コールしていたら、しばらくして前の桃ヲタ達がざわつきだした。

「おい、あれ雅ちゃんじゃないか?」
「雅様客席光臨ktkr! って、いったいどうしたんだろう?」
「一緒にいるの、りーちゃんじゃんw 何やってんだ彼女まで」
「そういえば今日はりーちゃん大活躍だったな。彼女の歌まで聴けるとは今日は神コンでしょ」
「それな! すげぇいい声で歌うからビックリしたぜ」
「そのとき一緒に出てきてたデカい奴、あれ何者だよ。あのノリと動きは素人じゃなかっただろw」

な~に雑談してんだよ、おまえら集中しろよ! コール休んでるんじゃねえよ!

なーんて思ったけど、桃ヲタさん達にそんなこと言えるわけもなく、僕はひたすらBuono!コールをしていた。

確かにいま客席に来ているのは、あの雅さんだ。
雅さんが客席で何をやってるのかは確かに気になるけれど、今は集中を切らしたくない。

隣の桃ヲタがずっとこれまた大きい声でコールしてるんだ。まわりで大きなコールを出している人がいるのを聞くと、脊髄反射で燃えてしまう。
僕はその反対番でコールしながら、こう思っていた。

アンコールのコールあるじゃない、あれ負けたくない!!

周りとの相乗効果で更に気合を入れて全力でコールを続ける。

「雅ちゃん戻った。何だったんだろ」
「あんなに間近に来てくれたら高まるよなー、羨ましい」

もしこの辺りになんか来たりしたら、雅さん卒倒しちゃうかもしれないよ・・・

でも確かに、もしメンバーがあんな間近にきてくれたら・・・
うん、アイドルみたいにかわいい人をそれぐらい間近で見てみたいな。
もし愛理ちゃんをあんな間近で見ることができたら、その瞬間に記憶が飛んでしまうかもしれない。
ましてや露出の多い衣装なんかで来られた日には・・・・

って、余計なことを考えてないで今やることにもっと集中しよう、自分。
余計なことを考えた罰として、声を一段大きくすることを自分に課してみる。

「りーちゃん、真ん中あたりで座っちゃったけど、最前に戻らないのかな」
「彼女が逆ドリ?・・・何かあるのかもしれないな」
「後ろにりーちゃんとか、その前の席だったら凄いプレッシャーじゃね、絶対ヤダw」
「ってことは最前中央に1席空いたってことじゃん。行くか」
「じゃあ俺が行くわ」「ふざけんな俺が行く」「いや俺がry」

だから、雑談してんじゃないよ。コールしろよ、お前ら! 何度も言わせんな!

なーんて思っても、やっぱり怖いから桃ヲタさん達にはそんなこと言えないけど。


それにしても長い。
アンコールのBuono!コールはもう10分ぐらいやってるんじゃないだろうか。
アンコール前のコールって、こんなに長いのか。
この間、ずっと声を出し続けているのは相当きついです。

でも、何か久しぶりだなあ。体力の限界のところで頑張るのって。
きついけど、これが気持ちいいんだよな。一応(元)体育会系の人間なので。

桃ヲタさんの中にもずっと頑張ってる人だっているんだ。
緑サイを持ってコールしている以上、負けられないでしょ。愛理ちゃんの面子をつぶすわけにはいかない。


まだか。長い。
まだメンバーは出てこない。
さすがに疲れてきた。でも、一回でもコールを休んだら気持ちが切れそう。そしたらもう声が出てこなくなるだろう、それがわかるから休めない。
それに、声が小さいから出てきてくれないのかもしれないじゃないか。
そう思って、さらに腹に力を込めて声を出す。

この時間は自分との戦いだ。自分のプライドを賭けてコールしているのだ。絶対に負けない!
すべては、メンバーに気持ちを届けるために。そしてアンコールに向けて会場の雰囲気をつくるために。
頑張ろう!頑張ろう!!



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